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January 12, 2007

若者の参加でパワーアップするコミュニティ

2002年から続くNHKの人気番組に、「ご近所の底力」という番組があります。
http://www.nhk.or.jp/gokinjo/

様々な悩みや問題を抱えている町内会・自治会の代表20人がスタジオに登場し、過去に同様の問題を抱えていた町内会・自治会の解決法を参考に眼前の問題を解決していくという番組です。

「住宅街の防犯」や「ゴミの分別」、「落書き」など町内会で取り組みうる課題を解決してきましたが、番組のテーマは少しづつ間口を広がりつつあります。

この番組には、多様で独創的な「地域力」発揮のノウハウが蓄積されており、コミュニティの活力を回復させる上の何らかのヒントがあるはずだ、との思いから、NHKに出掛け、お忙しい中にも拘わらず、番組のチーフプロデューサーの佐藤高彰さんにお時間を頂き、お話を伺ってきました。

佐藤さんは、元々「クローズアップ現代」を手がけられておられたそうですが、当初、「底力」をはじめた頃は、地域の問題がこんなに注目されるようになるとは想像していなかったそうです。国内外で喝さいを受けるような題材を取りあげた「クローズアップ現代」と、身近なコミュニティの草の根的な細々とした問題解決を取りあげた「ご近所の底力」では、自ずから人々の関心の度合いが異なると考えたこともあったようです。

しかし、意外や意外、ロングラン番組となっています。

各地の事例を取材してみて、「成功の共通の秘訣」はあるでしょうか、と伺うと、
・うまくいっているところは若者の参加を得られている。
・若い人を巻き込むノウハウがある。
・金銭的負担が大きいところは入り口でダメ。1000円を超える自己負担は失敗。
・参加が容易なものが成功している。
・議論をし始めるとだめになる。
・とっかかりは、少人数の熱心な人がとにかく突っ走る。すると周りがついてくる。
といった幾つかの要素を語ってくれました。

よく、これだけ事例を集めるNHKの取材力はさすがですね、と聞かれることが多いのだそうですが、実は、活発なグループは、自ら発信をしていて、ネットで事例を集めていくと十分な材料が自然に集まってくる、とのことでした。また、成功した事例は、「放っておいてもネットで繋がり自然に広がっている」のだそうです。ネット社会のメリットですね。

ところで、佐藤さんは、番組の作成途上、若い人たちと接触する中で、一般に認識されているのとは異なる若者の実像に接する機会もあるそうです。

例えば、ある地域で、コンビニやコミセンの前でたむろする若者に、「何故ここでたむろするのか、新宿とか繁華街に行かないのか」、と質問すると、若者達は、「俺達は、地元のまちが好きだからここでたむろする。他のところでなんかたむろしたくない」と返事が返ってきたのだそうです。

若者は、好きな地域なのに行き場がないから、特定のところでたむろしている、ということが分かったのだそうです。今の若い人にも、地域社会への思いがある、という観点が、問題解決の出発点となるのです。

堺市では、たむろする若者にアンケートを採ったところ、7割の若者が地域活動に参加してもよいとの結果がでたのだそうです。それを受けて、堺市は若者を地域活動に積極的に参加させる方策を取り入れることにした、という事例もあったのだそうです。

杉並区では、防犯のパトロールにまちのおじいちゃんと子供をペアーにしたところ、子供が普段接しない年輩者との交流が新鮮で、大変好評だったという話も伺いました。

番組で好評なのは、普段の生活に関わる課題で、「防犯」、「災害」、「悪徳商法対策」、「動物もの(カラス撃退、鳩対策など)」、「生き方(グループリビングなど)」といったものなのだそうです。

身近な話題に人々の関心が向いていくというのは、成熟化した社会の現象なのかも知れません。人口減少社会、少子高齢化社会の更なる進展で、こうしたご近所ものは、ますます深い関心を集めていくことと想定されます。

NHKでは、既に約200事例を集めて一応のデータベースを作ってはいるのですが、比較分析といったところまでは手が回っていない、と佐藤さんは残念がっていました。貴重な受信料を使って番組制作を行っているので、できるだけ社会還元をしたいのですが、との感情を抑えながらも志のある言葉に、公務員類似の親近感を感じてしまいました。

今後、コミュニティ振興を進めていく場合には、公共放送の役割も大変重要だと再認識しました。そして、NHKの事例ストックを上手に広く生かす工夫も大切だと思えてきました。智恵は現場にこそあり、です。

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