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November 26, 2006

飯田市のコミュニティー振興への取り組み

合併が進み、旧町村単位あるいは、もっと小さな地域単位で、その活性化策を模索する動きが活発です。コミュニティー政策学会という学会まで出来きており、市町村内の地域自治を重視する政策を提言する動きもあります。

私も過日、その学会の役員をお務めの当時の犬山市長の石田芳弘さんから、「国は合併には熱心だけれども、域内自治のコミュニティー政策にもっと力を入れないといけないのではないか。合併を成功させるためにも地域が生き生きとするようなコミュニティー政策がますます重要となるはずだ」と指摘されたことがあります。

確かに、都市化による人々の流動化、職住の乖離による連帯意識の希薄化、地縁社会への警戒感、自治会加入率の急速な低下等により従来の地域の活動は停滞していると指摘されています。

私自身を振り返っても、現在の住所で、町内会へは自動加入で宿舎の共益費で町内会費を支払っているものの、町内会活動への参加は、防災訓練の見物くらいです。

そのような危機感からか、各地では、まちづくりへの住民参加と地域の活性化のための新しい取り組みが開始されており、「協働」、「コミュニティ」、「地域自治」、「分権」といったキーワードのもとに、自治基本条例・市民参加条例の制定などをはじめとして、市民と行政とのコラボレーションによる新しいシステムの実践と研究が動きだしているようです。

そのような中で、飯田市においては、従来のコミュニティー活動体系を大幅に刷新し、「地域自治組織」を導入する一方、それを支える自治会、各種団体の統合再編をすすめるなど、既存の地域コミュニティの基盤強化の取組に大変熱心にあたっているという話を聞きつけました。そこで、飯田市でその担当をされている伊坪薫さんにお願いして、飯田市のコミュニティー行政の実態と制度改正の考え方について直接をお話を伺うこととしました。

飯田市は、昭和の合併と今回の平成の合併を経て、大きく20の地域に分かれています。飯田の語源も「結い田」というところから来ているという説もあるということで、もともと農村地域のネットワークを大事にする地域性があったのかも知れません。

その飯田市では、これまで地区の支所に市の職員が張り付き、その地域のコミュニティー振興の仕事に深くコミットしてきているのだそうです。伊坪さん自身もある支所に2度勤務の経験がおありだということでした。

その経験と反省を踏まえ、伊坪さん達は、①飯田市への地域自治組織制度導入と、②各種団体(自治連合会、交通安全会、自主防災会等)の「まちづくり委員会」への移行という大幅なコミュニティー施策の刷新を試みている(平成19年4月施行)ということでした。

前者の地域自治組織の設置については、「地域における住民の自立的な活動の仕組みと活動の場を構築し、行政参画を推進し、地域コミュニティを育成していくプロセスを支援するため」に行うものであり、従来あった「地区支所」を「自治振興センター」とその諮問的機関の「地域協議会」により構成される「地域自治区」(=地域自治組織)に移行するという取り組みです。

この地域自治組織の設置の眼目は、①住民の意見をとりまとめる地域協議会の設置と、②住民に身近な事務を住民と連携を図りながら処理する事務所を設置する、という点にあります。これにより住民自治の実働組織が出来るということになります。

後者の、まちづくり委員会の活用、各種団体の「まちづくり委員会」への移行は、業務毎に縦割りの体制で行ってきた個別行政の下請的機能を総合化しようとするもののようで、これにより全体調整と省力化が図れるということのようです。なお、個別の町内会やNPOなどの組織は、この「まちづくり委員会」のもとで従来通りの機能を果たすことになるのだそうです。

地域自治組織に対しては、飯田市は平成19年度から交付金制度を創設し、支援を行っていくとのことです。この交付金の仕組みは、地域共益共同的事務にかかる従来の補助金・交付金等を統合再編し、中核的な自治活動団体である「まちづくり委員会」に対し、使い勝手の良い新たな交付金として一括交付するというものだそうですが、住民の皆さんは、自前の財源に加えこの交付金を活用し、地域に身近な機能をこなしていくことになります。

伊坪さんの話をお聞きしていて、今回の制度改正は、飯田市のイニティアティブで進めているように思われます。住民が望んだというよりも、市の側で適切と考え推進しているように受け止めました。実際には翌年の4月からの施行なので、改正後どうなるのか、とても興味があります。

6度の合併を経て広い行政区域を有するに至った飯田市が、コミュニティーの活性化のために住民参加を求め、何とか地域の自立を促そうという意欲が伝わってきます。

<参考>
なお、地域自治組織ですが、これは、基礎自治体の規模が拡大すればするほど地域内分権がより必要となるとの考えから、基礎自治体の内部組織としてその事務の一部を手がける法人格のない地域自治組織を設けることができます。その組織では、例えば小学校区単位で、公園整備や道路管理など地域共同的な仕事を自治体が条例により委ねることも可能になります。また、合併後に設けることができる地域自治組織は、法人格を持ち、期間を区切って旧市町村の形をある程度残すことができるものもあります。

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