ロンドンの「掃苔」
学期の合間の休みを利用し大学生の息子が友人2人を連れてロンドンに遊びに来てくれました。ロンドンで宿を提供するという約束を前提に来てくれたのですが、来る直前に暖房用温水ヒーターが故障し急遽電気ヒーターを入れるなどドタバタしました。
余分な布団がないので寝袋を持参するように伝えてあったのですが、大学生は話が適当で、きちんと話をしていなかったようで、私が使っていた布団を半分失うことになりました。
それでも友達同士は遠慮が無いようで同じベットに男同士で寝ていてもぜんぜん気にならないようでした。問題は彼らがタバコを吸うので禁煙派の私としては体に染み付いたタバコが気になって仕方がありません。ニコチン中毒になる前にタバコをやめなさいとは言っておきましたが、彼らには馬耳東風の感じです。息子がタバコを吸いだした理由もこれで判明しました。
ロンドンを巡るのに便利なオイスターカードという地下鉄バス共用のパスを購入し、彼らはロンドン中を見て回っています。若いということはうらやましい限りです。友達の一人に風変わりな帽子をかぶっている学生がいて、電車に乗ると乗客が振り返ります。奇術師のような格好で目立ちます。しかし本人は考え方もしっかりして結構まじめです。勉強もしっかりやっているとのこと。私との会話でも一応のやり取りは成立します。
彼らを連れ、週末の休日の土曜日は、レンタカーを借りて私が運転をし、ロンドンの外郭環状道路を通り、カンタベリーまで遠出をしました。カンタベリー大聖堂は流石の伽藍です。我が息子たちも感嘆していました。英国一古い教会だけあります。

翌日の日曜日は、学生諸君がカール・マルクスの墓地を見たいというので、ロンドンのハイゲート墓地にあるマルクス一家のお墓に参拝してきました。さしずめロンドンにおける「掃苔」でしょうか。最近行った近藤勇の墓所の「掃苔」に次ぐ墓参りです。
マルクスの墓碑銘には、共産党宣言の有名な最後のフレーズ‘WORKERS OF ALL LANDS UNITE(世界の労働者よ、団結せよ)’ が刻まれ、また更に続いて、‘THE PHILOSOPHERS HAVE ONLY INTERPRETED THE WORLD IN VARIOUS WAYS - THE POINT HOWEVER IS TO CHANGE IT(哲学者はさまざまな方法で世界を解釈してきただけだ。大事なのは世界を変えることだ。)’という言葉がありました。若い人たちにこのような言葉がどう伝わるか興味が沸きましたが、彼らのうちの一人が、マルクスの墓の隙間に、マルクスに宛てた自らの誓いを筆ペンで書いて差し込んでいるのが印象的でした。将来またここに来て、墓前に誓った自らの思いを振り返ってみたいようでした。彼にとってはマルクスは詩人として映っているようです。
このマルクスの墓はもともとはひっそりとしたものだったそうですが、1954年に立派な胸像付きのものが建てられたのだそうです。1970年には爆破未遂事件もあったとか。
ところで、ロンドンでは極貧生活を送ったマルクスでしたが、大英博物館の図書館で猛勉強をした結果が資本論として結実したという話は有名です。
その図書館は今では大英図書館として新しく蘇り、ユーロスターでロンドンと欧州を結びつけているセントパンクラス駅の真横に威容を誇っています。
週末の一日はロンドンマルクスシリーズだなどと称し、若い大学生と墓所から図書館まで歴史めぐりをしましたが、少しは先人たちの刻苦勉励に見習って学習意欲を高めていただければ嬉しいと感じた次第です。私は、というと、週末の運転手兼ガイド兼スポンサーで若干疲労しましたが、家族が来てくれることで確かに励みにはなっています。


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