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May 05, 2007

民力の宝庫、須坂市

5月2日から5日にかけて、3泊4日の日程で、北信濃から新潟県を北上し、村上市まで行き、その道をまた戻り帰京するというツアーを挙行しました。北信越の地域興し巡察ツアーとでも名付けうるものになりました。

出だしは須坂市で行われた2日の講習会でした。須高CATV主催のコミュニティ再生とコミュニティツールの進化に関してパワポを使い90分間お話を申し上げました。少子高齢化で人口が減少する中で地域力を高めていくためにはどうしたらよいのかという観点、SNSやCATVなどの進化がコミュニティの担い手を繋ぐ役割を果たしうるという観点などを組み合わせ、実例をご紹介しながら話をしました。

須坂市議会の財前文夫さんからは、地縁組織とNPOなどのテーマ別のコミュニティのプラットホームの実現可能性について質問を頂くなど、問題意識の高い方々の前での講習会であったようでした。

コミュニティやICTの話を人前で話すのははじめてでしたので、随分と心配しましたが、須高ケ-ブルテレビの丸山康照社長や日本ケーブルテレビ連盟の千葉公事業部グループ長からは、分かりやすかったとの言葉を賜りました。

せっかくの機会でしたので、はじめて訪問する須坂市をぐるっと見せていただきました。

臥竜公園、そこに隣接するカンガルーのハッチで有名な須坂市動物園は市民の憩いの場です。一時は廃止を検討せざるを得なかった動物園も、ハッチの機転を利かせた芸のお陰で、今や入場者が増え続け、須坂の観光の目玉のひとつになっているとのことでした。クララというお嫁さんとの間に、第二にも生まれ、少子化時代をうち消すような明るい話題に沸いています。須高CATVは常時ハッチとクララの寝室にカメラを向けるサービスを提供しています。

カンガルーを素材に映像配信で地域活性化を図るというアイデアは、なかなかのものです。動物園も、本当に手作りの動物園で、お金ではなく心を込めている様子が訪れる人の支持を取り付けているように思われます。

動物園には井上忠恵副市長と伺いましたが、動物園運営はまだまだ赤字だけれども、動物園の有する集客効果とその経済効果を考えると、廃止しないでおいてよかったと、井上副市長は語っておられました。

ハッチとクララのおめでた動物園のあとは、人間の子供を育てる保育の場を訪問しました。須坂で子育て支援に取り組むNPO法人「へそのお」の倉石知恵美理事長のご自宅に伺いました。

子育て体験の共有化をキーコンテンツとして、地域に人と人の繋がりを取り戻そうとする運動に発展しています。

私が訪問したときは、ちょうど、醤油の「天地返し」の作業を親と子が一緒にやっている最中でした。香ばしい香りがほんのりと漂い、親と子が一緒になってワイワイと楽しそうでした。Photo_37

子育てを誰にも相談できずに育児ノイローゼになる母親が増えているという報道に接する機会が最近多くなっていますが、このような機能が全国各地にあると、そうした心配は払拭されるだろうに、と思えてきます。

この施設が想定している親子像は、生まれてから保育園・幼稚園に入るまでの子供を抱えた母親なのだそうですが、子供が保育園や幼稚園に入ったあとも、母親はこの施設に集まってくるのだそうです。他の親も幼稚園や小学校入学後の生活などを事細かにアドバイスしてもらえ、先の心配が氷解してくるのだそうです。Photo_38

皆で体験を共有することが母親達の安心を呼ぶのです。倉石理事長は、味噌も自家で造り、それぞれの友人宅に寝かせているのだそうです。体験と情報と食物を共有し、母親同士の絆を深めています。

子供の発達障害に悩む親向けに講習会を企画したり、市の福祉の担当課と日々情報を交換したりと、八面六臂のご活躍の倉石さんは、ご自身でも6人の子供を育てているスーパーママなのです。Photo_39

テキパキと判断を下していく姿を間近で見ていると、こちらも頑張らねばと発破をかけられているような気になります。そして、極めつけの言葉に打たれました。私が、市から財政支援はあるのでしょうか、と伺うと、「市の補助金は不要です。むしろ市に私たちの活動を見ていてもらえるという実感があることが有り難いのです」との言葉を自然に発しておられました。自立した市民感覚というのはこの様なものなのだと感心しました。

ところで、須坂市は、千曲川の支流の扇状地に広がる農業が盛んな地域です。市役所の職員も兼業農家が多いようです。総務部長の中澤秀樹さんもその一人です。車の中で話をしましたが、元々稲作の専門家として市役所に就職し、農業関係を13年やったあとは福祉や企画や企業誘致など様々な仕事をし、現在は総務部長なのだそうです。そして現在は果樹を手がけ、ブドウの育成に余念がないようです。とにかく土づくりが大事であること、ブドウは根を深く張らないので、表土をどの様に確保していくかということが死命を決すると語っておいででした。

退職したら思いっきり農業をやりたいという生き生きとした声が印象的でした。

この様に農業に対する意識の高い人が多いことは、「信州すざか農業小学校」という市の取り組みにも現れています。

子供の健やかな成長に欠かせない自然・体験活動を会得させる場として、年間を通じた農業小学校を開設しているのだそうです。土曜日に年間20回ほど活動。先生は地元の農家。市内の小学生が55人参加。三木正夫須坂市長が提唱して始まったのだそうですが、ここでも自立の意識が旺盛のようです。農業者の方々が、「市がやるのは結構だが、農業は俺達に任せてくれ」と地元の農家が運営を自分たちでやっているのだそうです。校長先生も地元の農家の方が就任して、指導農家による職員会議もあるのだそうです。

ちょっとしたきっかけがあれば、地域力がドックンドックンと引き出される地域が須坂であるように思えてきます。三木市長も、須坂は民力が高いことを実感していると語っておられました。

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