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February 15, 2007

コミュニティ研究会

このところ、コミュニティ議論が盛んになりつつあるように感じられます。時代の流れもありますが、それだけ地域社会が切羽詰ってきているのかもしれません。私どものところでも、研究会を立ち上げることとしました。その趣旨などについて、以下のような書き物にまとめました。

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(総務省もコミュニティ施策に乗り出す)
総務省では地域社会の活性化に向け、コミュニティの再生・発展に関する総合的な方策の在り方について検討を始めることとした。2月7日に有識者12人で構成する「コミュニティ研究会」(座長・名和田是彦法政大教授)を土屋正忠政務官の下に発足させた。さまざまな地域活動が重層的に行われることが、地域コミュニティ全体の機能を高めるとの認識の下に、5月をめどに中間報告をまとめ、その内容は重点施策へ反映させたいと考えている。

(総務省の問題意識)
なぜこの時期に総務省がコミュニティ施策に乗り出したのか。その背景としては、いろいろあるが、①市町村合併が進展する中で、今後、②地方分権改革が更に進み、③道州制をめぐる議論が本格化してくるに従い、「規模の拡大」の観点ばかりが進むと、もともと地方自治体が存立してきた基盤の1つである共同体意識が、拡散してしまう懸念が生じてきている。このため、地域共同体というものをどう考えていくべきなのか、現時点で見詰め直していく必要がある。
伝統的な地域コミュニティの担い手は、自治会・町内会をはじめとする地縁団体だが、近年はまちづくりや環境、子育て、防災・防犯といった特定の目的・機能を持つ団体も存在する。また、インターネット上の仮想空間でコミュニティが形成されるケースが急速に増えている。
最近は、NHKの「ご近所の底力」という身近な地域社会をめぐる番組が脚光を浴び、地域社会に目を向けようという機運も盛り上がっている。この番組には、多様で独創的な「地域力」発揮のノウハウが蓄積されており、コミュニティの活力を回復させる上の様々なヒントがある。http://www.nhk.or.jp/gokinjo/
番組のチーフプロデューサーの佐藤高彰氏に話を聞いたが、その視点大変興味深い。佐藤氏は、元々「クローズアップ現代」を手がけ、当初、「底力」をはじめた頃は、地域の問題がこんなに注目されるようになるとは想像していなかったそうだ。国内外で喝さいを受けるような題材を取りあげた「クローズアップ現代」と、身近なコミュニティの草の根的な細々とした問題解決を取りあげた「ご近所の底力」では、自ずから人々の関心の度合いが異なると考えたこともあったそうだ。しかし、意外や意外、ロングラン番組となっている。
各地の事例を取材した経験を踏まえての「成功の共通の秘訣」について、佐藤氏は、
・うまくいっているところは若者の参加を得られている。
・若い人を巻き込むノウハウがある。
・金銭的負担が大きいところは入り口でダメ。1000円を超える自己負担は失敗。
・参加が容易なものが成功している。
・議論をし始めるとだめになる。
・とっかかりは、少人数の熱心な人がとにかく突っ走る。すると周りがついてくる。
といった幾つかの成功の要素を語ってくれた。
ところで、地域コミュニティの置かれている現状は都市部、過疎地域、その中間地域で大きく異なる。一般的に都市部は住民の移動が頻繁で、昼夜間人口も乖離しているため、地縁的なつながりは希薄になりがちだが、特定の目的・機能を持つコミュニティは形成されやすい。逆に過疎地域は地縁的なつながりが比較的強いものの、人口減や高齢化でコミュニティの維持自体が困難な地区もある。
研究会はこうした現状認識を踏まえ、地縁団体と特定目的・機能団体を総合的・一体的に維持し、活性化できないか、との観点から検討を進める。
メンバーも、都市部、地方都市、農山村部の首長、社会学者、行政学者、歴史学者、都市工学者、比較コミュニティ学者、NPO関係者などの知見を糾合し、多面的に検討をしていく。
具体的な検討項目は、総論的には、①)地縁団体と特定目的・機能団体の連携をどのように図るか、②団体間のコーディネート機能を備えた地域活動のプラットホーム(共通基盤)の構築は必要かどうか、③ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)と呼ばれるネット上の紹介制サイトや、ケーブルテレビ(CATV)などのコミュニケーション・ツールをどのように活用するか、④専門家グループのコミュニティ活動へのサポートをどのように活用するか、⑤コミュニティ活動やその支援に必要な財源をどのように確保するかなどの事項を想定している。
また、各論的な分野では、子育てや教育、歴史・文化・景観の維持・保全、特産品の開発・維持、防犯・防災などの地域活動に対する支援策についても検討し、「限界集落」を有する過疎地域における集落の在り方も模索できればと考えている。

(コミュニティ政策の統合を)
研究会では、総務省がこれまで関係部局ごとに実施してきたコミュニティ関連施策を有機的に連携、統合するという視点からも議論していきたい。
総務省ではこのところ、部局単位で各種コミュニティ関連施策に取り組んできている。例えば,自治行政局では、情報通信技術(ICT)に代表される新しいコミュニケーション手段の活用策を探る「コミュニティ・ツール研究会」や、地域SNSのモデル構築を目指す「ICTを活用した地域社会への住民参画の在り方に関する研究会」、市町村における地域活性化の新規施策事例集の作成を行っており、消防庁では「地域安心安全ステーション」を拠点として、地域コミュニティが行う防災・防犯活動の優良事例を、他地域へ普及させる地域安心安全ステーション整備モデル事業などがある。情報通信政策局は地域ICT利活用モデル構築事業を実施することにしている。
加えて地方財政措置については、自治体のコミュニティ・リーダー養成事業などに要する経費を普通交付税の基準財政需要額に算入したり、コミュニティ推進地区に関する施策へ特別交付税を措置したりしている。
平成19年度からは、新たに「頑張る地方応援プログラム」を通じ、地域コミュニティで防犯・防災活動に取り組む自治体を支援することとしているが、これもコミュニティ施策の一環とも捉えることができる。
因みに各省庁でも、例えば、①「地域の担い手(ソーシャルキャピタル)」支援の取り組み(内閣官房)②農地、水資源、環境の保全と向上を図る地域住民の取り組みを支援する農地・水・環境保全対策(農水省)③地域におけるボランティア活動や学習機会の提供に取り組む「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業(文部科学省)④地震時は避難場所として、平常時はコミュニティ・スペースとして活用する河川防災ステーションの整備(国土交通省)などが進められている。
コミュニティに関連する法制度としては、認可地縁団体と地域自治組織といった受け皿を制度化してきている。地縁団体は従来「権利能力なき社団」とされていたが、認可地縁団体として法人格を取得できるようにした。
市町村内の一定区域ごとに設置することができる地域自治組織には、地域自治区と合併特例区の2種類があるが、いずれも住民自治の充実が目的であった。このうち地域自治区は、法人格は有しないが、地域住民の意見を反映し、市町村長から分掌された事務を処理する。合併特例区は法人格を持ち、市町村合併の際に一定期間設けることが可能となっている。
総務省では、以上の積み上げの実績も踏まえながら、コミュニティ施策を統合していきたいと考えている。

(バーチャルコミュニティで意見交換も)
研究会は2月7日に初会合を開催した。初回を含め4回程度の会合を経て中間報告をまとめたいと考えている。検討に当たっては、地域活動の現場で活躍している関係者からのヒアリングや、SNSを利用した意見交換も行うこととしている。普段から問題意識の共有や意見交換を行うことで、限られた時間を有効に活用していきたいと考えている。
先述のNHKの佐藤さんは、「日本も案外捨てたものではない!」というのが最近の実感だそうだ。「ご近所から日本の国を変えよう」と今では大きな声で言えるようになっているそうだが、こうした声が全国で満ちるように、総務省も知恵を絞ってゆきたい。
団塊の世代が平成19年度から一斉に大量退職し、会社組織から地域社会に戻ってくるこの時期は、ある意味で地域社会にとっては人的資源活用のチャンスである。新しいICT技術により、時間と空間の制約も取っ払われており、コミュニティ再生の条件は整っていると考えている。悲観的になる必要はない。 

(参考)名和田座長以外の委員は次の通り。(敬称略)
 長野県阿智村長 岡庭一雄▽ローカル・ガバナンス研究所所長 木原勝彬▽電気通信大大学院教授 小池英樹▽筑波大専任講師 小嶋華津子▽信州大教授 笹本正治▽同志社大教授 立木茂雄▽京大助教授 中川大▽福島県伊達市長 仁志田昇司▽Blog防災・危機管理トレーニング主宰 日野宗門▽兵庫県県民政策部政策局長 牧慎太郎▽東京都多摩市長 渡辺幸子

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Comments

山間部はデモグラフィーでしょうね。限界集落問題もコミュニティ論の重要な柱です。知恵をお貸しください。

Posted by: むーさん | February 16, 2007 at 05:29 PM

地方における地域コミュニティー崩壊の最大要因はデモグラフィーではないでしょうか?

全国平均ですら少子高齢化傾向が顕著なのですから、若者の流出が激しい地方においては、高齢者6:勤労者3:若年者1といった人口構成が現実のものとなってい
て、コミュニティーを維持できる臨界値を割り込んできているのではないでしょうか?

Posted by: Escher | February 16, 2007 at 10:30 AM

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