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August 05, 2006

結婚の効用@「愚痴を聞いてくれる妻の有り難さ」

8月5日、港区で、恒例の夏の官民合同勉強会があり、参加しました。8年7ヶ月に亘って内閣官房副長官をお務めになられた古川貞二郎氏のお話を伺う機会があり、長年の蘊蓄にしばし聞き入りました。

古川氏は、長い公務員生活のなかで、与えられたポストは国民からの預かりものであるとの気持ちでいたこと、「逃げない。チャンスは必ず訪れる。」という気持ちで常に前向きに仕事に取り組んできたこと、人の心の痛みが分かる行政官であり続けたい、という気持ちでやってきたこと、を先ずお話になっておられました。

古川氏は、大学卒業後、国家公務員試験に落ち、再チャレンジにより当時の厚生省を志望したものの、厚生省からは色よい返事をもらえず、厚生省の人事課長に直談判して何とか採用されたという経緯をお話になっておられました。そうした経緯もあり、爾来怖いものがないという気持ちで仕事に向かってこられたとのことでした。

8年7ヶ月の間、事務の最高責任者として総理官邸を支える中で、常に(国家の)国としての役割を考えつづけてこられたとのことでした。その柱は3つあり、まず、①国家国民の尊厳、②国家国民の安全確保、③国民の安心の確保ということであったとのことです。①国家国民の尊厳に関しては、拉致問題などは許されるものではないこと、②国家国民の安全確保に関しては、国防・安全保障、治安、防災、日常の安全問題が課題になること、③国民の安心の確保に関しては、年金・介護・福祉・雇用・セイフティーネットなどが問題となること、を例に挙げられました。

古川氏が官邸入りされた平成7年に、阪神大震災、地下鉄サリン、国松長官狙撃、ハイジャック、沖縄少女暴行事件が起きています。日本の危機管理体制は、阪神大震災を教訓とし、これを転機に体制整備が行われてきた経緯をお話しいただきました。的確な情報伝達が遅れたこと、情報共有が不足、自衛隊アレルギー、連携不備、官邸に24時間情報体制がなかったこと、消防用ホースの基準もばらばらといった事例を挙げながら、その後対応がなされてきたことを紹介されておられました。

しかし危機管理対応に満点ということは常にない、国民の防災意識の継続が不可欠で、そのためには防災面の人材確保、各種機関の連携確保が不可欠で、顔が見えなくなると連携が機能しなくなり、システムがさびつかないような訓練が常に必要であることを強調されておられました。

日常の安全安心の問題に関しては、流水プールの死亡事故、パロマ湯沸かし器、シンドラーエレベーターなどの事例を引き合いに出され、物の安全に関して、「気軽」になっているのではないか、アイデアを製品化する技能が低下しているのではないか、責任感・想像力が欠如しているのではないか、ものづくりに対する社会的評価が適切なのか、自己中心主義が蔓延り、他人に対する思いやりが欠如しているのではないか、と最近の風潮に関し、懸念を表明されておられました。

国民の安心の確保に関しては、特に少子化対策への思いがお強いようでした。児童家庭局長時代に、健やかに「生まれ」育つ、との文言が海部総理の施政方針演説に始めて入った経緯をお話しいただけました。当時はまだ高齢者問題にばかり意識が集中し、特に、「生む」ということに関して国家が関与することに抵抗感があった時代でした。その中で、「生む」ことに関して、政府として政策的コミットを行う嚆矢が、この時代に出来たということでした。

古川氏は、構造改革は必要との立場に立ちつつ、「果たしてリストラをやる経営者が有能なのか。苦しいけれども雇用を守る経営者は無能なのか。」という問題提起をなされ、そのような市場万能的な風潮は間違いであると、断じておられました。

更に、今こそ教育問題が政治の最大懸案であると述べておられました。「教育に関しては息の長い取り組みが必要であるが、戦後の27人の総理のうち、3年以上務めた総理は5人しかいない。そのような意味で、政治は不安定。そのなかで、教育問題は、息の長い問題であり、一内閣を超えて、政治の最大課題として取り上げる必要がある」と語っておられました。

最後に、若い人には、志を高く持ってもらいたいとおっしゃられました。志を高くというのは、何も立身出世を言うのではなく、自分以外の人たちの幸せを考えること、それが志が高いということなのだ、と。それを心に秘めれば、よい意味で行き過ぎが咎められ、行動のブレーキになる、と。

「大河の一滴」という言葉が古川氏はお好きとのことでした。自分ひとりががんばっても世の中はどうしようもない、と思いがちだが、一人の人間が相当のことができることもあり、諦めないで頑張って欲しいと、参加者にエールを送っておられました。

家庭の大切さもしみじみと語っておられました。副長官をやっているといわれなき誹謗中傷に曝されることが多く、そうしたときにはどうしても心がささくれ立つのだそうです。しかし、家庭で奥様と話をしているうちにそのささくれだった心が静まってきたのだそうです。奥様は一生懸命夫の話を聞いてくれるが、好都合にも翌朝は忘れてくれるのが有難いとのことでした。職場の同僚と飲みながら愚痴をこぼすと、話した話はどうしても伝わるけれども、奥様との話は外に伝わらない。したがって、結婚をし、家族を持つことの意味は、「妻が愚痴を聞いてくれ心が和むこと」にあり、未婚者にはこうした結婚の効用を知らせ、「何故結婚しないのか」と問いたい(一同笑い)、とのことでした。

しかし、妻の存在が愚痴の原因になることもあり、よほど注意深く結婚相手を選ばなければならないことも、また一方で真実なのです。尤もこれは、妻の立場から見ても同様なのでしょうが。

公務員の世界で道を究めた方の含蓄のある本音の話に、暫し暑さも忘れ聞き入りました。特に最後の結婚の効用に関しては、若い皆さんに対して使えるフレーズだと、早速頭にインプットしました。

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