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March 08, 2007

農山村のコミュニティ振興

下伊那郡阿智村の岡庭一雄村長から阿智村のコミュニティ作りに当たっての問題意識を伺う機会がありました。行政と住民の役割分担に意を払いながら、安心した生活ができる仕組みづくりに知恵を絞っておられる姿が浮かび上がってきます。

公民館活動を基盤とした社会教育運動に携わってこられた岡庭村長ご自身の蓄積が阿智村の今日に至る住民自身による主体的な地域づくりの源泉になっているようです。

「協同がひらく村の未来」(自治体研究社)という著書も頂きましたが、大いに啓発されます。光ファイバーを各戸にまで引き、農山村にいても、情報基盤だけは都会並みにという発想は、情報こそが農山村の生き抜く道だとの慧眼であると承りました。そのとおりだと思います。

岡庭村長の話の概要は次のとおりでした。

・山村のコミュニティをめぐる課題は、急激な高齢化と人口減少ということで、割と安定したいわゆる村の中心部と、ここは何年か後には集落が崩壊をしていってしまうのではないかというところとはっきりとした対比が出てきている。
・日本の経済の発展ということから考えれば、常に農山村は日本の経済発展の中では、どちらかというとスプリングのような役割を果たして、不況になれば農村に帰り、景気がよくなればまた都市へ行くという形で、工業化や都市化の流れの中で農村が吸収してきた部分があったが、そういうものが既に機能を失ってきている。
・都市に働いている若い人たちも自分の親の老後の問題をいつも気にしないと暮らしていけない状況になってきている。日本全体の発展ということから考えると、農山村のかつてない、先の見えない状況というのは、日本全体の問題としても考えなくてはいけない。
・不耕作地が拡大し、荒廃地化が進み、熊とイノシシとサルで困っている状態だ。かつて戦後、開拓等をやってきた耕地が全く荒れ果てていってしまうということで、災害に非常に脆くなってきている。
・既に人口が減り農地だけ残り、誰の耕作地なのかもわからないところが出てきている。所有権の特定のできない状況になっている。災害の観点などから考えると、非常に大きな課題ではないか。
・再生とまではいかなくても、ある程度維持しながら、若干でもこのことを防いでいくにはどうしたらいいかということも考えている。
・一つは地域自治組織をもう一度再生させていくという観点がある。総合的な機能を持つ自治会を立ち上げ、行政主導というよりも、個々の住民の皆さんが抱えているさまざまな課題を役場の職員と住民の皆さんがともに話し合いをする中で、子育てをどうするか、地域おこしをどうしていくかという形で、自発的な意思を尊重しながら自治組織の再編を行っていっている。
・自治という問題について、古くて新しい課題だが、行政主導ではなしに、住民自治という問題を意識的に取り組んでいかないと、地域を自発的に活性化させていくことはできない。行政だけの力では、なかなかもう手に負えない状況に来ている。
・行政のやらなくてはならない仕事は、セーフティネットをしっかりとひき、安心して老後も暮らせる状況をつくる、地域の安全をつくることだ。
・情報のあり方についても、都市と同じような情報が入るようにすることが必要だ。光ファイバーを敷設し情報については都市と同じぐらいの整備をしている。テレビを見るだけでなしに、インターネット環境等も整えながら、人と人とでできない部分をバーチャルなところで補っていけるような、そういう安全のネットもつくっていく必要がある。
・特に東海地震と南海地震の指定地域を抱え、地震の問題はいつも頭の中に入れながらやっていく必要がある。
・コミュニティの再生という問題については、基本的にその地域に生きている人たちが、どうやったら安心して生きていけるのか、国土の保全がどうしたら図られるのかという観点で、国づくりの原点を問う問題だ。

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