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September 09, 2007

ストラットフォードでのシェークスピア劇観劇

妻が帰るのと入れ替わりに、大学生の姪が夏休みでロンドンに来ています。伯父の家に居候し名所めぐりをしようという算段です。

大学4年生の姪は、来年の卒業後の就職も既に決め、今は「卒論の準備」に取り掛かっているようです。シェークスピアも勉強しており、「リア王」を卒論のテーマにするのだそうです。

それなら、と、週末の一日、シェークスピアの町、ストラットフォード・アポン・エイヴォンに出かけました。

インターネットでビクトリア・コーチステーションからのバスを予約し、リュックサックにおにぎりを入れて出かけました。主役は学生ですから、このくらいの安旅行が適当でしょうか。

ロンドンから3時間の乗車で昼前に到着。早速観光案内所に駆け込み、本日のシェークスピア劇の観劇可能性を確かめると、ロイヤルシェークスピア劇場は改修中で閉鎖されていましたが、近くのコートヤードシアターで「Twelfth Night」が都合よく1時半から上演されることを確認し、コートヤードシアターに直行し、当日券を購入しました。

当日券を確保してから、シェークスピア・センター、生家Rimg0275
、晩年を過ごした家の跡などを見て廻りました。町全体がシェークスピアを中心に出来上がっているような感想を持ちました。シェークスピアの生涯に絡む遺構を大切に保存し、この小さな町に劇場が3つもあり、そこでは通年でシェークスピア劇を上演しています。町並みもとても美しく、中心市街地からは車は締め出し歩いて巡る観光地に仕立てています。シェークスピアの埋葬地のホリー・トリニティ教会も大変静かな佇まいの中にあります。シェークスピアの墓は教会の祭壇の前にどっかりと鎮座し、「シェークスピア教会」そのもののでした。

一人の文化人が、歴史の時間の壁を超克し町づくりそのものまでも変えているのを目の当たりにすると、芸術文化の持つ力の底知れぬ大きさを感じます。まさに「人生は短く、芸術は永遠」です。日本の都市でこれに匹敵するところはないかどうか思いを巡らしましたが、宗教で成り立っているところ以外にはなかなか思い浮かびません。

二階建ての市内循環バスもあり、観光客の利便性を十二分に確保しています。歴史、景観、芸術文化、観光産業が融合したすばらしい事例です。

ところで、私はこれまでシェークスピア劇にはあまり縁がなかったのですが、この際トライしてみました。姪から、彼女の勉強している内容をコンパクトに聞き、シアターの売店で購入した、John HowardのTwelfth Nightのイラスト解説にざっと目を通し、観劇に臨みました。

劇場は大入りで、老若男女の目の肥えていそうな観客でいっぱいでした。台詞の機微な表現を理解しないで見ていることは少し苦痛ではありましたが、演劇のストーリーは十分に理解できたので、シェークスピア劇の雰囲気を味わうという意味では観劇の意味がありました。Rimg0282

姪の解説によると、シェークスピア劇は近代演劇の原点ともいうべきもので、写実的な舞台装置は使わず、観客の想像力をかき立てて台詞で勝負するシンプルな劇なのだそうです。もともとキリスト教の信徒教化の手法であった聖史劇とオックスフォード大学などで弁論力を高めるために使っていた演劇手法が、16世紀末にシェークスピア劇の形で融合し、爆発的な人気を博したということでした。

英国にいて、姪からいろいろ教えられるとは思いもよりませんでしたが、これこそ「我以外皆我師」ということでしょうか。売店で、「Essential Shakespeare」という厚手のハンドブックを購入しました。この本で事前に勉強して、いくつかの他のシュエークスピア劇を見てみたいと思います。ロンドンにはグローブシアターもあります。さてさて、ロンドン在任中にいくつ観劇できるでしょうか。

帰りのバスで、往路でも一緒になった老婦人の二人連れと話をしました。「この町はどうでしたか」と聞かれたので、「観劇をしたのですよ」と答えると、「台詞の英語は理解できたのですか」と問われ、「個々の台詞は理解できなかったが全体の流れは理解できたのでよかったですよ」と答えました。ところで、フランス人とドイツ人のこの二人連れ老婦人は、「日本にも行ってみたいが物価が高く英語表記も少なく外国人にとって不便だ」という情報をお持ちでした。私は、「最近は円安で欧州の方にとっては物価は驚くほど安いですよ。英語表記も少しは改善されています。」と答えましたが、確かに外国人がインターネットで情報収集をする場合に日本の観光情報が英語で対応できるかというと非常に制約が多いように思えます。こちらでは交通機関の予約はその多くがインターネットで済ませます。

チェルシーへの帰宅は夜少し遅くなりましたが、家の近くのインド料理を食べました。少し高価なインド料理でしたが、この日は英国への切り口がまた一つ増えた日になったので、値段のことはあまり気になりませんでした。


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