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November 18, 2007

フェアアインと協働するドイツ市町村

ブランデンブルグ州議会議員、ブランデンブルグ州内務省幹部の次に市町村の共同組織体であるブランデンブルグ市町村連盟Karl-Ludwig Böttcher 事務総長と市町村の構造改革、市民協働に詳しい同連盟のJens Graf氏の話を伺いました。

ご両人とも基礎的自治体の観点に立ち、州政府とは少々異なる視点が印象的でした。Rimg0550

先ず、ブランデンブルグ市町村連盟の機能について、事務総長氏は州内の市町村を代表し州政府や連邦政府へのロビー活動の重要性をあげておられました。元市長の経験のある事務総長氏は、「市町村連盟は、市部と町村部の意見が分かれることが無いように両者を代表して活動することの意義」を強調されておられました。ここにも都市部と農村部の両地域の統合に意を払う姿勢がにじみ出ています。また、州に対しては言葉の端々に政策批判を織り交ぜておられたのが印象的でした。「市町村連盟が以前あら人口減少に伴う問題の深刻さを指摘してきたのに州政府は取り組みが遅れた」、「州政府の意識は中央集権的意識が強く、実務を担当している現実の市町村の苦労がよく分かっていない」、「東西統一後1800あった市町村を大幅に集約し、35の郡も14郡に集約したが、その間州政府の規模が変化していないのはおかしい」などの元政治家らしい歯切れのよいお話を伺えました。

1993年までの改革で15万人規模を基本に郡の再編を行い、水道、環境、交通、高等学校などのそれまで州が行っていたサービスを郡に委ねる改革が行われたとの話も伺いました。一方で市町村再編に関しては、モデルが2つあり、Nordrhein-Westfalen州の様に市町村合併で市町村規模を拡大する方式と、Baden-Württemberg州やSchleswig-Holstein州の様に弱小町村が集まりアムトを形成し事務委託を行って対応する方式が考えられたのだそうです。

統一当初は、このうちアムトモデルを採用し10年間継続してみたところアムト構成市町村内(ところによっては20のアムトを抱え、20の議会での意見の調整が必要)での意見の食い違いも目立つようになり90年代終わりから更なる市町村再編の再編の動きが始まり、現在の姿(434市町村、198の行政単位)になってきたという説明がありました。

これに対して市町村連盟としては、先ず形を作る議論が先行し、州や郡のどの機能を市町村に委ねるのかという機能面の議論が後手に回ったという印象をぬぐえないとの感想をお持ちでした。そして、今後更なる人口減少局面の中で再度の構造改革が必要となっており、地元での十分な議論が不可欠であるという認識もお持ちでした。もちろん州政府はその声を踏まえた対応を考えるべきであるという前提です。

日本の限界集落に類似する課題を質したところ、内務省のグリューネバルト博士と同様、行政が主体的に集落を廃止する議論はできないがその村自体でどう考えるのかという選択肢はあるという意見でした。州の基本法の保護規定もあり、どこに居住してもある程度の生活水準が保てる仕組みは保障されているというのがドイツに於ける考え方のようです。

行政と市民の関係に関してもこのところ様々な取り組みが始まっており、ボランティアやNGOなどの民間セクターとの協働も盛んになってきているということでした。人口減少社会にあっても、ドイツ特有のフェアアインという自主活動協会の数は増えており、この機能が従来の施設の「利用者」という立場から一歩踏み込んで、施設の「管理者」としての役割も持つようになってきているという話の紹介もありました。

市町村連盟としても、フェアアインやスポーツ連盟などの他の団体の会合にも積極的に参加し、お互いの活動の連携のあり方を模索しているという話もありました。数百人の村では廃校を活用し高齢者向けスポーツ活動を始める際にフェアアインなどを活用したり、教会の修復など歴史的建物の再建に市民運動を活用したりと連携分野は多方面に亘っているとのことでした。

統一後、まだまだ東西の意識のギャップは大きく、地域社会での共同事業を通じて相互理解を深める意義も強調されていました。インターコムナーレという都市と農村の子供の交流事業もあるとのことでした。都市の子供たちに農村のよさを理解させることは非常に重要であり、「歴史発掘で新しい発想を得ることができる」という日本語の「古きを訪ね新しきを知る」と似た発想もご教示いただけました。

最後に現在の課題に関する総括として、産業集積拠点を集中支援する州の政策に対して弱いところを更に弱くすることのないように留意が必要であること、都市と農村の相互の関係を更に深めることが重要であるとのお話をいただけました。その意味でも都市と農村部の双方を代表する市町村連盟の役割が大事だと自己認識を頂きました。

日本でも、都市と農村の交流促進など都市の活力で農村を振興するためのいくつかのプロジェクトが進んでいる旨を御紹介しましたが、改めて課題の共通性に関してお互いに共感するところ大でした。


 

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