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April 30, 2006

県立図書館として蘇った県議会議事堂

連休の初日、このところ体調の良くなかった妻を連れだし、気分転換に水戸方面に久しぶりのドライブをしてきました。水戸の旧市街地が大きく変わっていました。

全体に、空き店舗や空き地が目立つ中、伊勢甚という老舗のデパートが撤退した跡地には、別の大きなデパートが威容を誇っていました。その近くにあった私どもの住宅は、既に取り壊され、駐車場になっていました。県庁の資産売却方針の元で払い下げが行われたのです。駐車場の片隅にわずかに残った植木と塀とが、当時の面影を偲ばせるものでした。

妻が、思わず、「私たちの住んできた家は、皆無くなっているわね」と呟きました。そう言えば、この家も含め、武蔵野市吉祥寺北町の官舎も、群馬県庁勤務時当時の公舎も、今は取り壊されるか用途廃止され、思い出の証拠が消えていくこよに一抹の寂しさを覚えます。

昼食は、県庁近くの、「いずみや」という、うどん屋で食べました。とても太くて量の多いうどんで、水戸在住時代、随分と通った食堂でした。たまたま、当時の顔なじみとバッタリと会い、お互いに懐かしがりました。そのお店に、「夢でもいいから持ちたいものは金の成る木といい女房」という川柳が張ってありました。多分、殆どの人はそのどちらも得難いものと思っているのでしょうか。妻も、「いい旦那も得難いわね」でした。

三の丸の県庁跡地にある図書館にも足を運びました。県庁移転の際に、古い県議会議事堂を取り壊さずに県立図書館として蘇らそうと考え、当初図書館の新設を主張した教育委員会を説得して設置した図書館です。思った通りの雰囲気のある良い図書館となっており、公費を出来るだけ節約しながらのヒット企画であったと感慨に耽りました。http://www.lib.pref.ibaraki.jp/home/index.htm

本会議場をそのまま残し、自習スペースとして活用していますが、当時の県議会議員の席で、若い人たちが、勉強をしたり本を読んでいるのを見ると、嬉しくなります。この席にはどの県議会の先生が座っていた、ということが、脳裏に蘇ります。

妻は、この図書館が出来てからは初めてでしたが、「とても良い図書館だわ」と言ってくれました。何となく自分の仕事を誉めてもらったような気分になりました。霞ヶ関の仕事で誉めてもらったことがないので、新鮮な喜びでした。やはり人は誉めないといけません。

水戸駅の西にある千波湖も新緑の季節で、清々しい風景は相変わらずでした。県庁所在市で、この様な大きな都市公園があるところも珍しいと思います。水戸時代、千波湖は毎朝、子供達と一周してから朝ご飯を食べた時期がありましたが、今では、すっかり成長した子供は親とは一緒に歩いてくれなくなりました。成長は、寂しいものでもあります。

千波湖の畔に沿って柳の木が多数風にたなびいていますが、その柳の芽がたいへん綺麗でした。当時千波湖を散策していて偶然知ったのですが、その柳は、昭和35年4月に、水戸から北朝鮮に、戦時中強制連行された朝鮮人が新潟港発の船で帰国することを記念して植えられたものなのです。その前の年の暮れにはじめて帰国が始まり、昭和35年4月に水戸地域の朝鮮人も帰国の第1船が出航したのです。記念碑の石は日立鉱山の脇を流れる宮田川の石が使われています。日立鉱山で銅を採掘するため多くの朝鮮人が徴用された歴史があるのです。柳はその昔、柳京と呼ばれた平壌を代表する樹木でもあるのです。

日本と北朝鮮の間では、拉致問題が大問題となっていますが、両国の関係の悲劇の歴史を示す証拠が、意外に身近なところにも遺されているのです。残念なことに、多くの人がそういう歴史の断面を知らないで過ごしていることに、歴史の風化を感じざるをえません。

妻と一緒の水戸行きは、自分自身の水戸に於ける思い出の風化も感じさせるものになりました。

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