独自路線の青木村の財政指標拝見
長野県青木村が、当面合併をしないで独自路線を歩むという方針にある前提として、村の財政指標が健全であり、当面十分にやっていけるとの判断があるという話を伺い、早速、その証拠を見てみることとしました。
最近では、自宅にいながら、このことが比較的簡単に検証できてしまうのです。
総務省では、住民等の理解と協力を得ながら財政の健全化を推進していくために、類似団体(人口規模・産業構造が同じような団体)間で主要財政指標の比較分析を行い、ビジブルに住民等に分かりやすく開示する方途の一つとして、「財政比較分析表」を作成・公表しています。http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/bunsekihyo.html#LinksShi
現在、都道府県、市町村の全ての団体の比較分析表が公開されています。結果をチャート図で示すことで、これを見ると、その団体の「人間ドック」の結果が一目瞭然になります。
現在のところ採用されている財政比較分析表における指標は、①財政力を示す財政力指数、②財政構造の弾力性を示す経常収支比率、③公債費負担の健全度を示す起債制限比率、④将来負担の健全度を示す人口1人当たり地方債現在高、⑤給与水準の適性度(国との比較)を示すラスパイレス指数、⑥定員管理の適正度を示す人口1,000人当たり職員数の6指標です。
総務省では、この指標を更に充実し、住民の眼で見て分かりやすい個々の団体の財政指標の公開を検討しています。
ところで、長野県青木村の指標は、類似団体に比べ、全ての指標に於いて健全な数値となっています。①財政力指数は指数が大きいほど健全ですが、類似団体平均の0.20を若干上回る0.23、②経常収支比率は、指数が低いほど健全ですが、類似団体平均の90.9%を大きく下回る79.5%、③起債制限比率は、指数が低いほど健全ですが、類似団体平均の10.3%を大きく下回る6.8%、④一人あたり地方債現在高は、指数が小さいほど健全ですが、類似団体平均の105万円を大きく下回る54万円、⑤ラスパイレス指数は、指数が低いほど健全ですが、類似団体平均の92.7を下回る87.8、⑥職員数は指数が低いほど健全ですが、類似団体平均の16.69人を大きく下回る9.68人となっております。
宮原毅青木村長の自信は、自らの村政運営の実績とこうした指数に裏付けられているのです。
因みに、青木村が合併するとしたら、常識的には上田市が相手なのでしょうが、上田市の財政指標は、①財政力は0.70で青木村よりは高いが、類似団体の中では中位、②経常収支比率は86.6%で青木村より悪い、③起債制限比率は13.5%で青木村の倍悪い指標、④一人あたり地方債現在高は51万円で青木村よりは若干良いがほぼ同じ水準、⑤ラスパイレス指数は97.8%で10ポイントほど青木村より悪い指標、⑥職員数は6.27人で青木村よりは少ないが人口規模が違うのでこれは当たり前、という感じです。
総じて、財政力指数以外は財政構造は総じて青木村の方が健全であるように見けられるということでしょうか。そこで出てくるのが、茅野市の矢崎市長の指摘です。合併には、「食べて行けないから行う合併」と「グレードアップのための合併」との二つがあり、青木村は後者の立場にあると認識できますが、仮に合併の決断があるとしたら、グレードアップを何時、どの様に考えるか、ということになるのでしょうか。合併によって青木村のグレードアップが図られると認識するか否か、そこがポイントなのでしょう。
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