« 合併の飯田市と合併非選択の下條村 | Main | 就労率の高い日本の母子家庭 »

October 09, 2005

団地の自転車置場の管理と財政再建の理論

体育の日を含んだ三連休は、久しぶりに骨休めです。このところ週末も各地に出掛ける用事があり、いささか疲労が蓄積していたので、養生をかねてひたすら自宅休養です。

読書と映画とスポ-ツクラブ三昧で、スポーツクラブでは久しぶりに「垢すり」を頼み、皮膚の新陳代謝ですっきりしました。

スポーツクラブに行く際に、宿舎の自転車置き場が朝方から騒がしく、自転車の移動が行われていました。これまでは各人が好き勝手なところに自転車をおいていましたが、宿舎の自治会である班会議で議論してきた結果、各戸の自転車に部屋番号を張り付け、置き場所も各家庭の隣同士のまとまりごとに決められることになりました。

公務員宿舎なので、引っ越しで出入りが頻繁で、引っ越しの折に自転車を置き去りにしていく人もいるらしく、後始末に困ることもあり、そういうことのないように、自転車置き場の位置を各戸に割り当て、自転車もどの家のものか分かるように明認することで、お互いの「監視」により適正な管理が行われやすいようにする狙いがあるのです。

半年くらいの前からの懸案で、部屋によっては自転車置き場が遠くなるところもあり、異論も少しあったようですが、漸く結論がまとまりました。宿舎の奥さん方が管理手法を議論して決め、男達はそれに従っています。

この宿舎は100戸程度の独立した公務員宿舎ですが、その自転車置き場も、より小さな単位毎に管理しないとモラルハザードが起きるということなのです。それを是正するために、より小さな単位での相互監視機能により適正管理を目指す、という人間真理の真相を突いた苦肉の策です。

共有資源はともすると乱雑に使われかねません。共有資源の典型例の医療保険も、自己負担が少なかったりすると保険給付が増えるというのが典型例です。税金の使い道もそうです。国からもらう補助金だと、コスト意識が無くなり、不要不急の事業にも手を出す傾向があります。地方交付税もそうかも知れません。政府の経済対策に活用された(事業をやればやるほど交付税が増えるという)事業費補正方式は、各方面から批判もあり縮小されています。国から地方に支出される依存財源を出来るだけ減らし、地方税を増やすことで自分たちの汗水垂らした税金で賄う支出を出来るだけ増やそう、というのが、三位一体議論の本質なのです。

自己責任を出来るだけ徹底することにより限られた資源を有効に活用する、ということは、何も難しい理論ではなく、団地の自転車置き場の管理の適正化の考え方と、同じ原理なのです。

これからの財政再建は、地方分権により現場に権限と財源と責任を委ね、国は国として実施することが適当なものに限る、という原則でやらないと、実現し得ないということが、次第にはっきりしつつあります。

京都大学の吉田和男教授が、地方分権推進委員会の議論の中で、「もはやこの国の財政再建は地方分権によってしか為しえない」と語っておられたのが、現実味を帯びた真理のように思えてきます。身の回りの自転車置き場の改善事例を見て、思わず財政再建の理念を連想した休日でした。

|

« 合併の飯田市と合併非選択の下條村 | Main | 就労率の高い日本の母子家庭 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 団地の自転車置場の管理と財政再建の理論:

« 合併の飯田市と合併非選択の下條村 | Main | 就労率の高い日本の母子家庭 »