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August 22, 2007

パリのレンタサイクルとロンドンの混雑税

パリ市が大規模な自転車レンタルサービスを始めたとのレポートが自治体国際化協会のパリ事務所から届きました。

フランス語の自転車「Vélo」と自由「Liberté」を合わせ、「Vélib」というのがこの仕組みの名前です。パリの750箇所に専用の駐輪場があり、全部で10,648台が貸し出されているというものであり、パリ市の気合いの入れようが分かります。

時澤忠パリ事務所長によると、既にパリの街には、渋いグレーのVélib号を乗り回す人がちらほら出始め、なかなかの人気とのことです。

利用者は、予め登録する必要があり、登録は有料ですが、1年登録料が29ユーロ、1週間5ユーロ、1日1ユーロとなかなか廉価のようです。それ加えて毎回の使用料がかかりますが、最初の30分は無料、その後30分延長するごとに1ユーロの追加になりますが、30分ごとに駐輪場に戻して乗り継ぐことができればカード代以外はかからないという気の利いた仕組みのとのこと。

そして驚くべきことに、この事業は納税者負担はゼロなのです。パリ市と広告大手ジェーシードゥコー(JC Decaux)が契約することで、同社が市内で優先的に1600の広告パネルを設置する権利と交換に運営に要する経費を負担することになっているのだそうです。この契約により、広告料金が市の財源となり、市の財政も潤うという勘定になります。

パリ市では、市民や観光客に対し、交通渋滞知らずで環境に優しい自転車でセーヌ川沿岸をめぐり、ルーブル美術館やエッフェル塔観光を楽しんで欲しいと呼びかけているのだそうです。

パリ市は年末までに拠点は1451か所、自転車台数2万600台まで増やす予定があり、それまでに20万人以上の利用者を期待しているとのことです。

日本と同じくフランスでも自転車は車道を走らなければなりませんが、パリ市のデラノエ市長は街からの車の締め出しも進めており、今後その相乗効果が現れてくるかもしれません。

自治体国際化協会パリ事務所のホームページに詳しいレポートが載っています。  

ところで、このパリ市の自転車レンタルサービスについては、ロンドン市のケン・リビングストン市長が大変興味を持っているとの報道がイギリスでもなされています。パリのやり方が、やり手のリビングストン市長の琴線に触れたようです。ロンドンでは来年市長選挙が控えています。

ところで、ロンドン市では、中心市街地の混雑緩和のためにコンジェスチョンチャージという課徴金制度を導入しています。これはロンドン中心街に一般の車が入り込む際には、8ポンドの課徴金が課され(居住者は9割減免)、それを支払わないと多額の罰金が課される仕組みです。平日の朝の7時から夕方6時までの時間帯が規制されます。

8ポンドというと円換算では2000円にもなり、大変厳しい規制ですが、識者の間ではこの仕組みがなかなかの評判で、ロンドンは以前のような混雑はあまり見られなくなったと言われています。この混雑税導入によるロンドンの混雑解消が、フランスとの2012年のオリンピック誘致競争において、ロンドンが逆転勝利した要因のひとつだと指摘する向きもあるくらいです。

そしてこの混雑税の仕組みは、バーミンガムなど英国のほかの都市への広がる動きを見せていますが、ロンドンでは、これに加え、一日2キロ歩こう運動、自転車利用運動といった取り組みにも熱を入れています。

日本でも松本市などで乗り捨て自由な自転車利用制度が実験的に導入されていますが、環境にやさしいこうした取り組みは今後世界の都市で広範な広がりを見せるかもしれません。

東京都はロンドンオリンピックの後の2016年のオリンピック誘致に向けて、体制を整えつつありますが、公共交通政策など都市の環境政策自体がオリンピックの実現と密接に結びつくという観点も忘れてはなりません。外郭環状道路の完成は、都心の混雑緩和に役立つと見込まれますが、制度面のソフト対応も要検討の様に思われます。

私たちの事務所のネットワークにより、こうした環境面での世界の都市の取り組みも同時並行的に観察していきたいと思っています。

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