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January 14, 2008

キュー・ガーデンで存在感のある日本庭園

冬の日曜日、短い日中の一日をキュー・ガーデンで過ごしました。公園全体が世界遺産に登録されているのですが、そのことを大して騒ぎ立てることも無く、広大な敷地のキュー・ガーデンは落ち着いた佇まいでした。

冬の公園は、他の季節に比べ少し寂しいのかもしれませんが、それはそれで風情があります。気温も冬のロンドンは氷点下まで気温が下がることも無く、歩いても汗をかかないので私などはちょうどよいと感じる位です。

地下鉄の「Kew Garden」という駅で降りて、歩いて5分くらいのところに公園入り口があります。大人の入場料12.25ポンドを払い、公園案内をもらい、公園内を3時間かけてゆっくりと歩きました。公園のあちこちに温室やパゴダ、特別の公園施設、コッテージなどが配置され、植物の種類も場所によって変化させ、心地よいひと時を過ごせます。すぐ隣をテムズ川が流れており、この地域には人口堤防がないこともあり、自然の風情とマッチしています。テムズ川でレガッタの練習をしている風景も、イギリス的で生活の余裕を感じます。Rimg0673

キュー・ガーデンは「Palm House」 や「Temperate House」、「Princess of Wales Conservatory」といった温室が有名ですが、私の目にはこうした温室はどちらかと言うと付属品的で、やはりメインはこの広大な公園そのもののように思えます。700人のスタッフを抱え、展示、収集、研究、教育機能も充実しています。1つの「公園」にこれだけの資源を注ぎ込める英国の思想、底力には脱帽せざるを得ません。

その中で、日本関係の展示のプレゼンスの質の良さに日本人として少し誇りを感じました。パゴダの近くにある日本庭園は、1910年の日英博覧会の折に展示された京都の西本願寺の唐門を4/5に縮めて複製されものが、ここに設置されていたそうですが、老朽化が激しく、1996年に日本の関係者と植物園側で協力し唐門の修復と合せて日本庭園を築造したのだそうです。記念碑には、京都府や京都市、万博記念協会などが名前を連ねてあります。とてもコンパクトで品がよく、考え抜かれた趣向だと感心します。Rimg0686
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テムズ川沿いの近くには、日本の民家も移築されて展示されています。竹林に囲まれた中に自然に溶け込んでいる風情は、竹取物語の世界を思わせます。この民家は愛知県岡崎市の古い民家を移築したものなのだそうですが、日本人が自然との調和の中で生きてきた精神性の有様を醸し出すものとして非常によい展示になっています。これはJAPAN 2001 FESTIVALの記念として設置されたとのことでした。

庭園内の日本関係施設は、その佇まいだけで大英博物館やビクトリア・アルバート美術館の日本展示に似た精神性を語っているように思えます。他の地域の文明がどちらかと言うと自然を征服し神や人間の偉業を誇示するような権威主義スタイルなのに対して、日本のそれは、自然への畏敬、調和、人間の欲望を抑え、侘び寂こそ粋であるという異質な雰囲気を醸し出しているのです。

私も、このような展示に触れるたびに日本人であることの誇りを取り戻せる気がします。外国に生活して始めて日本のよさを再発見する、或いは自らのオリジナリティを再認識するということは確かにあります。日本にいてはむしろそれがはっきりとは認識できないのです。だからよいものが次第に失われてしまうのかもしれません。

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