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September 05, 2005

アイゼンハウアーの警告

「なぜアメリカは戦うのか」という番組をたまたま8月4日のNHK・BSで目にしました。最近読んだ「メディア危機」という本の内容と重なる部分が随分あり、その内容の偶然の一致に少々驚きました。

番組の内容の評価は人それぞれですが、これは、一種の「メディア論」番組でもあります。アイゼンハウアーの「軍産複合体に気をつけろ」という警告と、「ブローバック」という用語が特に印象に残りました。軍産複合体という言葉は、ベトナム戦争時によく使われた言葉として記憶していましたが、今も立派に存在していることを再認識しました。後で出てくる「イラク問題特別計画室」の役割とは、まさに、スピンドクターとしての機能だったのです。以下、番組を見ながらの概要整理です。


「なぜアメリカは戦うのか」 第1部 巨大化する軍産複合体 第2部 超大国への警告 < BS世界のドキュメンタリー> 2005年サンダンス映画祭グランプリ受賞

<第1部 巨大化する軍産複合体
・米国の戦争は、「自由と民主主義を世界に広めるため」ため?
・CIA用語に「ブローバック」という言葉がある。密かに行ったことが回り回って予期せぬ結果が生じること。
・一般の人からは、ある日「突然の攻撃」の意味が分からないが、密かに工作を行ったものにはその意味が分かる。
・WTCの時には、世界が米国の味方になったのに、今は米国への敵意はかつて無いほど高まっている。何故そうなったか。

・米国の歴史を見ると、殆どの大統領が世界の紛争に関与。しかしそれは大統領の意図とは関わりなくそういう動きが出てくる。それが「国民に支持される」米国。
・WTCの米国への攻撃は、米国の「帝国主義的拡大」を狙っていた勢力に勢いを与えた。チェイニー、ヲルフォウィッツがそこに目を付けた。米国の方向転換が行われた。「新たなローマ帝国」の構築が出来ると。
・入念に練られた外交政策を実行するためにテロとイラクを無理矢理結びつけた。
・米国時間2003年3月19日。ステルス戦闘機でバグダッド攻撃。
・「予防戦争」の権利という主張は昔から米国にあった。

・1945年8月6日と9日の原爆投下。既に焦土となった日本にこれ以上何をする必要があったのか。トルーマンは、スターリンに力の差を見せつけておこうと、原爆投下の方針を変えなかった。アイゼンハウアーは原爆使用に慎重だった。この「原爆投下」が「予防戦争」の始まりと言える。
・米国はその後軍備増強で世界中を支配しようと進んだ。

・戦時中「WHY WE FIGHT?」というプロパガンダ映画。フランク・キャプラまでもが制作に参加。
・第二次大戦中と現在では意味合いが異なる。
・ペネトレーターという兵器開発。これを元ベトナム難民の女性が開発技術者として参加。(作れば)必ず使われる。
・刃向かうものは処罰するということをイラク戦争で世界に示した。戦争開始と同時に相手国の指導者を殺害できる戦術は、高度な兵器がないと実現できない。
・中東全体の変革を狙った米国。中東全体の「民主化」を力づくで進めようとしている。

アイゼンハウアーは1961年の離任挨拶で「軍産複合体に気をつけろ」と言い残した。
・軍需産業は売り込み競争にしのぎを削っている。国防総省の巧みな予算確保に人々が載せられている。国防費は連邦予算の最大の支出項目。

・ハリバートンと副大統領チェイニーの密接な関係。ハリバートンがチェイニーに戦争を働きかけた、という見方。政治権力と軍事産業が同じ人物の掌中にあるという現実。
・国防総省の予算関係者で、副大統領とハリバートンの関係を知らない人はいない。そういう中で予算確保。

<第二部 超大国への警告
・強大な軍事力を持ったアメリカが何処に向かおうとしているのか。
・経済的に苦しくなっても軍隊に入ればすぐに「解決」する仕組み。「技術を学んで手に職を付けられるし、大学にも入れる」が売り。その後で自己犠牲を強いられる。
・今日、「軍に入る人」と「中産階級以上の人」の経済格差は大きい。ベトナム戦争時も、貧しい人たちだけで戦争をしている間は国民の「関心は薄かった」が、中産階級の子弟も戦争に駆り出されることとなって反対が強くなった。
・ベトナム戦争時に米軍はトンキンワン事件をでっち上げ、米国は戦争に突入。国民を欺いた。その後も何十年もそういうことが繰り返されてきた。
・米国は、外国政府の転覆、クーデター荷担に数多くかかわってきた。そうして出来た国が、今では敵になった。政府の転覆も、動機は米国企業の経済的利益が背景にある。
・特に石油利権の確保が重要。イランのモサデク政権は英国の独占権益となっていたイランの石油の国産化比率の向上を目指したが、英国に泣きつかれた米国はこの政権に共産主義のレッテルを図り、クーデターでパーレビ政権を樹立。そのパーレビ政権はホメイニ革命で崩壊。それに対立したのがフセイン。米国はイスラム革命の伝播を避けるためフセインを援助。この時代には米国の友フセイン。そういう背景があり、フセインは米国の反発を軽視しクウェート侵攻。これも、「ブローバック」の例。
・米国は、その後、イラク敵視に方向転換。それを受け、世論をそういう方向にし向けた。

・今では軍産複合体は、軍隊、企業、議会に加えて、シンクタンクがこれに加わる。
・ブッシュ政権の方針と全く同じ方針を作ったシンクタンクがある。ラムズフェルドもそのメンバー。新たな脅威を作ることで利益を得るシンクタンク。「21世紀プロジェクト」。
・シンクタンクのメンバーがそのまま政権に参加したので、シンクタンクの方針がそのまま政策となった。
・イラク問題特別計画室の設置。イラクとフセインがアメリカにとって重大な脅威となるようにこの部署で情報操作。「フセインが積極的にウランを買い入れようとしている」という10数年前の情報を最近の情報のようにピックアップ。情報の一部を切り取ってさも事実であるかのように騒ぎ立てた。
・ラムズフェルドへの報告書にそれを盛り込ませた。明らかな世論操作。

・ダン・ラザー曰く。「国を戦争に向かわせるのは難しいことではない。メディアを操作してそういう方向に向かわせればよい。」「大衆は知る必要はないという考え方が報道の自由のある米国でもまかり通っている。」「国防総省はニュースを上手く作り上げることに長けている。ベトナム戦争の反省。残酷な場面を国民の目に曝したことが、敗因だ。」と。現在では、軍はそういう悲惨な現場報道はさせない仕切り。
・権力者との接触がないと報道は成り立たない。まるで、偉大な指導者をますます偉大に見せるようなドキュメンタリーを作らされているようなもの。
・イラク戦争決定に際し、議会は、無難な質問だけ。皆大統領を追いつめる質問をしなくなった。

・イラク爆撃初日、傷ついたのは一般市民ばかり。「高性能の精密誘導爆弾」で市民の犠牲は防げるというのは、間違い。バクダッド遺体収容所所長の話。死者の多くは一般市民。
・911で息子を失った父親。イラク攻撃の爆弾に息子の名前を書いてくれと申し出たその父親が、ブッシュの「大量破棄兵器の証拠はない」との戦争終結後の発言に「ショックを受けた」との発言。
・米国はイラクから手を引くことを考えていない。恒久基地をイラク国内にいくつも作っている。痛い目に遭うことを知っている人は刃向かわない。
・ローマ帝国と同じ運命。帝国を維持するためには、強力な常備軍が必要との認識。
・「よいと思ったら実行するのがアメリカのよい伝統」、とはブッシュ大統領の言葉。しかし、企業の利益により左右される政府の決断。
・1961年のアイゼンハウアーの警告の意味を再認識しなければならない。

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