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February 20, 2006

子供に勧められて読んだ「国家の品格」

うちの長男が藤原正彦氏の著作のファンで、ごく最近、「国家の品格」(新潮新書)を読んで痛く感動したということで、私のところに本を持ってきました。私にも読めということでした。こんなことは余りないことです。

2月19日の日曜から翌日の月曜にかけ、長野県の町村会の総会の講習会講師として呼ばれたので、行ってきましたが、その往路、新幹線の中で一気に読みました。明確な文章で、高校生にも分かる内容でした。なるほど、子供が親に勧めたくなるのも分かる内容でした。

実は、最初本を受け取ったときに、息子が鉛筆で線をいっぱい引いてあったことから、非常に読みにくくなっており、「人に汚した本を薦めるとは何事か」、と、怒ったのですが、つまらないことで怒るのも大人気ないと、気を取り直して本を受け取ったという経緯がありました。

本の内容は、煎じ詰めると、経済学を含めた欧米流の論理には所詮限界があり、日本の情緒とか惻隠の情といった「武士道精神」に基づく伝統価値をもっと重視し、この日本的価値を世界に向けて発信していくべきである。「論理」と「合理性」頼みの改革は、社会の荒廃を促進するだけである。美しい情緒は人間の傲慢を抑制し、謙虚さを教えてくれる。という所論です。

たまたま町村会の研修に伺ったこともあり、現在の財政構造改革路線の下での地方財政制度改革、地方交付税改革の動きに触れつつ、日本人全体に惻隠の情という感情が薄れつつあり、地方や農村部を突き放すような議論が横行しつつあるが、そういう動きの中で、「国家の品格」に見られるような考え方もどっこい生きているのは嬉しいことです、と思わず長野県の町村長さん方に書籍紹介までをしてしまいました。

子供から薦められた本に親父が気軽に乗ってしまうのも恥ずかしい限りですが、少しは成長した子供を見ていて、読書が情操教育に果たす役割の一端を垣間見た気がしました。

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Comments


「国家の品格」、私も感銘をうけました。
最終章は数学者の自己満足のようにも
思えましたが・・・
中高の先生方も読んでいるようですよ。
現在日本において中心的役割を担って
いる方々も、勿論私も含めて日本人すべてが
一度自分のこととして反省してみては
いかがでしょうか?

Posted by: 海老原典子 | February 25, 2006 at 08:59 PM

敬愛するむーさま

長文コメントお許しください。

昨年から、道徳の価値をどう考えるか、というテーマに取り組んでいました。一定のまとまりができたので大学院で報告したのですが、「国家の品格」と似ていると指摘されました。

それでは、と読んでみると、ほんとによく似ていて驚きました。同時に、非常に自信がもて、うれしくなりました。ということで、私の道徳論の一部を紹介させてください。

資本主義社会では、人は自由に自己利益を追求できる。しかし、人の行動が道徳的であるか、あるいは社会にとって好ましいかどうかは、別の問題である。
自己利益を追求する行動を、社会貢献や道徳との関係では、以下の4段階のレベルに分類できる。
(a)自己利益を追求するとともに、道徳的に行動し積極的に社会貢献をする
(b)自己利益を追求するとともに、道徳的でないと考えられる行動は自制する
(c)法令に違反しない限りで、道徳とは関係なく自由に自己利益を追求する
(d)法令に違反してでも、摘発されない限り自由に自己利益を追求する

資本主義の父といわれるアダムスミスは、「道徳感情論」で(a)や(b)の前提に立ち、市場経済においても市民が自己利益を追求するだけでなく道徳的に行動すべきだと主張していた。
たしかに人々が互いに知り合い、顔を合わせて暮らす社会では、法律に違反しなくても、フェアでないとやっていけないという感覚があった。今でも日常の仕事は理屈抜きにそうだ。

しかし、近年、グローバル経済、IT革命の進展等で人と人とのつながり、道徳観が希薄化する中で、(c)の「ルールに違反しない限り何をするのも自由」という観念が広がっている。それとともに、企業個々の利益の極大化が人間の幸福や社会の安全、発展と結びつかない場面が増えている。大企業のリストラ、高金利の金融業、歴史や景観を無視した高層ビル、ある種の娯楽産業、環境負荷の転嫁、株の買占め、非正規雇用の拡大などなど。それどころか、ライブドア、姉歯や東横のように(d)の立場に与して、摘発される企業が後を立たない。

行過ぎた利益追求の経済的活動に対する適切な抑制策は、結局のところ、社会貢献できない企業は淘汰されるというシステムであろう。経済が道徳の影響を受けないというのは、人間の行動を自己利益の最大化ととらえる前提のせいであり、社会全体の幸福を個人利益、企業利益よりも優先するという常識的なバランス感覚を回復する必要がある。それは人々の市民倫理としての道徳的感情を動機として展開される。

Posted by: keyshop | February 24, 2006 at 03:34 PM

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