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May 06, 2007

上田市の土づくりのカリスマ

4日の午前中に村上市から上田市に戻り、安曇野市経由で5日のこどもの日に東京に戻ってきました。

村上市にご一緒した方々は、実は、上田市で土づくりを考え、実践している人たちでした。「上田市自然環境対策支援プロジェクト」という名称のグループを作り、熱心な取り組みをされておられます。中心メンバーは小林功氏という無線設備関係の会社経営者です。

小林氏は、大変農業に詳しく、村上市の行き帰りの車の中で、農業技術や土づくり、農薬の問題など様々なことをお話しいただけました。

除草剤に関しては、真剣にその問題に取り組んでいかないといけないということを強調していました。ちょうど今の時期は田植えの時期ですが、田んぼによってはあぜ道が黄色くなっているところがありました。小林さんはそれを指さし、あれが除草剤をまいているところなんですよ、と教えてくれました。DDTは発ガン性があるということで禁止されていますが、同じダイオキシンをより多く含有する除草剤は禁止されず、現在でも大手を振って蒔かれていることを嘆いておられました。

小林さんの信念は、土をしっかり作れば農薬も除草剤も不要になる、というものです。その信念の元に、ご自身が土づくりを手がけているのです。

小林さんは、現在各地で収集した菌を常温で集積培養し、効率的に有機物を土に変える菌を作っているのだそうです。EM菌というものがありますが、小林さんの菌はそれよりも多面的に働き、とても可愛い菌なのだそうです。

上田に戻って小林さんの営む実験プラントを見せていただきましたが、剪定や間伐などで出てくる木の枝を小さく切り、それに小林さんの菌を攪拌し、土に変えていくというものです。土になりかけたものを見せていただきましたが、臭いもなく、熱を帯びた堆積物が横たわっていました。Photo_51

今は木の枝ですが、生ゴミなどにも有効に作用するのだそうです。臭いも気にならない程度に消すことが出来るのだそうです。

近所の上田市立塩田中央保育園では、この小林さんの菌を使って作った土で野菜を作っているのだそうですが、化学肥料や農薬も使わずに、たわわなトマトやきゅうり、サツマイモ、ネギ、スイカ、メロンなどが出来ており、園児は畑に出るのが嬉しくて仕方がないとのことです。前の園長の北川恵子さんがこの自然農法に理解を示し、たまたま通りかかった保育園の庭には、野菜が沢山植えられていました。

小林さんの実験プラントのある施設の敷地内の畑では、全く農薬を使っていない土地に玉ねぎ、ニンニク、アスパラなどが植えられていましたが、玉ねぎなどは、背景にある独鈷(どっこ)山を背にして、ピンと張った茎が元気そのものでした。Photo_52

土づくりこそ農業の基本であるという話は、宮崎県の都農町のワインづくりの小畑暁氏から伺ったばかりであり、偶然とは言え、強い印象を受けます。

小林さんの語りの中で印象的だったのは、いもち病の話でした。小林さんが語るいもち病のメカニズムは次のとおりです。

・いもち病は、葉や茎に糖がたまりすぎると発生しやすくなる。
・通常、稲は根を張り、光合成などで得た栄養分を根から土中に与え、その栄養を菌が無機物に分解したものを根が吸収し稲自身が体を作るのに使う。
・しかし、化学肥料を使うと、稲は根を十分に張らなくとも吸収しやすい化学肥料を栄養にすることが出来る。
・その結果、化学肥料を施した田んぼは、早い時期から濃い緑の田んぼになっている。
・しかしこれは不正常だ。あぜ道の草の緑に比べ稲の緑が濃いのは、化学肥料のためであり正常ではない。
・たまたまある年が冷夏になると、植物の本能として、更に糖分をため込むようになる。
・いもちは糖分が大好きであり、糖分のふんだんにある稲をめがけて押し寄せる。
・喩えてみれば、子供が小さいうちからマクドナルドを多量に食べさせるようなものが化学肥料農法だ。
・食生活がしっかりしないうちに栄養価の高すぎるものを食べると糖尿病になる。
・いもち病は、稲の糖尿病なのだ。
・いもち病を防ぐには、土の能力を高め、稲が根を通じて土の菌に栄養を与え、それを無機物に分解したものを稲が根を通じて吸収するという稲本来の自立した能力を高める方法しかない。
・そのためには、土づくりが最も大事なのである。

私は農業に関しては、門外漢ではありますが、この小林さんの話はとても論理的であり、説得力があります。実際に、農家は自分が食べるお米は農薬や化学肥料を使わないという話はよく聞く話です。小林さんの土を使った無農薬水田は、隣の田んぼがいもちにやられても何の影響もないのだそうです。

大量生産で効率性を追い求める農業政策の中で、日本の農業はとても大切なものを見失ってきたという思いが小林さんにはあるようです。だから子供達に土づくりの大切さ、自分で作物を育て自分で食べてみるということの喜びを体験により教えていくことで、時間はかかっても今のやり方を変えたいという強い信念があるようです。

なにやら、村上市で伺った、都市計画道路が伝統的町並みを壊してきてしまったそのやり方が、同じように農業においても行われてきて、それに対して、伝統的考え方に基づき土づくりから始める農法を考えるという小林さんと、村上市の吉川さんは、分野は異なっても考え方は実は同じ理念の下にあるよう思えてきました。

急いで高度成長を追求する余り失ってきた多くのものを少しづついろんな局面で回復しようとする現代のルネッサンスが、ここに来て見えざる手に誘われるように始まっていると感じます。

ちょうど、小林さんの実験プラントが生島足島神社の近くにあり、神社にお参りしてきましたが、この神社はものを生み出す生成の神社です。何か新しい生成物が出来上がりつつあるように思えてきます。

上田から信越本線で篠ノ井まで出て、そこから篠ノ井線で松本、その後大糸線で安曇野市の両親のいる実家たどり着き、両親の無事な姿を確かめて翌朝帰京しました。何とローカル線の不便なことか。

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Comments

某新聞社の投稿欄に、春になると具合の悪い人が多くなり、医者が、「除草剤の季節ですからね」と半ば諦め顔で言うという記事が出ていました。人によっては、「撒き水代わり」に除草剤を蒔く人もいるのだそうです。

過日新潟県を訪問したときも、テレビのコマーシャルで、除草剤のCMが出ていました。

ご一緒した小林功さんは、「長野ではここまでおおっぴらなコマーシャルはやらないね。新潟では余程除草剤を多用しているんだね。」とおっしゃっておられました。新潟のコシヒカリのブランドイメージは本当に大丈夫なのか、心配になりました。

もの凄く細やかな健康志向があると思えば、超寛容な除草剤散布が放置されているというこの現実。

原産地証明もいいですが、この田んぼで除草剤がどの程度使われているか否か、農薬は何が使われているか、土はどうやって育成しているか、そのような情報も重要情報として付加すべきですね。

新潟平野は除草剤の蓄積の宝庫だなんて言われたら大変です。でも大丈夫なのでしょうか。

市民運動も、公共事業反対ばかりではなく、この様な面でも注意力を発揮して欲しいと思います。


Posted by: むーさん | May 10, 2007 at 10:49 PM

こんにちは。先週、田植えしに行きました。「たぐつ」というものを持ってないので、長靴で参戦したら、歩きにくくすぐぬげたので、裸足で入ってましたら、「除草剤まいてるから裸足はやめれ!!」と怒られました。
でも、そこで作った米喰うんだよなあ、とフクザツでした。
それますが、機会があったらSNSの利用について、みたいな話を教えてください。
こんなとこに書いたらいかんでしたか??

Posted by: とんばら人。 | May 08, 2007 at 10:49 PM

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