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March 15, 2007

夕張観光再生の経営哲学

夕張の再生に関して、観光カリスマであり、また地域再生マネージャーでもある加森観光の加森公人代表取締役のお話を伺う機会がありました。

オーナー会社の社長であり、一代で優良企業に育て上げた自信みなぎる経営哲学に基づき、北海道に寄せる思いを伺い、大いに元気付けられる思いがしました。また、地域社会を支える地場の企業の地域貢献のあり方を垣間見る思いもしました。

加森観光社長の話

(クマ牧場からスタート)
・札幌に本社を置き、北海道中心に50年間観光事業に携わってきた。
・日銭を扱い、年の売り上げが450億円に上っている。
・「クマ牧場」を登別に作った折の発想は、霧がかかりやすい登別に自然のほかに見るべきものが無いのかと考えたことによる。
・北海道のヒグマを観光客は実際には見たことが無い。8頭からはじめ繁殖により「日本一、世界一」のクマ牧場にまで持っていった。「オンリーワン」というものはそれ自体が立派な観光資源になりうる。

(ONE-PAYのビジネスモデル)
・ビジネスモデルとしてはONE-PAYという仕組みを取り入れている。一度料金を払えばすべての施設の利用ができるというもの。これにより客単価が上がる傾向がある。

(惚れてこそ見えてくる地域の魅力)
・観光振興や地域再生を行うためには、「その地域に徹底的に惚れてみること」が大事だ。そうすればよいところが見えてくるものだ。
・支笏洞爺国立公園の中央にあるルスツリゾートの再建も引き受けた。こじんまりとしたリゾートであったが、札幌から一時間半、泊まっても日帰りもありうるという立地条件に着目した。
・人間の行動パターンは、「太陽に向かって行動する」という本能がある。ルスツは札幌の南にあり、350万人の後背地を抱えている。札幌以外の北海道を考えると550万人のマーケットだ。しかし、実際には550万人の4倍の2200万人のマーケットがあると考えている。
・何故かというと、ルスツリゾートについて、「春夏秋冬」の四季ごとに来てもらえるリゾートを目指し得たからだ。
・観光は通常後背地人口の1割が年間来場者の対象マーケット規模と考えている。実際、夏・冬で550万の1割の55万人×2に春・秋の観光客を加えて160万人の観光客を集めた。
・こうしてルスツリゾートは再生した。

(海外リゾートでの成功の秘訣)
・国内でバブル経済が起こり、国内投資が割高になったので海外に目を向けた。
・オーストラリアに、ローパイン・コアラ・サンクチュアリーを運営している。これは世界初・世界最大のコアラ保護区だ。
・コアラ飼育の鍵は、ユーカリの植樹だった。500種類のユーカリのうちコアラが食べるのは10種類。日本の資本が入ってくるということで当初現地の住民の反発もあったが、「コアラに愛の木を」ということで地元の子供たちに植樹をお願いしてから地元の対応が変わった。7万本のユーカリ植樹ができ、コアラ飼育が軌道に乗り、地元からも支持されている。

・米国のスキー場運営も成功した。コロラド・デンバーのスチムボードは輸送交通の条件が不利だったが、未使用の郡の飛行場に民間航空機をチャーターすることを思いつき、7割の座席保証を航空会社に約束し、次年度以降は8-9割の稼働率になり、初年度の未達分のみ保証金を払っただけ。
・大都市直結の飛行機で行けるスキー場として、いまや他のスキー場を凌駕している。
・レイクタホのヘブンリーは、カジノのお客をゴンドラで山の上に持っていく企画を考えた。ゴンドラで山の木を切ることに自然破壊の懸念の表明があったが、車で山の中腹まで行ってスキーをすることと比較し、ゴンドラで行くほうが排気ガスをなくし却って環境によいということを前面に出し、クリントン大統領から補助金までもらって、森の木をゴンドラの一条分だけ切ることによりスキー場は成功した。

(近隣ホテルは味方)
・そうこうしているうちに日本でバブル経済が崩壊し、米国から帰国した。不良債権処理で困っている人を助けるのが自らの使命と考え、銀行の保有しているビルを買い、ホテルにした。銀行は手放したがっており、融資条件を有利にさせ、購入した。
・ホテル経営の秘訣は、「近隣ホテルは敵ではなく味方だ」と考えるべきということだ。
・同業のホテルとして、リネンや油の仕入れを一緒にやるということだ。それによりコストが大きく縮減でき、ホテル経営が成り立った。

(経営は身軽で)
・トマムも引き受けた。リゾート施設を買い取ってくれと言われたが、それは断った。「設備を持ってはいけない」というのが鉄則だ。官も民も痛みわけが必要で、施設は地元のシムカップ村に寄付し、運営責任だけを引き受けた。700人以上の従業員の雇用を守った。固定資産税を地元に払って雇用確保までは出来ない。その資金は施設のリニュアル投資に使った。

・サホロリゾートは354億円の借金を抱えて倒産したが、地域振興関係の補助金を受け経営に乗り出した。ゴルフ場の預託金は加森観光としては承継しないが、ゴルフ会員の皆さんには、ゴルフ利用の利便は従前のとおり認め、更に加森系列のゴルフ場利用の特典をつけ、真にゴルフをやりたい人からは喜ばれている。

・登別マリンパークは、施設所有を第三セクターから登別市に変更するとともに、料金を据え置いたものの利用価値を高めた。サメやエイ、カブトガニに「触れられる」プールをたくさん作るという企画で観光客を集め黒字にした。

・民事再生法の適用を受けた別府の杉乃井ホテルは、大浴場の屋根の修繕がネックで外資も腰が引いたが、我々は思い切って屋根を取っ払った。そうしたら西日本一の露天風呂となり、ユニークな温泉ホテルとして短期間で黒字化した。

(遊戯設備は廻して採算をとる)
・北九州市のスペースワールドも引き受けた。遊園地というものは一つだけ持っていてもだめだ。設備は一つの遊園地だけでは費用回収は難しい。加森は5つの遊園地でジェットコースターを移設回転させることで設備投資を回収している。

・長野県の王滝村のおんたけスキー場も運営を引き受け、索道部品のグループ共同仕入れにより黒字化を実現している。

(スギ花粉症に注目)
・地域再生マネージャーとして、上士幌町を再生する役割を担った。ここには杉が無いのでスギ花粉が出ない。スギ花粉症の人には願ってもない場所だ。モニターツアーを企画し、大当たり。スギ花粉症2000万人のマーケットは大きい。JTBもJALもツアー商品を生み出した。
・この視点を実は夕張に生かしたいと思っている。

(夕張観光は再生できる)
・当初夕張を見て、ここは無理だという結論を出していたが、30年来の友人の武部先生のご要請を受け、北海道のためということで考え直した。
・「夕張に惚れて」新たな視点で改めて夕張を見直した。すると違う面が見えてきた。
・マウントレースイスキー場は、千歳空港から最も近いスキー場だ。スキー場の真ん前にJR駅がある。高速道路も至近にある。札幌から一時間半。人工降雪機もある。そして、山がスキー学習にぴったりの形をしている。ゲレンデを滑ってくると自然にセンターハウスに集まる。迷子が出ない。駐車場からそのまま、スキーイン・スキーアウトできる。Photo_22

・夏場は、日本一の石炭博物館がある。これはナンバーワンであり、オンリーワンの世界に誇れる観光資源だ。
・企業再生的な観点で夕張を診断すると、夕張の病名は「現代病」だ。何にでも手当たり次第手を出してダイエットに失敗した。贅肉を落とす必要がある。施設の通年の営業などは不要だ。通年の施設と季節を限った施設と峻別すべきだ。何でもかんでも365日営業すれば赤字になる。例えば7万人の観光客で黒字になる体質を植えつける必要がある。
・夕張は幸いなことに、20箇所の観光施設がほぼ歩ける範囲に集約されている。離れているところには巡回バスを回す。その上で、ONE-PAYシステムを導入する。20施設の入場料を足し上げると5250円になるが、これを温泉施設を含め3000円程度に抑える。定額制だと観光客は安心し、商店街にも観光客が流れ飲食店、売店で地域の売り上げが増す。
・以上は冬と夏の話だが、「桜」と「もみじ」を植樹し、春と秋の観光も視野に入れたい。これは、友人の「ニトリ」の似鳥昭雄社長がそれぞれ1万本の植樹寄付により対応を検討してくれている。世界有数の桜と紅葉の里が出現する。
・スギ花粉の無い夕張は別荘地としても売り出せる。別荘特区を設定し、制度上優遇し、スギ花粉症で悩むの全国の金持ちに別荘を作ってもらって、年間3ヶ月はこちらで過ごしてもらい、残りの期間は会社がそれを引き受け、貸し出しなどで管理し一石二鳥の対応も想定できる。
・子供の教育との連携もありうる。1歳から5歳までの間に土に親しむことでアレルギー体質を改善できる。都会のスギ花粉症アレルギーで苦しむ生徒が夕張で3学期を過ごせるような工夫も必要ではないかと考えている。
・夕張リゾート株式会社を現地に設立し、夕張の観光施設を一体として運営していく。

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