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April 12, 2007

「限界集落」と「誇りの空洞化」

永田町の勉強会で、小田切徳美明治大学農学部教授から限界集落についてのお話を伺いました。また、阿智村の岡庭一雄村長にも限界集落に関して現場の声をお伝えいただきました。御両者の話の概要は以下のとおりです。

ゆっくりと、そして徐々にではありますが、極めて深刻な事態が進行している実態が透けて見えてくるような思いがします。

(小田切教授)
・ 中山間地域では、①人の空洞化、②土地の空洞化(農地)、③地域社会の空洞化、の3段階の空洞化が起こっている。
・ 4段階の空洞化の背景には、こんなところに住みたくないという「誇りの空洞化」がある。この全体像を理解し、この点に切り込まなくてはならない。
・ 総務省・国土交通省の合同の調査では、全国では、消滅可能性のある集落が全体の4.2%であるとの結果が出た。山口県に着目すると、地形的に行き止まりである集落では、この数字は40%にも達している。
・ また、山口県においては、「非農業集落化」した地域を、壮年人口4人未満の集落がとりまくなど、「社会的空白地域」が生まれている。

・ 集落の限界化のプロセスは、①限界化初期、②限界化中期、③限界化末期の3段階ある。中期において集落活動は急激に落ちる。一方、末期においても、人口はゼロにはならない。
・ 集落機能の低減の過程では、(それ以降集落活動が急激に落ちる)臨界点がある。
・ 集落が無人化する前に、集落機能は消滅するが、その後完全な無人化までは比較的長い年月がある。

・ 重要なことは、限界化をできるだけ食い止めることであり、特に、「臨界点」までが勝負。
・ 住民には集落への強い思いがあり、強制的な集落移転政策はなじまない。かつて高度成長時代には「移転先には豊かな生活が待っている」というエネルギーがあったが、今はそれもなく、強制移転は訴訟等により大きな政策コストを要することとなる。
・ 「危機ばね」という現象もまま見られる。例えば、産廃施設が建設されるかもしれないということで、住民が反対運動に一致団結し、「危機」を「バネ」として集落が元気になることがある。これを「どっこい生きている現象」と呼んでいる。
・ (人がいても)集落機能が消滅しているケースでは、前向きな対応は難しい。

・ 集落の支援は、ステージに応じて行っていくことが重要。
・ 限界化以前であれば、集落を超えた「広域的コミュニティ」の構築等が有効。
・ 限界化初期であれば、中山間地域等直接支払制度等により「こんな地域まで国は目を向けてくれた」と住民に思わせ、あきらめさせないことが重要。また、都市農村交流等を通じて、住民に外の目を意識させることも有効。
・ 限界化中期になると、「むらおさめ」も視野に入れる必要がある。集落が消え行く場合、集落に蓄積された知恵や財産を保全するアーカイブ活動が必要となる。「ひとつの集落が無くなることはひとつの図書館がなくなることに匹敵する知的後退である」ということを国民が共有していく必要がある。

・広島、島根、山口においては、集落の崩壊が激しいが、同時に、新しい試みもそこで起こっている。しかし、(地域の)資源を活かし切れていない。
・「誇りの空洞化」が進むと、あらゆることがきっかけとなって、ガタガタと崩れていく。地域の誇りを再生する政策が必要。
・限界集落も問題だが、人口3万人~5万人程度の中小都市の崩壊が進んでいることも深刻だ。例えば、中国山地においては、津山市以外には映画館がなくなっている。
・ある集落を「限界集落」と決めつけてしまうことは危険かもしれない。
・「危機バネ」は、例えば、若い後継者を巻き込むことができた場合などに、発現している。

(岡庭村長)
・地域力は確実に低下している。再生に当たって、今がギリギリのタイミング。真剣に地域のことを考えたことのある1940年代生まれの人々(60歳台から70歳台)がまだ元気なうちに地域力を再生しなければならない。
・地域力がなくなるということは、市町村、更には国を支える力がなくなるということであり、地域力の再生は、国としても取り組まなくてはならない課題であり、ある程度方針を出すことが必要。EUにおいても、欧州自治憲章や欧州議会の決議で社会的共同体の役割をしっかりと位置づけている。

・農地の荒廃が進むことで、有害鳥獣が出てくる。阿智村では18年度に猪だけで280頭を駆除した。有害鳥獣被害により、農業を行う意欲のある人も農村から出て行く。
・阿智村でも、農村振興という観点から、農村への民泊、特産品の開発に取り組んでいるが、なかなかうまくいかない。
・限界集落については、水源を守るといった観点から、国家政策という側面がある。それぞれの地域にあった支援を行っていくことが必要。
・(一定の要件のもと農業者等に交付金を交付するという)中山間地域等直接支払制度は、国がそこまで気を使っているという気持ちが端的に伝わっており、農村を元気付けてくれている。

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