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September 30, 2006

九州の宝島@大合併後の天草

天草広域連合主催の広域連合傘下の2市1町(天草市、上天草市、苓北町)の監督者研修会に4年ぶりにお呼ばれし、天草市民センターで講師を務めてきました。この地域では、広域連合主催で職員研修会を行っているのです。

180人という思わぬ規模の参加者を前に、最近の地方行財政改革の動きなどについて話をしました。ちょうど安倍政権が誕生したばかりで、今後の新政権の施策動向には、皆さん随分と関心があるようでした。お昼をご一緒した何川一幸上天草市長も、新政権の地方財政運営への対応を心配されておられました。

天草地域は、天草市、上天草市、苓北町の2市1町から構成される地域で、天草広域連合もこの2市1町で構成されています。天草市は、平成18年3月27日、本渡市、牛深市と天草郡有明町、御所浦町、倉岳町、栖本町、新和町、五和町、天草町、河浦町が合併して誕生した熊本県下では熊本市、八代市に次ぐ3番目の人口を擁する市です。また上天草市はそれに先立つ平成16年3月31日、天草郡大矢野町、松島町、姫戸町、龍ヶ岳町が合併して誕生しました。苓北町は、火力発電所による固定資産税収入が豊富なこともあり、合併を選択しなかったとのことです。

この天草2市1町の中堅幹部の皆さんに、講演の最後に、合併の評価に関して、意見を伺いました。①合併してよかったと思う人、②合併しなければよかったと思う人、③合併はやむを得ない選択だったと思う人、と3つに分けて挙手を求めました。①はごく少数、②も同様少数、③が圧倒的多数でした。「好むと好まざるとに拘わらず選択せざるを得ない合併だった」との認識が職員の方々の認識のようです。

講習会の後に、連合事務局長の筧克司さんにおねがいして、せっかくの機会なので、現場の職員の何人かの方々と、別途意見交換会を願い出ました。ご快諾頂け、合併後の悩みや普段の仕事を進める中での問題意識などについて、短い時間ではありましたが率直な意見交換が出来ました。意見交換した方々との、今後の継続した情報交換も約しました。

皆さんからは行革がらみで以下のような現状認識が示されました。
・交付税のカットがきつく、合併前に住民に約束した事業が出来なくなっている。
・職員の数や人件費を削減しているが、先の見通しが立てにくい。
・合併により職員の余剰感がでており、この結果、若い職員の採用が出来ずに困っている。
・天草地域では、地域の若い人向けの産業が少なく、公務が一つの地域産業になっており、この分野の圧縮は地域からの人口流出、集落の崩壊に結びつく。
・市民病院が4つあり、これを維持するのが大変ではあるが、市民の安心感維持のためには公立病院が欠かせないとの意見も根強く、苦慮している。

一方で、合併後のまちづくりや仕事の仕方の工夫に関して、次のような事例をお話いただきました。
・天草市では合併後のコミュニティー振興に力を入れており、旧市町単位、小学校区、行政区などの区域単位に独自の住民自治組織を設置し、体系的な住民の自主的なコミュニティー施策を展開している。
・上天草市では、行革の一環として職員に「業務日誌」を書いてもらい、地道に情報共有を図っている。
・観光振興に特に力を入れ、天草を訪問する交流人口を増やす努力をしている。

また、天草市の奈良崎利幸農業振興課長さんからは、別途、新しい試みである農林地トラスト方式によるふるさと志向の団塊の世代をターゲットにした取り組みなどについて御教示いただきました。「緑竹」と呼ばれる小ぶりのタケノコの生産も始まっているなどの話も伺い、天草農業にかける新しい息吹の一端も感じることが出来ました。

筧連合事務局長からは、合併後の連合の事務処理に関して、合併進展により、消防、ごみ処理などの事務を所管している天草広域連合の仕事内容を、天草市による単独組織の対応に移管し、上天草市と苓北町については受託で対応する方式の議論があるとのお話も伺いました。これに対しては、上天草市と苓北町が難色を示し話が進んでいないとのことでした。

ところで、天草市の合併は、2市8町の大合併で、全国的にも10以上の団体の合併は9つしかない中での快挙のような合併と言えます。講習会の翌日、天草市所在の下島をほぼ一周することでその広さも実感できました。朝7時に職泊場所の本渡地区を出発して、牛深、河浦、天草、苓北、五和と巡りました。牛深では、朝のゲートボールから帰る前市長さん夫妻とばったりとお会いしたりもしました。

途中で茂串海岸に足を止め、ここがアカウミガメの産卵地として有名で、自然海岸が保たれていることから、NHK大河ドラマ『武蔵』の巌流島の決闘のロケ地として使われたことも伺いました。茂串海岸の水はどこまでも青く、思わず裸足になり海に足を浸しました。

河浦の時津天主堂、天草の大江天主堂も車窓から臨みました。天草の鬼海ヶ浦の展望台から見下ろす天草灘は波も静で、エメラルドグリーンの海には思わず吸い込まれそうになります。060929_10230001
この辺りには珊瑚も群生し、スキューバダイビングをやる人も増えていると伺いました。私はまだ天草ではダイビングをしたことがないので、これは将来の楽しみに取っておこうと思いました。

天草の隣の苓北町には火力発電所がそびえています。周りの景観とはそぐわない感もありますが、苓北町が火力発電所で潤っていることも事実です。病院や公共施設も立派で、苓北は火力発電所なしには語れない町です。しかし、火力発電所の償却資産の経年経過で固定資産税が減少し、苓北町も交付税をもらわないと財政運営できない状態になっているとのことであり、今後の財政運営は予断を許さないようです。

帰りは、 天草エアラインの飛行機に乗り、天草空港から熊本空港経由で帰京しました。往路は福岡空港経由でしたが、それぞれ、20分程度、35分程度の空の旅で天草まで来ることができるのは、有り難いことです。空港管理事務所の杉山哲恵所長からは、「飛行場が開港して6年経ち、利便性が増し、お客さんも着実に伸びている。飛行場は天草のステータス向上に役立っているが、引き続き売り込みを図り需要を喚起していきたい」との抱負も伺いました。http://www.pref.kumamoto.jp/construction/section/amakusa_airport/index.html

福岡とは一日4往復、熊本、松山は1往復の便ですので、少し少ない気がします。しかし、このようなコミューター空港の活性化は、天草地域の観光や産業振興の活性化と裏腹であり、合併で大きくなった新しい天草市、上天草市の地域振興力、情報発信力が試されていると言っても過言ではないように思えました。

天草市には、この7月から、総務省からの人事交流で、吉添圭介氏というまだ30台後半の副市長が就任されています。私もよく知っている剣道4段の独身ナイスガイです。人事交流効果を発揮するためにも、天草市の職員とアイデアを出し合って、地域発展の起爆剤となって欲しいと思っています。今回の訪問の際も、「天草の真の魅力を体験し、発信するするためにもダイビングの資格くらいは取得し牛深や天草の海も知らなければね」とやんわりとプレッシャーをかけました。前日に話をした10人の職員の方に伺っても、ダイビングをする人はいませんでした。自分のところの魅力というものは案外自分では分からないのかも知れません。話の勢いで、「天草は、九州の宝島」と自称しているけれども、今のままだと、「宝の持ち腐れ島」と言われかねないほどもったいない情報発信ではないですか、などと失礼なことも申し上げてしまいました。

筧連合事務局長は、「天草の人は、はっきりとした指摘をされると喜ぶんですよ」と言ってくれましたが、2度の訪問で私もすっかり天草のファンになりました。次の訪問時には、吉添さんと海底探索もできることを夢想しながら、霞ヶ関に戻りました。戻ると、新しい地方分権推進法の今回の臨時国会提出に向けての作業が待っていました。法案の詰めをしている若手から、「一日半で法案を巡る情勢が変わりました。浦島太郎ですね。」と言われてしまいました。アカウミガメの産卵地の茂串海岸に行ったことは知らないはずなのに・・・と、不思議に思いましたが、よほど顔が緩んでいたのでしょうね。

PS:

後日、上天草市の何川市長さんから連絡があり、「天草の上島、上天草市も海はきれいですよ。私は専ら、山のスポーツ=ゴルフですが、海を知ってこその天草人ですね。ダイビング・・・? 来年もぜひ天草へ。」との嬉しい便りでした。ひょっとしたら、吉添天草市副市長に加え、何川上天草市長とも海底探索を楽しめるかも知れないと、希望が膨らみました。

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Comments

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Posted by: Lambeth | May 18, 2007 at 06:09 AM

外の人の評価で自分の価値を知るというのはよくあることです。
次は、ローマ法王の天草「聖地」訪問、カトリックの聖地指定、などといった文化面にも目を向けたらいいかも知れません。

Posted by: むーさん | October 02, 2006 at 10:33 PM

9月28日の監督者研修会大変お世話になりました。
早速、メールを頂戴し大変感激しております。
また、この「目黒川の畔にて:九州の宝島@大合併後の天草」・・・とても楽しく読ませていただきました。そこで、一つですが・・・天草市は、「九州の宝島」ではなく・・・「日本の宝島“天草”」の実現を目指しておりますことを重ねてお伝えしておきたいと思います。(笑)
ご指摘のとおり、天草に住んでいながら天草のすばらしさを住んでいる私たち自身が体験していない(スキューバダイビング)ということは、そのすばらしさを外部の人たちにもお伝えできないということであり、その宿題は、次回、お会いする時までに果たしておきたいと思います。
いろいろ、勝手なことを書き綴ってしまいましたが、次回、お会いできることを楽しみに・・・すばらしい講演会と交流会の御礼とさせて頂きます。   感謝

Posted by: 池田範康 | October 02, 2006 at 02:24 PM

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