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August 05, 2006

民間リスクマネージメントの最新事情

損保ジャパン・リスクマネージメント代表取締役瀬尾隆史氏から、保険会社的視点から見た自然災害とリスクマネージメントの最新の問題意識を伺う機会がありました。

行政サイドで防災・危機管理を仕事としていた経験からすると、違和感のない話でしたが、着実にこの分野のビジネスモデルが出来上がりつつあることを、心強く思った次第です。

瀬尾氏の話の概要は次のとおりでした。

・ 2005年のハリケーンカトリーナ被害が史上最大の保険損害支出であり、450億ドル。日本での最大保険金損害は91年の台風19号で81億ドル。阪神大震災は、32億ドル。阪神大震災の直接損害額は10兆円と言われたが、保険支払いとしては「少なかった」。
・ 90年以降の自然災害が大きな被害をもたらしている。保険の世界で言えば、アジアの災害被害額は「小さい被害」。しかし失われた人命からするとスマトラの津波被害などアジア地区が圧倒的に多い。
・ 風水害に比べ地震被害に対する保険支出は少ないのが特徴。これは制度的課題。
・ 2004年10個の台風が上陸。2004年の風水害による保険支出は史上最高の7274億円。
・ その年に台風が来るか来ないかは、損保業界にとっては最大関心事。
・ カテゴリー4以上の台風が発生する割合が高まっている。1975-89の25%から、1990-2004の41%に。これは地球温暖化の影響なのか?
・ 「居住用建物」等に対する地震保険金支出の最大は、阪神大震災で783億円。
・ 地震発生確率は小さい数字でも実際に地震は起こるものであることを知るべし。福岡の地震は確率が低くても起きた。
・ 地震保険の加入率が全国平均でやっと2割を超えた。(長野県は低く9%。)
・ 地震保険はある意味で欠陥商品。火災保険とセット。地震保険の保険金額に制限がある。火災保険の保険金額の一部に押さえられている。建物では5000万円という限度額あり。しかし、来年から地震保険料が所得控除の対象に。
・ 火災保険に入っている場合には、台風により屋根が飛んだとすると、保険金が支払われる。保険会社としては、被災地の家々をチェックして、保険金支払いに当たる。自動車保険で保険金支払いを渋った事例で業務停止命令を受けたが、火災保険の例を見てもらっても、保険金支払いを渋るようなマインドがあるわけではない。
・ BCM=事業継続マネージメントが最近クローズアップされている。企業にとっての重要な業務を選定し、最大損失を数量的に予想し、復旧へのボトルネック、復旧時間の設定をするというもの。これにより、被害を受けても重要業務を中断せず、仮に中断しても短時間で再開するような事業継続追及の仕組み。
・ BCMクローズアップの背景として、事業中断の影響の連鎖拡大、生産効率化で脆弱性が増加、企業の社会的責任の要請、新会社法の施行による経営マターとしてリスク管理体制の構築の要請などがある。更に自然災害、テロ、突発災害の多発といった状況。政府もガイドラインを示し始めている。BCMがISOとして企画化されている。
・ 事業継続計画BCPの策定ポイント。経営トップによるマネージメントが重要。重要業務の洗い出しに関してはトップのリーダーシップが重要。訓練をやって検証してみることが必要。損保ジャパンでも訓練→安否確認の連絡に対する返信が7割しかなかった。メール上、着信拒否の解除ができていなかった。訓練してみて計画が機能しているか分かる。

民間リスクマネージメント専門機関のトップから、極めてコンパクトに、最新のリスクマネージメントの現状を伺うことが出来、気持ちが引き締まる思いがしました。

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