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April 10, 2007

Get your kicks on route 66.

東京アメリカンセンターというところでは定期的に米国関連の講習会を開催しています。各界のオピニオンリーダーに声をかけ、硬軟織り交ぜた講演会を連続的に実施しています。

概ね、20-30分の講演に質疑を加え、1時間から1時間半の講習会です。同時通訳付きで、米国政府が対外広報にとても力を入れているのかが分かるような気がします。一般の人に、さり気無くそれぞれの分野の専門家の肉声を伝えていくことは、その国のイメージ作りの重要な手段です。聴衆にはマスコミの外報部関係者の姿を見ることも多く、米国からの公式非公式の情報量が多い中では、好むと好まざるとに拘わらず、意識形成や記事内容もそれに影響されるものと思われます。

私も時間があるときには出席するようにしていますが、ボルトン前国連大使の話などは硬派の代表でした。つい最近のカシミール・ヨーク教授の話は中間でしょうか。4月9日の夜の講師は、そのような比較では「軟派」の代表であり、とてもリラックスした内容でした。

「アメリカの母なる道 ルート66から学ぶ」という表題で、歴史的遺産保存、カルチュラル・ランドスケープ研究の第一人者のチェスター・リーブス(Chester Liebs)バーモント大学名誉教授の話を伺いました。Route

ルート66はシカゴとロサンジェルスとを結ぶかつての米国の基幹道路であったそうです。今は州間高速道路に取って代わられ、昔日の栄光はありませんが、半世紀の間、ルート66は、西海岸への主要な観光・産業道路として国民的愛着を込めて記憶される神話的存在となったのだそうです。

ルート66に関しては、数多くのリンクがあり、歴史遺産としての保存のための組織まで作られています。
http://www.national66.com/
http://www.historic66.com/books/

リーブス教授によれば、このルート66は、元々インディアンの使っていた道などを繋いで西海岸に出る基幹道路として作られていったのだそうです。西部開拓。そして1930年代の大不況の時代、アメリカ中西部農業地帯を旱魃が見舞い、オクラホマ州、カンザス州、ミズーリ州の農作物は全滅し、干からびた土地が砂埃に変わり、ミシシッピ盆地は「黄塵地帯(dust bowl)」と呼ばれ、多くの農民は新たな職を探してルート66沿いに西海岸へ向かったのだそうです。

ジョン・スタインベックは、「怒りの葡萄(The Grapes of Wrath)」の中で、ルート66のことを「母なる道(the mother road)」と書いているのだそうです。

トミー・ドーシーバンド(Tommy Dorsey Band)のドラマーのボビー・ツロープ(Bobby Troup)は「ルート66で行こう(Get your kicks on route 66)」を作詞し、この歌は一世を風靡したのだそうです。リーブス教授の解説では、kicks の意味は、「ワクワクする気持ち」、「どきどき感」の意味があり、「route 66でドキドキしようよ」というのが、曲名の文字通りの意味だそうです。今では余りはやらない英語の使い方のようです。

その「母なる道」も、1956年代中ごろから、広く、直線で 、速い州間高速道路に取って代わられ、今日では、その名称を冠する道路はなくなり、一部に往時の面影だけが残っているのだそうです。

リーブス教授は、しかし、「ゆったりと旧道を走ることで見えないものが見えてくる」、ということの意味を強調しておられました。「ハイウェイを通っていると、全てをバイパスしてしまう。道の歩き方は人々の意識に大きな影響を与える」、と言っておられます。

翻って、日本でも、旧街道を復活し、その地域の歴史的文化を再発見する動きが盛んです。地域のアイデンティティを発掘することで、地域活性化に繋げる意図もあります。ルート66に関する米国の官民の動きは、日本の旧街道保存活動にも大いに参考になりそうです。

そのうちに、日米旧道シンポでも企画してみたらよいのではないか、と思えてきました。


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Comments

リーブス教授を下沢さんのところにお連れしましょうか。いろんなアイデアを頂けるかも知れません。本人は、日本の街道がお好きのようです。

Posted by: むーさん | April 10, 2007 at 08:32 PM

ずいぶん前のことになりますが、地域の活性化には、4つの風「風景、風味、風土・風紀」が必要だというお話をうかがったことがあります。
さて、街道という言葉を聞いてまず思い浮かべるのは、あまりにも有名なドイツの「ロマンチック(中世の香りがする)街道」です。
ドイツでは、海外への旅行が盛んだった頃、この需要を国内へ振り向けようという政策の元に整備が進められたと聞いております。
日本でも、最近国土交通省が「シーニック・バイ・ウエイ」という施策を打ち出していますが、補助金が出るということになると縛りも多いようで、従来型の方式に限界を感じます。
観光街道は、既に日本にもいくつかの例があるようですが、エリア(行政界)を越えて、大胆な構想が打ち出せないものかと思います。
そして、その街道に必要なものは「4つの風」です。

Posted by: 下沢孝一 | April 10, 2007 at 06:43 PM

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