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July 26, 2005

日本で最も新しい鉄路

秋葉原から筑波まで最短45分で結ぶ鉄道新線が8月24日に開業します。

7月25日の昨日は、沿線の国会議員連盟の現地視察に同行する機会に恵まれました。

この筑波エクスプレスは、昭和60年に運輸政策審議会で、都市高速政策上、喫緊の課題と位置づけられて以降、建設の気運が盛り上がりました。当時、東京一極集中を是正する観点から、大都市地域に於ける宅地開発と鉄道整備を一体的に推進する方策が模索され、日本の科学技術の最大拠点の筑波と東京を鉄路で結ぶ構想が提案されたのです。平成元年には新線整備法とも言うべき「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」が成立し、法律に基づく国策鉄道としてこの新線が認知されました。平成5年の工事施工認可以降紆余曲折を経ながら新線の整備が推進されてきました。

秋葉原から筑波まで58.3キロに及ぶ鉄道整備に1兆円規模の公的資金が投入されました。東京都、埼玉県、千葉県、茨城県及び沿線市町村が首都圏新都市鉄道株式会社の資本金の9割を拠出し、文字通り、地元自治体の熱意の結晶としてこの鉄道整備が促進されたのです。

私どもの職場は、この新線整備に当たり、自治体の負担の調整や地方財政措置を講じる立場にありました。私も平成4年5年当時課長補佐としてこの問題の担当でした。10年以上を経過して、再度開業に立ち会える機会に恵まれました。かてて加えて、この間、沿線関係県に職を得て、沿線開発の進捗状況や地方負担の在り方に関して議論をしてきました。本日の「現地視察」に当たっても、当時から関係のあった国会議員の皆様方と同行が叶い、感慨無量でした。

個人的な感慨は兎も角として、この新線は、乗客の立場から言うと「快適、安全、便利」の一言に尽きます。秋葉原から南千住までは大深度地下鉄道、北千住から地上に出て東部伊勢崎線を越えると再度地下、八潮の手前で地上に出て後は南流山、みらい平、筑波駅直前の一部を除き基本的に地上を走行。全て高架ないし地下鉄路なので、踏切は無し。最高速度130キロの高速鉄道で、快速で45分、区間快速で52分、普通で57分という、完全に東京通勤圏を形成する鉄路が出来るのです。

地元自治体は、駅周辺の宅地開発や商業施設整備を行い、鉄道採算性の向上に全力を尽くしています。筑波の研究学園都市だけでなく、柏の東京大学や東京理科大学の研究施設が沿線に立地し、それが秋葉原のハイテク集積とマッチし、文字通りの「サイエンス・エクスプレス」になっていく可能性を感じさせます。

沿線自治体の中でも殊に茨城県の取り組みは積極的で、沿線整備に関して区画整理事業を8地区、1700ha予定し、計画人口10万人を見込む事業を展開中です。まさに茨城県の命運をかけた事業です。

少子高齢化のこの時代に何だ、ということをおっしゃる方もいるかもしれません。しかし、鉄道事業は、実に懐妊期間が長いものです。東急も小田急も西武も、そのように言われながら先行投資によって首都圏開発の先鞭をつけてきたのです。言うなれば、北関東方面に向けた小田急のような事業なのです。

そうは言っても、本四架橋の完成で、大手企業の支店が本州に引き揚げてかえって以前より寂れた感の拭えない高松市のような例もあります。いわゆるストロー効果はある程度覚悟しなければなりません。それに負けないためにも、筑波周辺の魅力ある地域作りは何としても欠かせません。レベルの高い研究者を引きつづき居住する気にさせるための中学高校の教育水準の確保も非常に重要な課題です。

今のところ沿線の自治体はこの事業の開業で活性化しています。沿線の駅周辺は、沿線開発で槌音が響いています。遅れて来た高度成長のような雰囲気もあります。願わくば、鉄道事業の開始と同時に沿線開発も進んでいたとしたら新線の採算性が向上していたのでしょうが、鉄路の整備と面的開発には如何ともしがたいタイムラグがあります。

新線は、鉄路に継ぎ目が無く、ガタンゴトンという音がしません。リニアモーターカーのように静謐ではありませんが、130キロで走行中の列車の中で十分に話が出来ます。沿線の自然も目に鮮やかです。首都圏周辺にこんな自然が残されていたのかと、新しい発見もあります。

議連の会長の倉田寛之参議院議員が、「単に通勤路線として活かすのではなく、この自然を都会の人にこの鉄道を通じて満喫してもらう発想も必要だ」と帰りの電車の中でお話しされていました。

8月24日の開業に向けて、現在慣熟訓練途中です。7月23日の震度5強の地震の真上に新線はありましたが、被害は生じませんでした。とにかく安全を最も優先させ、快適、高速という沿線住民の要望に応えるべく、関係者は熱心に取り組んでいます。順調な開業と採算の確保を願うばかりです。

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