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November 19, 2007

EUの支援を受けた広域計画連盟とアムトの連携の現場

ブランデンブルグ州訪問の最後は、アムトのChristian Großmann事務局長とこのアムトの地域振興を支援しているhavelland-flaeming広域計画連盟のHerald Knauer氏から、実際のコミュニティの現場を案内いただきながらお話を伺いました。

先ず広域計画連盟のKnauer氏ですが、彼の仕事は人口減少に悩む農村部(Hinterland)を活性化することが使命です。何度も失敗を重ねた上で、北欧諸国も巻き込むことで、見方によっては「後ろ向き施策」である都市の後背地(hinterland)である農村の疲弊を食い止めるプロジェクト(Managing Decline)をEUの補助プログラムに昇格させたのだそうです。Rimg0561_3
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広域計画連盟はブランデンブルグ州に5つあるのだそうですが、この機関は都市と農村部をバランスよく発展させるという観点で活動をしているのだそうです。当初、彼の勤務する事務所に伺うつもりでいましたが、事務所に来てもらってもつまらないので現場を案内するという話があり、Knauer氏から頑張っている自治体として御紹介頂いたのが、ポツダムから40キロの距離にあるBrückというアムトのGroßmann事務局長だったのです。

38歳の旧西ドイツ出身のGroßmann事務局長は日本を2回訪問したことがある親日家で、旧西ドイツの大学で行政学を専攻し、卒業後職を求め公募による選考を通り現在の職を得ているとのことでした。旧西ドイツの出身者が旧東ドイツの地域振興の核となる組織の責任者として働いていることに少し奇異な感じを受けましたが、ドイツの公職においては全国に職を求めるのはそう珍しいことではないようです。この点は英国に似ているかもしれません。

ところで、この地域は東ドイツ時代は農業地域で農業で多くの人員を抱えていたのだそうです。それが統一後過剰人員となり他の産業振興で雇用吸収を図ったもののうまく行かず人口が減ってしまったのだそうです。その状況にどのように対応するか、非常に難しい局面を抱えています。

Knauer氏らの努力でEU補助を取り付け地域支援の計画を作っているものの前途は厳しいようです。結局は地域の人がその気になるかが最大の課題のようです。資金を提供すると言っても肝心の計画を地元が上げてこないところもあるのだそうです。旧東ドイツの人は、自分で何かをするという気概に乏しく指示待ちの姿勢が目立つのだそうです。共産主義の下で上からの指示を待つ姿勢が身に付いたという解説でしたが、日本でも似たような状況は沢山あります。「行政が俺たちに何をしてくれるのか見ている」地域は日本でも多いのです。

確かに、一見のどかな農村風景なのですが、英国と異なる点は、土産物屋とか、B&Bといった英国にはよくあるサービス業のお店の風景がこのあたりでは見当たりません。特産物を生み出せない地域のアイデンティティ形成はどうやって進めることができるのでしょうか。

集落ごとに教会はありますが、地域によっては教会の広場の前に、大きな農薬保管ケースが置かれているところもあります。一概に東ドイツ時代の意識を引きづっているというだけの問題ではないように感じます。

その中で、地域に3人のやる気のある人がいるとコミュニティーは活性化するという話が出されました。特に他の地域から入ってきた人が地元の人が考え付かないようなアイデアを出して引っ張っていくと停滞した状況が一挙に動くことがあるようです。私のほうから、日本でも同じで、1人では駄目で、3人の「よそ者、若者、ばか者」がいると地域が動くといわれていますよ、と申し上げると、この地域でもまったく同じだという返事が返ってきました。

特に、古い家が並ぶ地域に他地域から人が入り込んでくるとうまく行くケースがあるようです。他地域からの人が新住宅団地にまとまって移転してくると旧住民との間で摩擦が生じているようです。これも日本でも同じことでしょうか。

コミュニティ活動がうまく行っている地域とそうでない地域を順に案内していただきました。たまたま前者のコミュニティーの街中を車で巡っている途中で名誉市長さんにばったりと出くわしました。シュルツェさんという女性の名誉市長でした。近所で95歳の老婦人が亡くなり今晩通夜なのだそうです。この地域では葬式を近所で出す習慣がま続いているのだそうです。両隣の3軒が墓を掘るなどのボランティア役を担うのだそうです。日本の「向こう三軒両隣」を思わず想起させる話にシュルツェにとても親近感を感じました。Rimg0570

シュルツェさんは東ドイツ時代には近くの農協勤務だったのだそうですが、選挙で選ばれる名誉市長の役を悠々とこなしておられるようです。「私は選挙運動はしないのですよ」という言葉が印象的でした。そのシュルツェさんらが行政執行のために選任しているのがアムトのGroßmann事務局長なのです。

コミュニティ活動が停滞している地域も見せていただきましたが、一見しただけではその差は分かりません。しかし、10年20年たってくるとその差が目に見えてくるというのがGroßmann事務局長の解説でした。

この地域には消防団の詰め所があちこちにありました。Großmann事務局長のご配慮で100年も使っていて今は使われていないもの、現在の詰め所も見せていただきました。少年消防団も成人の消防団と一緒の出場場所にユニフォームがありました。プロイセン時代の古い写真も詰め所に飾ってあり、歴史的にも地域の要であることを忍ばせます。Rimg0568Rimg0579
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Potsdamへの帰りは、Großmann事務局長が自家用車で送っていただけましたが、私があなたの将来はどのように考えているのかと聞くと、来年に到来するアムトの事務局長の再任を目指したいという返事でしたが、将来はこの地域を包含する郡への就職なども視野に入れているとのことでした。

ブランデンブルグ内務省のグリューネバルト博士など、仕事上のカウンターパートのことはよくご存知で、お互いのネットワークのつながりの中で協調と緊張感を保って仕事を進めている雰囲気も感じることができました。Großmann事務局長がふと、「グリューネバルト博士は昔アムトの事務局長であったことを忘れているようだ」と漏らした言葉に、現在の州政府と現場の自治体執行部との確執を感じました。

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