川上村議会をお迎えして
6月23日に長野県南佐久郡川上村村議会の行政視察があり、総務省にもお寄りになられました。藤原忠彦村長の他、原房一郎議長、藤原紀昭副議長、佐原吉平総務常任委員長といった村議会の全員が参加された研修会でした。ところで、川上村には、苗字に「原」のつく方が多いのだと、名刺を頂いて思った次第です。
私からは、最近の地方財政に関わる焦点をお話しました。政府内では、ちょうど、基本方針2006の取りまとめに向けて、歳出・歳入一体改革の中で、地方財政の規模の縮小幅をどのレベルにするのか、交付税をどの程度確保していくべきか、について、与党とのあいだで議論が行われているその最中だったので、日々刻々変化する状況を、お伝えすることが出来ました。
この基本方針取りまとめに向けて、与党、総務省、財務省、地方自治体が、それぞれどの様に議論を戦わせているかという、その現状を、最新の資料を交えお話しすることが出来ました。
昨年は、夏に、川上村を訪問し、南佐久郡内の首長さん向けに、三位一体改革に関わるお話をさせていただきましたが、今回は、「その後の議論の状況」をお話申し上げた次第です。「三位一体改革は、自治体関係者は苦しい改革だとお思いかも知れないけれども、その後に見込まれる歳出圧縮圧力の議論に向けての、地力をつける期間だと考えていただくべきではないか。そのためにこそ、補助金削減と税源移譲を見合いにし、17年度、18年度は地方が必要とする地方交付税、地方税といった所要の一般財源は確保するということの閣議決定まで行った。今のうちに地力をつけて、その後の厳しい歳出カットの圧力に耐えうる体力を付けておいて欲しい。」、という話をした記憶があります。
今回、まさに、その議論の延長線上の話をしました。内容的には大変厳しい話になり、村議会の方々からは、①削れといわれてももう削るところが無い、②地元選出の国会議員が動いてくれているのか分からない、③先が見えない、④合併も地元事情が複雑に絡み合い進めたくても進まない、⑤国の公共事業削減に加え県の事業も輪をかけてカットされたり、市町村に負担転嫁されたり、県内の事業所が他県に移ったり他県の工事を求めて赤字覚悟の出前出張までしている、などという悲鳴に近い声が出ていました。
長野県では、県の債務残高を減らしているとの「戦果発表」が行われているようですが、その陰では、急激な事業圧縮に伴う県内経済、県民所得の落ち込み、人口の社会減の加速(平成13年以降1.2万人の社会減が起きている)という事態が続いているようです。藤原村長も、「自治体は仕事をやめればすぐにでも財政は好転する。しかし単純にそれが出来ないのが行政なのだ」という悲痛なお話をされておられました。
いずれにしても、この様な形で、霞ヶ関の職員が、村議会の皆様と直接話が出きるということは、お互いにとってとてもよいことだと思います。議会事務局長の小林仁史さんが引率の責任者でしたが、テキパキと議事を運んでおられました。私からは、「長野県内の町村の東京連絡事務所長のつもりでいますから、いつでもご用命を」、と申し上げました。
村議会の皆様は、このあと、青果市場である太田市場を視察されました。川上村のレタスの太田市場への出荷が始まったこともあり、関係者への挨拶も兼ねて視察をされたようです。私も夕方、太田市場での視察後の懇談会に飛び入り参加しました。一度太田市場に行ってみたと思っていたことも動機付けでした。都心からは少し距離はありましたが、非常に広大な市場でびっくりしました。24時間稼働している首都の台所です。JA全農長野の東京販売事務所もこの太田市場に居を構え、長野県産の野菜の販売促進にご協力されているとのこと。普段見えないところで、多くの皆さんが日々の生活を支えているのだと再認識した次第です。太田市場の24時間は以下のリンクでその様子が見て取れます。http://www.shijou.metro.tokyo.jp/about/04/02.html
なお、議会事務局の小林さんによると、次の日は、民間(農協系統以外の)卸売り関係者の話も聞き、まったく視点の違う話に、農協関係者をはじめ議員も戸惑ったとのことですが、よい刺激になったようです。何事も異なる視点で物事を見ることは必要なことです。議員研修が有意義なものになったであろうことは間違いないようです。
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Comments
下條村の少子化対策の件、27日夕方テレビで見ました。
村長さんの本音というか、正直なお話に問題解決の原点を見たような思いがしました。
Posted by: 海老原典子 | June 26, 2006 06:46 PM