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June 22, 2008

スコットランドでのグラバー・セミナー

6月10日に、わが事務所とスコットランドのアバディーン市にあるロバート・ゴードン大学の共催で、この地出身のトーマス・グラバーにちなむセミナーを開催しました。

セミナーは約120名の参加を得て、同大学内で盛会に行われました。大学関係者、地元自治体関係者、グラバー財団関係者から近隣住民まで様々な方にお集まりいただけました。会場入り口で、開会を知らせるバグパイプの演奏があったのには驚きました。大学側の配慮でした。

在エディンバラ日本総領事、アバディーン市代表者、アバディーン・シャー代表者からの挨拶に続き、長崎市長のビデオメッセージが会場に流されました。アバディーン市と友好関係にある長崎市長の紹介は私が行いました。

このセミナーのためにわざわざ長崎市からお越しいただいたグラバー研究の第一人者の長崎総合科学大学ブライアン・バークガフニ教授からは、グラバーについてこれまであまり知られていなかった点、長崎市との関係を中心に講演を頂き、三菱重工の関係者からは、グラバーと三菱の関係、長崎造船所の進化、三菱の21世紀への挑戦についてお話を賜りました。三菱重工の発展の基礎となった長崎造船所は、実はグラバーから始まったのです。

バークガフニ教授は、翌日にもロンドンの国際交流基金で「マダム・バタフライ」をテーマとした講演を行って頂きました。

カナダ出身の教授は1992年NHK大河ドラマ「信長」にイエズス会巡察視バリニャーノ神父役で出演したほどの美男子で、学生時代バック・パッカーとしてインドを経て日本にたどり着き、日本の寺で9年間も修業を積んだという変わり種の方でもあります。

教授の書かれた本グラバー父子のことを書いた「花と霜」を拝読し、是非スコットランドにお越しいただきお話を伺いたいと考え、セミナーをロバート・ゴードン大学に働きかけ企画しましたが、期待に違わぬ内容のある話に、ひと安心でした。実は地元のアバディーンでもグラバーのことを知っている人はそんなにいません。日本の明治維新を早めただけではなく、黎明期の日本の近代産業の発展に尽くした先人がこの地から出ていることを初めて知ったスコットランドの人達は、少し誇らしげに話に聞き入っていました。ロバート・ゴードン大学のモットーは、企業家精神、であり、地元の先人の前向きの精神は大学の教育方針とも合致したのです。

今回のセミナーは、地方都市を舞台に開催した日英外交関係150周年の記念事業の一環でしたが、歴史上の人物に光を当てる事業は、今日の我々の生き方にとっても有意義であると感じました。長崎市も、グラバーの残した産業遺産を多面的にそして学問的に深く掘り起こし、地域の魅力作りに役立ててほしいと思います。

講演後の懇談の中で、バーフガフニ教授は、長崎に新幹線が開通すると長崎から他の地域に元気が吸い取られてしまうのではないかと懸念されていました。いわばストロー効果です。私からは、長崎新幹線の件について、そのような動きに抗しても仕方がない、むしろそうならないためにも、長崎の文化・歴史遺産をしっかりと発掘し、長崎のアイデンティティーをより強く発信する姿勢が必要だと申し上げると、前向きに考えなければならないのはその通りだと、互いに意気投合しました。そして、その具体的手段として、長崎新幹線が開通する頃を目途に、グラバーを取り上げた大河ドラマをNHKに働きかけたらどうか、などというプロジェクトの話も出て、ラッセル・スクエアーの夜の議論は大いに盛り上がりました。

多くの関係者を交えたセミナーの企画は大変でしたが、関係した機関との連携が非常にうまく行き、今後の展開の展望も生まれ楽しみが増えました。

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