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November 09, 2009

安曇野の身土不二の実践~石炭灰を用いた土づくり~

農業の将来について大きな懸念がある中で、安曇野市の農業の現場では様々な意欲的な取り組みが行われている。

過日、安曇野市内で環境にやさしい農業を実践している斉藤農園(注1)の斉藤彰久社長をはじめ数人の仲間で「安曇野市土づくり農業研究会」(仮称)を立ち上げた。

研究会の狙いは、人工ゼオライト(注2)という石炭灰を用いた土壌改良剤を用い安曇野の土壌改良を行って行こうというものである。石炭火力発電所で排出される石炭灰はそのままでも特殊肥料やセメント材になるが、ゼオライトと呼ばれる表面が多孔質の物質に変化させることで透水性、通気性に優れた優良な土壌改良効果のある環境系資材とすることができる。この人工ゼオライトを使った土壌改良を試験的に実践してきているのが斉藤農園なのである。

11月初旬のある日、斉藤さんから時期外れの丸々としたトマトを頂いたが、その甘いこと甘いこと。ゼオライトを使って栽培したトマトであった。何故斉藤農場が聞きなれない資材を使って土壌改良を行うこととなったのか。その経緯は斉藤農園に人工ゼオライトを紹介した藤原稔氏と藤原光弘氏の熱意に斉藤社長がほだされたということであった。

その藤原さんによると、窒素肥料の製造、施肥に当たって地球温暖化ガスである二酸化炭素と亜酸化窒素が発生するとともに、窒素自体が流出し環境汚染を汚染する。その窒素発散を防ぐのにゼオライトが非常に有効に機能する。ゼオライトが保肥力を向上させる結果、窒素肥料使用の大幅な抑制につながる。

斉藤社長によると、コンスタントに肥料を欲しがる作物(トマト、白菜、キャベツ、大根、ごぼうなど)にゼオライトは特に有効であり、一方で初期の段階で肥料が必要な作物(ほーれんそう、レタスなど)には初期の段階で化学肥料が有効なのだそうだ。これはゼオライトの保肥力の機能による。

斉藤農園でほーれんそうから始まり、現在はトマト、メロン、白菜、大根、ピーマン、コメに至るまで8年間ゼオライトの使用を試行してきている。土壌がしっかりとし、水管理も簡便となり、有機肥料として使っている鶏糞の臭いも封じ込めることとなるのだそうだ。ゼオライトが窒素発散を防ぐ結果、臭いも消えるのである。

実は、活性炭の比表面積が1グラムで500㎡以上あるのに対し、人工ゼオライトは1グラムで100㎡程度と少ないのだそうだ。しかし、人工ゼオライトは臭いの原因であるアンモニアイオンを電気的に結合させる機能(CEC-300)が高く消臭機能が高く、実際に酪農家も臭い対策で人工ゼオライトを使用しているのだそうだ。

ゼオライトには天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライトがあり、人工ゼオライトは天然ゼオライトの10倍の吸着力がある由。ゼオライトが肥料を吸着するために多めのゼオライトを使った土での野栽培では、作物に肥料が届かず却ってわい化が起きるのだそうだ。

ゼオライトは農畜産業の隠れた問題である重金属対策にもなる。実は、風邪予防と下痢防止のため豚に銅、亜鉛を施す。その結果、豚糞には重金属が多く含まれている。鶏糞には亜鉛が多い由。そして有機肥料として豚糞、鶏糞の長年の活用の結果、土壌への重金属蓄積が問題になっているのだそうだ。もてはやされる有機農法にも問題がある。し尿処理場の汚泥にも重金属が含まれている。ゼオライトの活用による有機肥料の抑制は、多面的な土壌浄化対策、水質改善策にもつながる。また硫酸銅による消毒(ボルドー液)は有機農法でも認められているが、銅の圃場蓄積が懸念されるそうだ。ゼオライトは、重金属流出を防ぎ無害化する能力もあるとのことだ。

藤原さんによると、諏訪湖は上流の原村の野菜栽培などで活用されている硝酸窒素が原因で緑に変色しているのだそうだ。硝酸窒素は肥料過多の証拠なのだ。茶畑も硝酸窒素を多用しているが、海の赤潮の原因とされている由。安曇野のワサビ田で最近藻が発生しているがこれも硝酸窒素の影響ではないか、というのが藤原さんの意見である。ところで、人工ゼオライトを用いると、発がん物質でもある作物の硝酸態窒素含有量が通常の1/3に激減するというデータがある。これは、平成19年、20年にわたる公的機関である長野県中信農業試験場への委託調査で判明したデータということだ。

環境にやさしい農業生産を実現するに留まらず、安曇野のブランドである水を守っていくためにも、人工ゼオライトを活用した安曇野の土壌改良が大きな役割を果たしうるというのが「安曇野市土づくり農業研究会」(仮称)の問題意識である。そして、このことを意識した農家集団を形成し、ゼオライト農家の農産物のブランド化を図っていくことが必要である。

農業の再生。そのためには新しい技術を使った土づくりが必要である、という問題意識に私も強く共感する。土と水を大事にする農業、それは環境と健康の源である。韓国にも「身土不二」(注3)という言葉がある。農業の再生の芽を安曇野で着実に育てることに主体的に貢献する普及研究会としていきたい。

注1 http://saito-farm.net/html/nouhou.html
注2 http://www.zeolite-f.com/Info03.aspx
注3  http://tokyo-nagano.txt-nifty.com/smutai/2004/12/post_43.html#more


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