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November 03, 2005

千葉県の予防医学の実践

高齢化社会を健康で過ごし、増大する医療費の負担を少しでも減らすための取り組みが各地で行われていますが、千葉県庁勤務の知人が千葉県の「健康生活コーディネート事業」の取り組みを紹介してくれました。行政が介添え役になり民間活力を活用し、高齢者の自立を支援する意欲的な取り組みです。

この事業はH16年度から市町村や大学、民間企業等と協同で行っているもので、わが国の性差医療のパイオニアの天野恵子医師(千葉県衛生研究所長)も推進役の一人として進めている事業だということです。

この事業は、簡単に言うと、
・希望する県民に対し、健康生活コーディネーターという専門家が体力・健康状態や生活習慣の状況等を個別に把握・分析し、運動メニューや食事内容等の「健康づくりプラン(1クール15ヶ月間)」を各個人に合った形で作成。
・県民がこのプランを実践し、健康生活コーディネーターが定期的にその成果をチェック。

というものです。

現在4市町でモデル的に行っており、今後各市町村に広げていく予定があるのだそうです。参加者は毎月約2,000円程度を負担しますが、これは少しでも費用感覚を持ってもらう方が、この事業の後も健康づくりを継続するために必要だとの認識にたっているようです。

このコースを「卒業」した人については、協力関係にあるスポーツクラブと連携し、低廉な価格で引き続きスポーツクラブでの運動継続というスキームもあるとのこと。スポーツクラブにとっても、昼間の空いているときに高齢者の方々が体力づくりにスポーツクラブに来てくれることは長い目で見て歓迎すべきことのようです。

千葉県の事業の当初の参加者200人の平均体力年齢が9ヶ月間で8.9歳向上(67.8歳→58.9歳)、参加者の96%が自らの効果に満足し継続を希望、というデータが出ているとのことです。

事業の詳細は http://www.pref.chiba.jp/syozoku/b_project/kenpro/coordinatjissi.html で見ることができますが、事業の特徴としては次のようなものがります。

・事業の前提として一人ひとりに合った個人別「健康づくりプラン」が策定されるが、その内容は単に筋力トレーニング等運動のメニューだけではなく、日々の栄養アドバイスからメンタルヘルスの相談に至るまで、幅広い分野を含む。
・このプランの基本的な考え方は、筑波大学と茨城県大洋村が共同して作った「寝たきり予防と医療費削減を可能とした地域の健康づくりシステム」がベースになっている。
・個人の健康づくりプランの作成・実践に当たって指導・アドバイスを行う専門家「健康生活コーディネーター」を養成。千葉県独自の認定制度を設け、専門研修(21日間)を経て知事の認定を受けた者がこの役に就く。現在30名程度認定済みで、今年度中に90名程度に増える見込み。
・来年からは本事業に参加した第1期卒業生(1クール15ヶ月間の終了者)から希望者を募り、若干の研修を経て「健康生活サポーター」として認定し、コーディネーターの支援(筋トレの補助等)にあたってもらうことも予定。
・「自らメニューをこなした高齢者の卒業生が、新たに近所の友人を連れてきて教え、参加者が増えていく」という連鎖構図を期待。
・サービスの提供方法として次の三つのパターンを用意。
①健康づくり教室型  市町村の体育館等の施設を会場に、ここで週2~3回筋力トレーニング等を行うとともに、残りのその他のプランの実践は各自の家庭で行うもの。
②ドラッグストア型  プランの実践はすべて各自が家庭で行うことを前提に、街なかのドラッグストアに市町村がコーナーを設け、そこでコーディネーターによる個人別プランの作成や指導、アドバイス等を行うもの。
③観光・健康サービス融合型  県外の希望者にも本事業を開放するもの。「健康旅行」と称し、県外からの参加者に、個人別プランの策定及び実践を千葉県内の特定施設(ホテル等)で行ってもらうもの。③のパターンについては日本国内であればどこからでもご応募可能。http://www.jtb-benefit.co.jp/club-chiba/


団塊の世代の大量退職時代を向かえ、医療費の増大は避けられないものと見込まれていますが、予防医学の知見を生かし、高齢期を健康に過ごし、結果として国民負担の負荷を少しでも和らげる努力が、地道に繰り広げられつつあります。都道府県や市町村はその結節点として、推進役の機能を図ることが、現在の医療保険制度改革の中でも謳われていますが、現場では既にその試みがスタートしているのです。全国にこうしたベストプラクティスを紹介することで、「善政の競争」が行われることを期待したいところです。

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