息子と出かけた英国農村ハイキング
小雪が舞ったり、みぞれがパラついたり、晴れたり、と目まぐるしく天気が変わるイースター休暇の最終日に、Henley-on-Thamesと呼ばれるテムズ川上流部の風光明媚な地域でのトレイルを楽しみました。
春休みで英国に来ている息子が農村の風景を歩いて実感したいという希望があり、天気を見計らい、ロンドンのパディントン駅から列車を乗り継ぎ1時間強でこの地域に到着しました。行き先の選考は、手元にあるハイキング案内を参考にしました。
16キロ程度の田舎道は概ね平坦で、気温が上がらない中ではありましたが大変満足の行くハイキングとなりました。息子も英国の農村風景の美しさと行き届いた管理には感心したようです。
道行く人は皆親切で、Time Out発行のCountry Walks片手のハイキングが行き詰まると道行く人に道をたずねましたが、皆さん大変親切に道案内をしてくれました。「ロンドンに比べ皆親切に見える」というのが息子の感想でした。
ハンブルデン(Hambleden)という美しい教会を中心にまとまっている集落(パリッシュ)に立ち寄りました。地区の教会に中も見せていただけましたが、それこそ地区の人が皆さんで支えている雰囲気が伝わってくるアットホームな教会でした。この地区でも教会は住民の皆さんのアイデンティそのものなのです。
ハンブルデンの一角にある目立たない佇まいのStag & Huntsmanというレストランで昼食をとりましたが、手狭なレストランはお客さんで賑わっていました。英国の家庭料理がメニューに載っており、地ビールと一緒にとても美味しく頂けました。そこのレジでは、お客さんの方から「ありがとう」という言葉を店の人にかけているのがなぜか印象に残りました。客の一人一人がこのレストランを支えているような印象を受けました。
確かに、農村でありながらたいそう品格のあるおいしい料理を出してくれました。店の客がハンブルデンまで足を延ばして目的の食事ができたことに満足し、そのようなサービスを維持してくれていることに対して感謝の意を表している、とでも言っていいほどの雰囲気が漂っています。
ハンブルデンの集落は、それはそれは美しく、一軒一軒の家々がおとぎの国の家のような調和した個性を発揮していますが、それに加えてこの料理。英国人のカントリーライフを楽しむ真髄がこの町に凝縮しているように感じられました。
歩き始めた当初は寒いと言っていた息子は、英国の農村の美しい風景とおいしい食事に接し、なぜ日本ではこのような農村の景観と農村の豊かさを作り出せないのか、という問題意識を持ってくれたようです。地域全体がこんな綺麗なところをハイキングしたことは始めてだとも言っていました。その上で息子の一言。「でもこの景観は相当努力して維持していることがよく分かるよ」。息子も少しは大人らしくなってくれています。
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