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March 29, 2008

天龍中学校生徒の英国訪問

我がロンドン事務所には日本からいろんなお客さんが来ますが、中学生の一団が来ることはこれまであまりなかったようです。

3月28日に、長野県下伊那郡天龍村天龍中学校の2年生全員(8人)が清沢龍美校長の引率で少しお寄りになりました。

きっかけは、大平巌天龍村長の達筆な筆による私宛の手紙でした。村で唯一の中学生の海外研修を英国で実施しており、よろしくという文面でした。天龍村には平岡ダムがありますが、実は戦時中このダムの建設に多くの朝鮮人労働者や外国人捕虜が動員された経緯があるのだそうです。英国人捕虜もダム建設に動員されたのですが、そのうちの一人元イギリス兵のウィリアム・ローズ氏が1999年に平岡の地を訪問したことをきっかけに恩讐を超えた交流が始まったのだそうです。

ローズ氏は現在95歳でご健在、カンタベリーの近郊のブリッジという集落にお住まいなのだそうです。ローズ氏のご子息の奥さん(敬子さん)が日本人であることもあり、2004年3月から本格的にこの地域の初等学校と天龍中学校の交流が始まったのだそうです。

一行は、わが事務所に、カンタベリーから日本への帰路、寄られました。Rimg1080

せっかくの機会なので、同県人としてできるだけの対応をしたいと考え、ちょうど2007年末に立ち上げたばかりの、ロンドン長野県人会の協力を仰ぐことになりました。

先ず、大英博物館を見学したいということだったので、同博物館元日本部長のビクター・ハリス氏の奥様の加寿子さん(長野県佐久市出身)に、一時間ほどではありましたが、少し高度な大英博物館の勘所をコンパクトにご紹介いただくことができました。解説がよいと、生徒たちの集中力は持続するようです。

TBSロンドン支局の萩原豊特派員(長野県飯田市出身)からは、天龍村に近い地域の出身者として、「世界は広いけれども個々人が生きているのは各地域であり、それぞれの地域を大事にしていくことこそが実は世界に通用する考え方であることを知ってほしい」との親身な話を頂けました。

長野市出身のわが事務所の佐藤氏と安曇野市出身の私からは、日英の比較、英国生活などについて手短に話をしました。

天龍中学校は、人口が1900人弱の小さな村に唯一ある中学校で全校生徒は27人です。そのうち第2学年は8人ですが、全員参加でした。

訪問先の初等学校では、生徒同士で平和の大切さなどを話し合ったとのことでした。村の負の歴史と正面から向き合い、それを将来に向けて建設的な方向に持っていくという、日英双方の関係者の努力に敬意を表したい気持ちになりました。

ローズ氏は1942年、ジャワで日本軍の俘虜となり、平岡へと連行されたのだそうです。当時の収容所では、点呼ができずに殴打されたこと、母国への葉書はゴミ箱に捨てられていたことなどがあった一方で、中には親切な日本人もいたことを当時の天龍村の関係者に語ったのだそうです。また、1998年に村を訪問した御子息夫妻はローズ氏が俘虜当時につけていた日記をタイプし村へ贈呈したのだそうです(戦争中の手書きオリジナルは、ロンドンの戦争博物館に寄贈。インターネットで現物を見ることができます。)。

一方で、大平天龍村長は、そうした村の歴史を子供たちに伝え、併せて子供たちの視野を広げるために、中学生の英国派遣事業を思い立ったのだそうです。子供たちの両親の負担や村の負担には少なからぬものがあるようですが、今回私が接した子供たちの表情からは、この事業の意義を十分に感じ取れました。

私からは、折角のこうした取り組みを1回の訪問に終わらせることはもったいないので、交流を日常的に継続するための道具立て(School links)をご紹介しました。Japan Societyが運営しているこの仕組みは、日常的に交流日英の小学校・中学校同士をインターネットで仲介し、ボランティアが英語と日本語を翻訳するサービスを行うことで、多少の時差はありますが、双方の意思を通い合わせる活動です。Japan SocietyのHeidi Potter事務局長も、協力を約束してくれました。 

中学生の訪問を受けた夜、ソーホーの中華街に案内し、廉価の中華料理を皆で一緒に食べました。予算に厳しい制約があるということなので、値段の割においしいと評判の「旺記」という店に行きました。店員も親切で、予約無しで駆け込んだにも拘わらず、皆が一緒に座れるテーブルを用意してくれました。

少し疲れ気味の中学生諸君も、中華料理を食べ進めるにつれ元気が出てきたようでした。料理をひとかけらも残すことなく、すべて平らげてしまいました。

最後に、勇気をふるって「信濃の国」を歌ってお開きにしましたが、元気な中学生の合唱に、隣の英国人の若者グルーグループからは、拍手が起きていました。ロンドンで信濃の国を歌ったのはこれで2度目です。

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Comments

ロンドンで「信濃の国」ですか。
天龍中の生徒さんにとってはいい思い出になりましたね。
私も29日、甲子園の長野日大(北大津戦)に家族全員で応援に行き、アルプススタンドで高校生と一緒に「信濃の国」を歌いました。
ロンドン在住の県出身者のご活躍と県人会のご発展を東方の地からお祈り申し上げます。
(飯田出身の方がいらっしゃるとは。うれしくなりますね)

Posted by: 伊坪薫 | April 04, 2008 at 07:28 PM

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