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April 29, 2007

MMMとMTM

日経新聞の4/26付けの長い記事に目が思わず目が行きました。オシム@ジャパンという表題の記事で、武智幸徳というスポーツ記者が書いたものです。

最近サッカー関係者の中で、MTMという言葉が多用されているのだそうです。「マッチ・トレーニング・マッチ」の略で、試合をしてその中で見つけた課題をトレーニングで克服してまた試合に臨む、という流れのことをMTMと言うのだそうです。理想の概念なのだそうです。

これに対して、MMMというのが対立概念。「マッチ・マッチ・マッチ」の略です。毎日毎日が試合で、試合の中で得た克服すべき課題をトレーニングで昇華する余裕のない状態を指すようです。実際にはこれが現実。

資金力のあるクラブチームは、実力伯仲の選手層を厚くし、20人前後の選手を抱え回転をよくする。そして、MTMで常に次の試合に臨める体制を整える。しかし余裕のないチームは、有力選手を常時試合に出し、常に忙しい選手と常にベンチで控えている選手が二極化していくというものです。

しかし、強いチームでも、この傾向は否めず、やたらに酷使される選手とベンチを温める選手が分かれてゆくことになります。

一試合一試合毎に最善の闘いをしなければならず、手を緩められないのでこの様なことになって行きます。オシム監督も、特に最近の過密日程が呼び水となり、特定の選手に試合数が集中し、逆に力に見合うだけの出場機会に恵まれない選手が増加しているといった事態が進んでいると語っているのだそうです。

翻って、この様なことは組織に中にあっても日常的に見られることです。常に考えて行動し意思決定している一握りの人と、決定や指示を固唾をのんで待っている人と、分かれています。

中央集権か地方分権かの議論も同じような構図です。やや単純かも知れませんが、中央政府の決定がないと地方が動かないし考えもしなくなる、といった対比です。

往々にして、意思決定の立場にある人でも、必ずしも十分な情報を得て意思決定を行うことにならないため、誤ることがままある。しかし多くの人がその意思決定に従うので、間違いの結果の広がりと影響は大きい。常に意思決定の立場にある人に全く異なる観点を得る機会を与え複眼的に考えていくことができるようにしていくことも大事なのです。

さて、スポーツの世界の理想はMTMだということですが、職場のジョブローテーションも同じ発想でやっていくことが必要のように思われます。忙しかった人は暫く時間を与え、チャージする機会を付与する。そうしてまた暫くしてディスチャージさせる。そういうことの繰り返しで、実力伯仲の人々に出来るだけ機会を与える。その繰り返しで組織力と個人の能力を高めていく。個々人の精神衛生や家庭生活にもよい影響が出てくる。

常在戦場でそんな余裕はない、ということかも知れませんが、長い眼で見た組織の人事管理や社会の安定の観点からも不可欠な視点だと思われます。

オシム監督は、また、外国である時期を過ごすことはとても面白い体験で、長い人生のなかで必ず生きるときが来るとも語っています。

妙に共感する「オシムの言葉」でした。

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Comments

大変示唆に富んだお話かと思います。

少し視点は違いますが、職場を見回すと、計画的に余裕を持ってやっているな……と思うところ、いつも仕事に忙殺されているところ、様々です。

特に、忙しい職場は、とりあえず目の前のことを片付けなければという事で、「改善」をするまもなくやっているのですが、結局1年中同じ状態が続いています。

このような時は、一旦立ち止まって、

●このままで良いのか。(現状の認識)
●何をめざしているのか。(目標-到達点の確認)
●この進め方でよいのか。(手法の是非)

等を行い、意識の共有化を図るべきで、まさにそれこそが指揮官の役目でもあります。

また、長い人生で見た場合は、たとえば仕事の責任者として主任になったとき、中間管理職としての課長の立場、あるいは組織のトップになったとき、その時々にスキルアップをしていく機会を、組織として考えていく必要があると思います。

これをやるかやらないか、組織として結果的に大きな差が出ますし、個人的にもいわゆる「燃え尽き症候群」にならないようにすべきでしょう。

Posted by: 下沢孝一 | May 02, 2007 at 06:01 PM

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