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July 07, 2005

麻生知事会長の「三位一体改革」論@「要求国家」から脱却を目指す

全国知事会長の麻生渡福岡県知事が、7月7日都内で講演され、三位一体改革実現にかける地方自治体の代表としての思いを語られました。東西冷戦を経ての歴史の流れを踏まえた高い視座に立った講演でした。

以下そのエッセンスを記します。

・今年の秋口には三位一体の決着がつく。
・地方分権の経緯。平成5年の衆参両院の決議がスタート。平成7年地方分権推進法により、計画的分権推進。平成11年一括法ができた。国と地方の行政事務の責任分担をの明確化し、機関委任事務が廃止された。機関委任事務は、国の事務でその指揮権の下に地方が事務執行の仕組み。
・これを法定受託事務と自治事務に編み変えた。国と地方の関係も対等になった。
・その後は、「事務配分」、「権限」に加えて財政的基礎の確立が課題となった。
・その手法としてこで「三位一体改革」が出てきた。税源移譲とそれに見合う補助金の削減。併せて、デコボコ調
整機能のある交付税改革。これを秋までに決着するのが今のところの動き。
・国際的に見ても、冷戦終結後分権の動きが進展。フランスは中央集権の固まりのような国だが、地方分権に大きく動き出した。冷戦時は「国家」という枠が重要視された。しかし、その後、国の役割を軽くする動きが出てきた。
・地方分権を、国と地方の権限・財源争いという狭い位置付けで見るのは誤り。地方に税源を持たせて自己責任
の仕組みを作っていかなければ、日本はダメになる。
・自分自身霞ヶ関(元通産官僚)で仕事をしていたが、福岡に行くと見方が異なる。地方から見ると国は「お金」にみえる。その国からお金を持ってくるのが首長の「力」だということになっている。
・しかし、その考え方で仕事を続けていく限り、地方は国に要求するだけのこと。豊かな時代は多少非効率でも許されたが、今日的にはそれは許されない。「自分の金」という自覚を持たせてやらないとダメ。日本は「要求国家」から脱却しなければならない。
・国全体の発展の考え方も変わった。これまでは「国土の均衡ある発展」という考え方。国が中心となって各地の厚生水準を引き上げる、という考え方から、「国土の特色ある発展」に変わった。しかし、この「特色」ということは、各地がそれぞれ頑張るように、ということだ。
・それならば、地方にやらせてくれ、その条件を整備してくれ、ということになる。「特色」を持たせる以上、責任を持ちうる仕組みに持って行くべき。
・そのための仕組みが地方分権であり、地方の努力を発揮する仕組みを作る必要がある。
・昨年11月の「政府・与党合意」で、3兆円の税源移譲、住民税のフラット税率化が目標とされた。それまでは、補助金の削減を先に決め、その結果としての税源移譲を積み上げる手法であったが、昨年初めて税源移譲の規模の目標を予め決めた。これは画期的な考え方の転換。
・本来は、補助金を作ったのは中央官庁なので、それを廃止するのも政府が決めるべきだが、実際は決められない。そこで、地方に提案を求められ、すったもんだして3.2兆円の削減案を提示した。
・それで決着するはずが、それでも政府で決められなかった。現時点では2.4兆円は積み上がった。しかし、この中には、地方が提案しなかった国民健康保険の都道府県負担も入った。
・「義務教」も8500億円、「暫定」で入っている。残り6,000億円の積上げが必要だ。
・それについて政府から再度案の提示を求められた。本当は昨年の提案をベースに政府でやってもらいたいが、政府の作業がなかなか進まないということで、我々の中で案を再度作っているという状況。
・今月の中旬にはまとめ上げたい。
・もう一つの焦点である、8,500億円の義務教国庫負担。政府与党合意では、「地方案を尊重」といいながら、「中教審の議論を経る」、ということになっている。
・中教審では、教育論よりも財政論が中心に議論されている。6団体は、中学校の先生の給与の負担金の一般財源化を求めている。高校と同じにしてほしいと。高校の進学率は97%で、ほぼ準義務教化。
・我々は財源論だけで税源移譲を求めているわけではない。教育論としてもそれがよいという考えがある。日本の教育をこれからどうするのか。全国一律なのか。多様な人材教育を行うのか。
・国は負担金制度の下で、ゆとり教育を全国一律にやった。土曜も休みに。現実には極端な学力の低下。心配な親は子供を塾に通わせた。教科書も薄くした。一時期の7割弱の水準に落とした。ここに来て中山文科大臣が抜本見直しを言い出している。
・この経緯を見ると、全国一律にやって、やり損っている。失敗で全国民がおかしくなることでよいのか。
・「鍛えるやり方」「知識付与も英語、理数系、徳育、郷土、世界」などの選択肢があるだろう。地方の判断でそれを自由にする余地があるだろう。
・社会情勢の変化に柔軟に対応できる多様な人材が必要。そういう手法が採用される余地を広げるためにも、その条件整備として一般財源化を求めているのだ。
・江戸末期に、幕府が画一的な教育をしていたら日本はあの激動の時代を乗り切れたか不明。地方に任せてもらいたい。
・中央は最小限の基準を決めて欲しい。それに付け加えることについては地方に委ねて欲しい。その成果を中央は計測、評価公表をしてもらいたい。それにより幅広い人材を育てられる。地域に育っているNPOなどの多様な機能を導入するためにも地方分権と一般財源化が非常に効果的。
・三位一体の大枠は決まっているが、中味が積み残されているので、決めていかなければならない。

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