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January 21, 2008

ケントの古城巡り

昨年は、ウェールズのJETOBの皆さんと、ウェールズの山登りを挙行しましたが、年明けの日曜日の一日、今回はロンドン地域のJETOBの皆さんと、ロンドン近郊のケント州の農村のカントリーウォークを楽しみました。題して「ケントの古城巡り」です。

Catherine Pearsonさんが幹事で、Philip Everest氏、Stuart Yates氏、それにたまたま東京から出張に来られて私の誘いに乗った格付投資情報センターの後勝之氏と私の5人のツアーでした。

ロンドンから電車を乗り継ぎ南下、一時間ほどでHeverに到着、そこからカントリーサイドの散策が始まりました。世界都市ロンドンの郊外は、大都市の近郊であることを全く感じさせない静寂に満ちています。行き届いた人間の管理の意思を感じます。自由放任で放っておくとスプロールにより日本の大都市近郊のようになっていたのでしょう。世界に冠たる市場経済社会の英国で、土地利用は非常に厳しい規制があるということは逆説的で不思議な気もします。英国では、「経済は国土を美しくするための手段に過ぎない」、と目に見えない大きなメッセージが伝わってくるように思えて仕方がありません。Rimg0720
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日本では民間部門がお金を貯め込んで、使い道が分からず、徒に外国に投資し、為替変動で大損している姿を見るにつけ、情けなくなる気がします。豊かを目指したのは何のためだったのか、もう一度考え直す時期に来ていると思えます。

午前10時半から歩き始め、お昼をはさんで夕方5時までの6時間近い散策となりました。万歩計を持っていったのですが、歩数が3万5千歩を超えました。アップダウンの少ない散歩道をたどったので疲労感はさほどありません。

Hever城は現在閉鎖されており、敷地内に入ることはできませんでしたが、敷地をぐるりと回ってゆったりとした雰囲気を感じることができました。

Chiddingstone城は白鳥のツガイが泳ぐ池の畔にあり、おとぎの国のような風情です。Rimg0738

Penshurst Placeという荘園風の館の伽藍の大きさには驚かされました。何故Castleと呼ばずにPlaceと呼んでいるのかがよく分かりませんでした。Rimg0744

昼食をこのPenshurst Placeの近くにある、雰囲気満点のパブ風のレストランで取りましたが、行楽の家族連れで賑わっていました。家族連れといっても日本のファミリーレストランとは異なり、歴史を感じさせ、優雅で落ち着いた雰囲気に満ちています。裕福な地域ならではのゆとりを感じます。私は、この地特産のビタービールとヨークシャープディングが添えられたローストビーフを注文しました。Rimg0750

この辺りの景観は、隙のない注意深さで形作られているように思われます。生垣はどこまでも続き、歴史的建物は注意深く保全され、趣味の悪い看板は全く見当たりません。このあたりの河川は、日本の農業用水のようにコンクリートのU字溝でガチガチに固められているようなことはありません。Rimg0743

この地域はMedway川の上流部分ですが、Medway Valley Countryside Partnershipという機関が、「野生動植物と地域コミュニティの利益を図るために、地域コミュニティの意識を高揚させその行動を通じて、この地域を緑の回廊とする」という目的意識のもとに様々な取り組みをしているのだそうです。そういう意志の力が目的意識のある組織作りにつながり、この景観が維持されているのです。

私は特に目についたのは、生垣の多さです。背の高い生垣が道路や草原の縁にアクセントをつけています。生垣を形作る植物も様々なものがあります。これを維持していくのは大変な労力と資金と熱意が必要であることは想像に難くありません。途中で年配の方中心のサイクリングの一行に出会いましたが、この生垣の道を走り抜ける気分は爽快に違いありません。Rimg0726
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Bill Brysonという英国で有名な作家兼環境保護家が、英国でも生垣が失われつつあると警鐘を鳴らしていますが、意識的にこうした景観形成の取り組みが必要だということなのでしょう。

ところで、道中いつものことながら、参加者の皆さんとの会話に花が咲きました。Catherineはこの散策の幹事役ですが、月に一度こうした散策を企画しているのだそうです。ロンドン近郊の散策ルートが150ルートくらい本で紹介されており、それを順に踏破しつつあるのだそうです。友人のネットワークも広がり、とても意義があるということでした。これからは私も常連として参加させていただくことになりました。

Philipは外務省勤務の国家公務員です。トリニダードトバコに駐在もしたことがあるのだそうです。1995年から1997年まで仙台市にJETとして勤務し、日本中を旅したのだそうです。わが事務所で定期的に日本語でその時々のテーマに会話ができる時間帯を確保してもらえれば嬉しいという提案を頂きました。私たちもそういうことを考えていたところでもあり、少し検討してみることにしたいと思いました。

StuartはJET経験はありませんが、大学で哲学を専攻し、現在はメンタルヘルスの専門家なのだそうです。人間の心の問題に興味があり、最近日本の精神性の深さにも関心があるということで、英語で書かれた日本の本の推薦依頼があったので、私からは、新渡戸稲造の「武士道」をお勧めしました。その「武士道」の国の景観が衰えているのは残念なことです。

格付投資情報センターの後氏は、飛び入り参加ながらも、思わぬカントリーウォークの機会に恵まれ、靴は泥だらけになりましたが、良い思い出ができたようでした。翌日からの仕事も順調に行くことをお祈りしました。


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