NTT公衆電話を大切に考えた広井脩教授
東大大学院の広井脩教授の訃報に接しました。4月15日に直腸癌で59歳という若い年齢でお亡くなりになられました。
16日(日曜)の午後、本郷のご自宅に弔問させていただきましたが、故郷の群馬県沼田市からはご親族がいらっしゃっていました。
広井先生には、防災の仕事をしていた時に、知り合いになり、幅広い人的ネットワークの中で、精力的に仕事をされる姿に感銘を受けました。広井先生の元には、研究者だけでなく、役所関係者、マスコミ、企業関係者といったいろんな方が自然と集まっておられました。私も後発組ながら、その片隅に入れてもらいました。
災害情報の在り方を学問的に分析発展させることに功労があった先生で、日本の国の災害情報の共有化、迅速化の進展に大いに貢献されました。しかし、仕事一途故に、自らの健康を顧みる時間がひょっとして少なくなったのかも知れません。手術をされたときに、「仕事で危機管理をやっているのに、自分の危機管理が出来ないんじゃ、恥ずかしいなあ、」ともおっしゃっておられました。
広井先生のおっしゃっておられたことで特に印象深かったのは、NTTの公衆電話が消えゆくことについての懸念でした。災害時に公衆電話は威力を増すことが実証されているのに、携帯電話の普及で、せっかく出来上がった公衆電話のネットワークが、見る見る壊れていくのは忍びない、というものでした。
非常時には、ある程度のリダンダンシーも認めないといけない、そのことを分かりやすい事例を引用しながら何度も何度もおっしゃっておられました。
手術後も、仕事を選択されながらも継続され、つい先頃も、テレビで広井先生がインタビューではっきりとした口調で応答されておられるのを拝見したばかりでしたので、訃報に接してびっくりして、ご自宅に伺いました。
沼田市にお住まいのお父上とお話をさせていただきましたが、以前広井先生と星野沼田市長と私で、懇談したことが、市長を通じてお父様のお耳にも達していたのでした。
奥様お子さん二人がしっかりと弔問客の対応をされておられました。
心から広井脩先生のご冥福をお祈りいたします。
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