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October 01, 2007

スコットランドのEildon Hillを歩く

スコットランドを訪問しています。9月28日からアバディーン、エジンバラと来て、スコティッシュボーダーズのメルローズと廻って来ました。

北海石油で沸くアバディーンでは、ご当地のロバート・ゴードン大学の教授陣と提携関係のあり方を議論、エジンバラではJETのOB組織の幹部との会合、スコティッシュボーダーズでは当地の自治体幹部との会談に出席するのが目的でした。

スコティッシュ・ボーダーズはロンドンから遠隔地であり、訪問日の前日の日曜日に当地に入りました。日曜日は日程が空いたので、メルローズのEildon Hillという溶岩ドームのような山に登ってみました。日本で言えば昭和新山のような山でしょうか。3時間の山歩きは爽快でした。山道には羊も沢山歩いており、羊の糞を踏まないように慎重な山歩きになりました。Rimg0352
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Eildon Hillから遠望するスコティッシュ・ボーダーズの風景は、絶景です。緑・赤・黄の畑や放牧地が丘陵地の林の中に広がり、家畜が草をほうばり、その中に点在する集落は教会を中心にまとまり芸術的な風景を作り出しています。Rimg0358
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地域で景観を守り、目に付く看板などはほとんどありません。確立された美的感覚が何事も無いかのように品格のある景観を作り上げています。

その中にEildon Hillなどの小火山の跡が地域のランドマークになり、その火山を巡る遊歩道が整備され、地域の人の憩いの場を提供しているのです。

集落の中心地には観光インフォーメーションセンターがあり、駐在の人が親切に案内をしてくれます。このインフォメーションセンターの仕組みは、英国全体でスタンダードなものができており、市域を知らない人が来てもワンストップで殆どの用件が済みます。今回も山歩きの地図を無料で頂きました。日本の観光政策も学ぶべきシステムです。

一緒に山歩きをした同じ職場のクレアー・ハリスさんによれば、スコットランドには(イングランドも同じですが)、VISITSCOTLANDという組織があり、体系的に観光情報のインターネットサービスを行っているほか各地域でサービスセンターを設けて観光案内をしているのだそうです。ホテルやB&Bも簡単にインターネットで予約でき、非常に便利です。

崖下に点在する各集落が温かみのあるものに見えます。目に入ってくる集落を指指し、あれはhamletと呼ぶのかvillegeと呼ぶのかふと疑問がわきました。そこでやはりハリスさんに、英語で集落を指す言葉にhamlet、villege、town、cityといった言葉があるが、端的に言ってその差は何か、といった問いかけをしたところ、とても分かりやすい答えが返ってきました。「集落に教会のない小さな村がhamlet、教会が一つある集落がvillege、幾つかの教会が集まっている集落がtown、中心街にcathedoralのある町がcity」、なのだそうです。山歩きをしながらの集落の成り立ちの学習もできました。

アバディーンからスコットランドを南下し、日曜は山歩きですが、この地域は思った以上に豊かであるように感じます。その豊かさは単に物質的なものに由来するものではないということをこちらに来て嫌というほど感じます。自然環境、歴史の蓄積、文化、芸術、スポーツ、誇り、生活のゆとりなど総合的なものです。過疎という言葉はこちらには当てはまらないような気がしています。山から下りてTweed川に下りてゆく途中で、女性ラグビーの試合に遭遇しました。地元のMelrosevenというチームとダンディー大学の女学生チームの試合です。女性とは思えない高度な技術と迫力にはいささか驚きましたが、Melrosevenの設立が1883年という横断幕を見て思わず納得しました。Rimg0362
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日本は英国に比較して、これまで地域の環境、歴史、文化を大事にして来ていなかったように思えて仕方がありません。そのために地域のアイデンティティーや誇りを次第に失い、経済ばかりを豊かさの基準にしたためにそれに引きずられ過ぎて却って不幸になっていくような気がしてなりません。

豊富に貯めこんだ膨大な民間資産も、英国のように地域を美しくすることに使う仕組みを生み出せないまま外国に吸い取られてしまっています。Eildon Hillの山頂に立ち、この地域を360度見渡していると、何故か常に日本の対応との比較ばかりが脳裏に去来します。

ところでこの山の標高の低い山麓はgorse(ハリエニシダ)と呼ばれる葉が針状の植物で覆われ、高い標高の地帯はheather(ヒースの一種)と呼ばれる紫の花の咲く低木で覆われています。9月の末日なのにheatherには花の蕾が沢山ついていました。山を遠望すると紫っぽくくすんで見えるのはheatherの群生が原因なのです。Rimg0353
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また、この山には、スコットランドの伝説によるとアーサー王の幽霊が住んでいるとの解説が観光案内所で入手した資料に書かれていました。

やや行き当たりばったりでしたが、この地域の概観を自らの足で確かめた上で、翌日のスコティッシュ・ボーダーズ・カウンシルの幹部の方との会合に臨むことができることとなりました。


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