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August 26, 2006

総理候補の問題意識

自民党総裁選挙が近づき、総裁候補の政権構想などが出そろいつつあります。圧倒的に有利とされる安倍晋三官房長官の政権構想はまだ発表されていませんが、「美しい国へ」という文庫本が最近出版されており、霞ヶ関では、それを読んで、公約の内容を想像するというマインドになっています。

この本によると、安倍氏は、自立国家にふさわしい外交、憲法、靖国への思い、ナショナリズムへの考え、日米関係重視、アジア外交、社会保障への立場、教育再生などに関心が高いことが伺われます。

私の仕事の関係では、国と地方の在り方、地方自治、地方税財政、地方分権への取り組みなどについての抱負が記されていないかどうか、精読しましたが、今の段階ではそれらに関するはっきりとした記述は見あたりません。しかしながら、他の項目の中で、間接的に地方の役割に関連する点が触れられており、その問題意識を今後発展され、豊富にしてゆかれることが期待されます。

ところで、いくつかの安倍氏の問題意識をピックアップしてみました。

「どこまでが国の役割か」という箇所では、
・最低限度の生活はきちんと国が保障した上で、あとは個人と民間と地方の裁量でつくりあげてもらうというもの。
・「セイフティーネット」と「自己責任」が重視される社会。
といった国の役割を一定程度に限定する基本的考え方が伺えます。民間や地方の裁量重視という点では、規制改革や地方分権の動きに添った考え方です。

また、
・小さな政府と自立した国民という考えには賛成だが、やみくもに小さな政府を求めるのは、結果的に国を危うくする。
・国民一人ひとりにたいして温かいまなざしを失った国には、人は国民としての責任を感じようとしないからだ。
・そういう国民が増えれば、確実に国家の基盤は揺らぐ。
という記述からは、一定の行政サービス給付により、国民統合の実を上げ、国民としての意識喚起を図るという意識が垣間見られます。

地方行政分野で常に分権議論の対象となる教育改革に関しては、具体的提言が並んでいます。
・義務教育の構造改革は、先ず国が目標を設定し、法律などの基盤を整備する。つぎに市区町村と学校の権限と責任を拡大して、実行可能にし、最後にその成果を検証する仕組みがあってはじめて完了する。
・全国的な学力調査を実施、その結果を公表。学力調査の結果が悪い学校には支援措置を講じ、それでも改善が見られない場合には、教員の入れ替えなどを強制的に行えるようにすべきだろう。この学力テストには、私学も参加させる。
・是非実施したいと思っているのは、・・・学校評価制度である。国の監査官が評価する仕組みだ。
・学校運営の改革という面では、校長の権限の拡大と、保護者の参加が求められる。
・大学入学の条件として、一定のボランティア活動を義務づける方法が考えられる。大学の入学時期を原則9月に改め、高校卒業後、大学の合格発表があったら、それから3ヶ月間をその活動に充てる。

安倍氏は、新しい政権において、総理直属の機関として、教育改革に関する組織を立ち上げるというニュースが最近流れていましたが、この記述からも教育改革にかける意気込みが伝わってきます。本の中では、都道府県の教育行政の充実には触れられておらず、専ら、市町村や、学校現場、地域、家庭の教育力の向上に視点が行っているようですが、分権論との関係でこの辺りの議論の展開に関心が集まります。

もう少し経たないと、政権構想の全体像は分かりませんが、考え方の基本は少し理解できました。その是非については人によって評価が大きく異なるでしょうが、若い総理が誕生した場合の新内閣の今後に注目です。


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