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November 14, 2009

ソニーの一部本部機能の安曇野移転と地元の課題

地域経済に関し、暗い話題の報道が目立っている昨今であるが、久々に元気の出るニュースに接した。安曇野市に所在するソニーEMCS長野テックの敷地内に、ソニー本社のパソコン部門を統括するバイオ事業本部が移転するという報道である。

全世界に向けて年間約600万台のパソコンを企画・設計・生産するソニーの本部機能が安曇野に集約されるというものである。これにより、東京本社のバイオ事業本部に勤務する数百人が安曇野に移り住むことになる。これにより安曇野市への経済、文化、教育面などの影響が期待される。

11月13日のソニーのプレスリリースは以下の通りの淡々とした内容である。

「2010年4月1日付で、PC事業の本部機能であるVAIO事業本部に、ソニーイーエムシーエス(株)長野テック(長野県安曇野市)で行っているPCの設計機能等を統合します。 それに伴い、VAIO事業本部は、ソニーイーエムシーエス(株)長野テックのサイト内に新設する「長野ビジネスセンター」に、移転します。なお、これまでPCの設計・オペレーション・製造業務を行っていたソニーイーエムシーエス(株)長野テックは、製造機能に特化します。PC事業の商品企画から設計・オペレーション・製造等の機能を集結させることで各機能間の連携を強め、これまで以上に効率的な体制の構築を図り、成長の加速を目指します。」

さて、問題は、受け皿となる地元の対応である。本部機能の安曇野への集約は、企画、設計、製造部門の一か所への集約という事業の効率化意図がその背景にある。安曇野への集約により意図した効率化が果たされない場合には、長野テック内に設置される「長野ビジネスセンター」がより高い効率化が果たされうる他地域に再移転の可能性があることを忘れてはならない。

安曇野という立地条件がソニーの国際戦略上優位なものとなるよう、また東京から移り住む多くの社員の皆さまがこの地域が気に入るように地元が様々な配慮を行うことが必要である。住み易さ、教育水準、東京都の近接性などの交通インフラが大きな課題となる。特に鉄道、空路、高速交網の整備の状況は大きなテーマである。

リニア新幹線のルート選定、松本空港の存続と利便性向上、中央線特急の高速化などがここにきて更なる意義を持ってくるように思える。グローバル企業の地元移転という朗報を喜ぶばかりではなく、これを機に更に大きな視野で地元経済活性化の基盤整備を考えていかなければならない。

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