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October 08, 2007

パリッシュ総会で認識した日本と共通する課題

10月の5日から7日の週末にかけて、避暑地で有名な英国の南海岸のBournemouthで開催された、英国のパリッシュの全国組織のNALCの総会にオブザーバー参加してきました。

英国のパリッシュの現状を知り、パリッシュの活動を支えている人々と知り合いになるよい機会と考えたからです。私の勤務する事務所の職員であるIrmelind Kirchner女史と供にロンドンから列車で2時間ほどの距離の会議場に出かけました。

その会議場では、前の週に、労働大会が開かれたばかりでした。Bournemouthは、会議場とホテルの利便がよく、観光と会議で成り立っている高級リゾート地域です。

我々は、地方自治の分野の論客を集めたQuestion Timeから参加しました。地方自治・コミュニティ省の政務次官である非常に若いDhanda議員の演説を受け、会場から次々に質問が飛びます。政府の地方分権施策の矛盾や財源措置の不足などに対して、容赦ない質問が浴びせられますが、概ね無難にこなして、政務次官は会場を去ってゆきました。週明けから国会が開会になり、下院を解散するか否かの緊迫した政治状況なので、仕方の無いことです。

プログラムは、英国のパリッシュが抱えている課題毎に概ね一時間刻みで連続討論が行われていきます。20分ほどのプレゼンテーションの後、会場の参加者から10人以上の人が発表者に質問をする形式です。資金確保の工夫例、パリッシュの都市計画作りの工夫事例、地域のパリッシュを類似の団体ごとにグループ化して活性化させている事例、議員の政治倫理の話題、宝くじなどの資金の活用方策、地域の安全安心確保施策、イメージ向上策、電子自治体化の先進システムの紹介、議員研修のあり方、地域の住宅確保のあり方、高齢化の課題対応、若い世代の地域活動への勧誘方策、移民問題への対応、環境教育とその実践の事例など日本のコミュニティを巡る課題に近い話題が満載でした。Rimg0369

高齢化の課題事例の中で、小学校に地域の高齢者を招き、子供に遊びを教えるなどして過ごしてもらうことで、子供と高齢者の双方に交流が生まれ、高齢者の孤独感も解消しているなどの取り組みは、日本のそれを髣髴とさせるものがあります。学校給食の施設を活用し、高齢者に食事を届けるサービスもパリッシュで行っている例も日本と同じです。

パリッシュの環境教育に関しては、地域の大学と協力してこまめに住民アンケートをとったうえで環境DVDを活用した講座を開催したところ、住民の4割の参加を得る盛況となり、BBCや北欧、ドイツの放送局までもが取り上げる盛り上がりを見せたのだそうです。その後の住民の二酸化炭素削減に向けた具体的な取り組みが進行中だということでした。

最終日の日曜日には、Town Clerkが作っている団体であるSociety of Local Council Clerks(SLCC)の会長のSam Shippen女史から、働くものの立場からパリッシュの事務責任者である彼らの抱える課題の切実な発表もあり、パリッシュ議員の集まりでありある意味ではTown Clerkの使用者であるNALCの議員も耳を傾けていました。待遇改善、専門知識を身につけるための研修機会の確保などがSLCCの強い希望のようでした。英国人も日本人と同じく、向上心が強いことが分かります。特に英国の場合には、地域の大学が社会人向けに様々なディプロマ資格を取れる講座を提供しており、このような機会への参加希望が非常に強いことが印象に残りました。

日本の町内会組織も事務局機能のあり方は活動を継続していく上での一つの大きな課題です。飯田市のように地域自治組織を作り、そこの事務局に市の職員を派遣し、事務局機能をサポートしているところもあります。英国のように、独自の職員を雇っていくということは財政基盤がしっかりしていないとなかなか出来ません。Preceptという地方税源を確保していても厳しいせめぎあいがありそうです。

2日目の晩には、着席のパーティーがありました。ドレス・コードのある正式の晩餐会で、私もきちんとネクタイを締めて行きました。そのパーティーの場で、Town Council of the Year とか Town Clerk of the Yearといった表彰が行われました。この仕組みは、関係者の士気を高める上で効果的なもののようです。会場で隣同士になったOswestry Town CouncilのJ.G Jones氏は、「一昨年は私のところがTown Council of the Yearの一等だったのですよ」と誇らしげに語っておられました。

やはり同じテーブルに座っていたOswestryのTown ClerkであるDavid Preston氏は、Jones氏が運転していたバスに乗って学校に通った長年の知人であるとのことでした。当然のように過日訪問したBracknellの次のパリッシュ訪問先が自然に決まりました。

夜も遅くなり、ホテルに戻りましたが、夜の11時を過ぎてもまだパーティが行われていました。連れのKirchner女史に聞くと、これはフリーメーソンの女性組織の集まりだということでした。昔の秘密めいた組織とは異なり、現在ではネットワーク作りに活用している人が多いというのがKirchner女史の説明でした。思わず小説の「ダビンチ・コード」のことを思い出しました。

NALCの総会に参加したおかげで、非常に効率的にパリッシュの現状と課題を鳥瞰でき、おまけに沢山のキーパーソンと知り合いになれました。多くの人から、日本人が何故こんな「ローカルな会合」に来ているのかと珍しがられました。私から、日本が進めている市町村合併と昨今の地域格差の拡大の中での地域活性化、コミュニティ問題の課題認識という視点を説明すると、日本も英国と似たような状況があるのだと理解していただけます。

やはりこのようなチャンスは、ロンドンに勤務しているからこそ得られる貴重な立場であると再認識します。恵まれた立場を有効に活用しないといけません。


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