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May 01, 2007

WiMAXと条件不利地域

過日広島県三次市でのNPO「ひろしまね」の皆さんとの勉強会で、中山間地域のブルードバンド環境が悪いことが、この地域の衰退を加速しているとの指摘がありました。

その際に、私の方から、WiMAX(ワイマックス)という通信手段が近いうちに実用化されるので、過度に悲観したことは無い。行政の関与も必要かもしれませんが、いろいろ勉強しておくことが必要です、と申し上げました。

さて、そのWiMAXですが、Worldwide Interoperability for Microwave Accessという英語の略称です。通常日本語に訳すことはないのだそうですが、総務省の移動通信課の方に伺うと、「敢えて訳す」と、「マイクロ波帯無線アクセスのための全世界相互運用システム」とでも言うのでしょうか、ということでした。

これは、光ファイバーやメタル回線の敷設、DSL等の利用が困難な地域にあって、いわゆるラストワンマイルの接続手段として期待されている無線通信技術の一規格だということです。

想定される利用形態としては、移動的な使い方と固定的な使い方の二種類があり、前者は主として都市部で使用し、全国サービスに馴染むと想定されるようです。無線アンテナの属性が広く面をカバーする機能を有し、アンテナの機能としては「指向性が低い」ということになるようです。

「つくばエクスプレス」が、電車の中でパソコンのインターネットを楽しめますが、都市部の全ての領域でこれが可能になるということです。

これに対して、固定的な使い方としては、条件不利地域での地域的サービスとしての活用です。したがって地域免許に馴染む使い方ということになります。費用対効果の点でケーブルを伸ばせない地域に、電波を遠く飛ばせる「指向性の高い」アンテナを立て、加入者宅へのラストワンマイルの障壁を取っ払うものです。基地局と中継局は最大10キロくらいの距離ならば電波を飛ばすことが可能で、更に中継局と各家庭の端末局は、半径4キロくらいまでであれば大丈夫というものです。

このアンテナは、「高利得アンテナ」というのだそうです。「利得」というのは、アンテナの能力を表す指標で。送信の場合は、アンテナが空中にどのくらいの強さで電波を増幅し発射することができるかという性能を表し、受信の場合は、空中を飛んでくる弱い電波をどれくらいキャッチできるかという性能を表すのだそうです。因みに、アンテナは、電波を送る場合にも使いますし(携帯の基地局や東京タワーなどについてるアンテナなど)、受信機が電波を受ける場合にも使います。

そして、「高利得アンテナ」というのは、条件不利地域のような場所で、長距離で無線通信を行いたいときに使うアンテナということになります。すなわち、電波を送る側であれば、高利得アンテナで指向性を強くして特定の方向に強く電波を発射する、 あるいは電波を受ける側であれば、遠くから飛んできた弱い電波を高利得アンテナでしっかりキャッチするということとなります。

ちなみに、携帯電話についているアンテナは、特定の方向に強く電波を出すものではなく、360度の方向に電波を分散して出したり受けたりする「定利得アンテナ」を使っているのだそうです。これにより、携帯のユーザは、どの方向に基地局があるか意識しなくても、360度の方向でいつでも電波を送受信できることになります。

さて、このようなWiMAXが実用化されると、日本の条件不利地域といわれていた地域は、少なくともブロードバンドに関しては条件不利の状況が一変します。

自然環境や歴史・文化などの潜在的資産を開花させることも出来るかもしれません。現在は、若い人は携帯電話やインターネットが使えないところには足を向けません。若い人をその気にさせる環境が整備されるとなると、後は地域資源を発掘し如何にその魅力を発現するかのコンテンツの勝負・地域力の勝負になります。

地元ケーブルテレビなどは、WiMAXの地域免許の獲得に乗り出すところもあるのでしょう。その上で、地域の魅力をたくさん引き出し、住民の皆さんに誇りと将来の希望を与える役割が期待されます。行政とタイアップした取り組みが求められます。

なお、WiMAXと類似のシステムとしてFONというものがあります。FONも基本的には無線LANの一種のようですが、通常、我々が自宅用に無線LANの基地局を購入した場合には、自宅用の基地局には他人に使って欲しくないので、他人が使えないように暗号を設定しますが、FONの場合はむしろFONのユーザが設置する基地局をFONのユーザであれば誰でもアクセスできるようにすることで、主に住宅地を中心に、広域に無線LANサービスが利用できるようになるもの、です。

これに対して、WiMAXは、広域でサービスが受けられるという点ではFONと共通するところもありますが、通信事業者が自ら広域に電波を発射するための基地局を設置しているという点、更に事業者が計画的に基地局を置局する分、使い勝手の面ではWiMAXの方が上回るのではないかという点が相違点であるというのが移動通信課の方の解説でした。

周波数の世界はとても難しい世界ですが、地域の活性化と大いに結びついているので、よく勉強をしなければなりません。

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