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April 30, 2008

自己評価は低いものの日本の世界貢献は実は世界一の評価

4月上旬の昼に、近く英国を離任される野上義二駐英日本大使から、在ロンドンの関係者の集まりで、3年8ヶ月に亘った大使業務のなかでお感じになった総括的なお話を伺う機会がありました。

今後の我が国の行方に示唆を得る思いがしました。お話のさわりは以下のとおりです。

・英国の「日本観」は実は悪くない。BBCワールドサービスの調査の中に「世界への貢献度」というものがあるが、2005年からの3年間日本はトップの地位。英国人の70%は日本に好感を抱いている。特に若い世代にはダントツに好印象。
・新聞における日本、中国、インドにかかわる記事の量を測っている。日本、中国の記事数は大方拮抗している。
また、インドについては、新聞により大きく異なるが、日本よりかなり少ないものもある。中国関係の記事は6-7割方が否定的記事。日本の記事は6-7割が肯定的記事。科学・文化関係記事も取り上げられる。英国の日本関連記事は、実はフランス関連記事よりも多い。
・反日教育の結果として日本を否定的に見る国は中国、韓国が圧倒的に多いが、肯定的に見る国は英国を始めとし、インドネシア、イスラエル、カナダなど実は多い。日本に好意的な国が世界には多いということを認識することが重要。
・日本を悲観的に見る傾向がある理由は、英国では「問題が無いことが問題」と言われる日英関係の中で、どこかに問題が生じるとエリートの目がどうしてもそこにばかり集約されることになるからではないか。
・こうした事態を打開する必要がある。そのためには本当の世界の空気をうまく汲み取ることが必要。そうして必要なところに資金を活用することが求められる。
・中国はこの3年間で孔子学院を英国に16箇所作り、世界に中国文化の浸透を図っている。逆に日本は対外文化関係予算を削減している。ODAの削減も急である。対外関係をシュリンクするのは将来に禍根を残す。
・英国と日本の違いを3点挙げると、①世論のブレが少ないこと、つまり世論の成熟度が高いこと、②「まち」、特に郊外の「まち」や景観が美しいこと、③「ひと、もの、かね」の開放度が高いこと、ウィンブルドン効果と言われるが、上がりは英国に吸収し、ルールの設定力が高く、したたかに立ち回っていること。以上の3点は英国から学べる点である。

このほかにも英国経済や英国とEUの関係、労働政権の政策課題などについて示唆に富むお話を伺いましたが、私が特に関心を持ったのは以上掻い摘んでまとめた内容でした。

その中でも、BBCのワールドサービスの調査結果に興味を持ちそのリンクを見てみると、日本人の自国認識と世界の日本認識に明確なコントラストがあることに大きな驚きを覚えました。

2005年以降、BBCが世界の34カ国を対象に「世界への貢献」(influence)という観点から主として肯定的か否定的かという調査を行っているのですが、最新の2008年版は4月2日に発表になっています。その結果は日本は3年連続で肯定評価を最も多く集める国となっているのです。2008年は肯定評価面ではドイツと並びトップなのですが、否定的評価でドイツよりも悪い結果を得ているので、僅差の2番手になっていますが、評価が高いことには変わりありません。

日本に対する肯定的評価が特に高いのは、ケニヤ(78%)、イスラエル(75%)、インドネシア(74%)、米国(70%)、英国(70%)、フィリピン(70%)、オーストラリア(70%)の順で続き、平均では56%の肯定的評価を得てドイツの並ぶ高評価を得ています。特に欧州においては英国の70%を筆頭にすべての国が日本を肯定的に評価しています。

日本の評価の足を引っ張ったのは、中国の55%、韓国の37%というマイナス評価が大きい(中国の対日肯定評価は30%、韓国の肯定評価は37%)ことです。隣国からの評価が低いことの理由は様々なのでしょうが、野上大使が指摘されるように歴史的な経緯に基づく反日教育の影響があることは容易に予想できます。これに対して、ドイツに対しては、トルコとエジプトが否定的評価が高いというのも歴史的経緯に理由があるのかもしれません。

この中で面白いのは、日本人自身が日本に対して肯定的評価を行っている割合が小さいことです。流石に否定的評価は15%と小さいものの肯定的評価も隣国からの評価並みに36%と小さく、自分の国に対する卑下した見方を行いがちな日本人の姿が浮かび上がります。これに対して中国の自国に対する肯定的評価は90%、否定的評価は4%と、自意識が高いことが鮮明に分かります。自意識に関して言えば、「自信喪失」の日本、「自信過剰」の中国、といった対比が成り立つかもしれません。

なお、日本人が自虐傾向が強いのは伝統的のようです。知日家の陶芸家として有名なバーナード・リーチは、日本美術を高く評価してくれました。そのリーチが、「日本にはあらゆるものがあるが、日本がない。今、世界で最も反日なのは日本人なのだ」という言葉を残し、西洋を崇める日本人に警鐘を鳴らしましたが、その残滓はいまだに日本人に色濃く残っているようです。

しかしながら、少なくとも世界の世論から見る限り、日本の高評価はほぼ世界の共通の認識なのです。ドイツに並ぶ高評価で日本の評価は米国の35%という低評価を遥かに追い抜き、実は世界に誇るべき評判なのです。

残念ながらこうした評価は日本の新聞で大きく取り上げられることはありません。4月2日のBBCの調査結果も私は日本の報道で見た記憶がありません。毎日の新聞の一面記事を見ると、日本の国を自己否定する記事が満載です。これでよく日本の国際評価が高く保たれてるか不思議です。逆に言えば、日本の新聞が外国には全く影響力がないということかもしれません。そう言えば、英国の高級紙では日本に関する記事は比較的落ち着いた好意的な記事が多いように思われます。

戦争をしない、争いを避ける、他人に思いやりがある、食事がおいしい、武器輸出をしない、声高な主張をしない、キチンとしている、日本製品の品質が高い、環境に優しい国づくりが進んでいる、日本製アニメに親しみを覚えるなどの様々な要因があるのでしょうが、こうした世界の共通した対日観をもっと日本人自身が正しく認識し、ある意味での「世界的信用」ともっと生かす国づくりをする必要があると思えます。

自然と共生する生活、森を大事にする意識、祖先を敬う意識、隣人同士が助け合う意識、故郷を大事にする気持ち、物を大切にする意識、歴史・文化大事にする気持ちなどの日本的価値を世界的価値に発信すべく、より努力すべきなのです。にも拘わらず、自信を失い、対外的文化発信事業からも撤退し、大きな金融資産を有しながら極端な縮み思考の陥穽に陥っているように思えてなりません。政治的混乱がその動きに拍車をかけているかもしれません。

英国人で日本を訪問した人はほとんど例外なく日本ファンになって帰ってきます。先日お会いした英国の自治体協議会の幹部は、日本を訪問して自分の部屋の作りを日本風に変えたのだそうです。日本の生活様式に深い精神性を見出したのです。

この調査を見て、日本人には、自分たちの生活様式にもっと自信を持って胸を張って世界に発信していって欲しいと思う次第です。少なくとも日本人は視野を世界に向けよろ広げる必要があります。

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