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June 04, 2005

「race to the bottom」

5月28日、29日の土曜日曜にかけて大阪経済大学で開かれた地方財政学会に参加してきました。

参加すると言っても、聴衆としての参加でしたが、久しぶりに若い研究者の発表を伺う機会となりました。

三位一体改革や交付税、義務教育費国庫負担の問題など、自分たちが関係している制度運営が学者の研究対象になっていることはそれなりに「張り合い」があるような気もしてきます。その昔は、「地方財政」とは、所詮制度をどう作るのかという問題に過ぎず、学問の対象ではないとの考え方もあったと仄聞するくらいでしたから。

シンプジウムを聞きながら、「所得再分配の給付は、マスグレイブ・オーツの財政理論では中央政府が行うべきで、これを地方政府に任せると、「race to the bottom」=「引き下げ競争」に繋がり、経済理論としては問題が大きい」、といった理論的な議論が展開されるなど、私どもの仕事(生活保護の負担率を巡る議論)でも使えそうな視点も自分自身にインプットできました。

2日目に、沖縄を巡る地方財政の議論に参加した際に、地方財政学会の大御所、宮本憲一立命館大学教授から、昭和47年の復帰時に、沖縄振興策を地方財政学者で提案したものの政府に受け入れられなかったこと、その内容としては沖縄の自然に配慮した観光振興、鉄道整備を提言したが、当時の政府は、公共事業中心、道路整備に邁進し、爾来沖縄に投下された7兆円以上の投資が、沖縄振興、更に環境面から見ても満足のいくものとなっていないこと、現在も米軍基地の再編見直しの中で再度沖縄振興に向けての学会としての建設的な政策提案が求められていること、などに関する指摘がありました。

宮本教授の話を直接伺うのは初めてでしたが、理路整然とした話しぶりに、矍鑠としたオールドマルキストぶりを感じました。

全体シンポジウムでは「ナテョナルミニマムとローカルオプティマム」を議論するものと、「財政危機」に関するものに参加しましたが、「財政危機」に関するシンポでの片山善博鳥取県知事と松島貞治泰阜村長の話が具体的で興味深く聞き入りました。

片山知事は、シンポジウムで、「私は前任者から6000億円の借金を引き継いだ。鳥取県の500億円の税収の12倍だ。」とおっしゃっておられましたが、私は心の中で、「そんなこと言ったって、片山さんは、鳥取で財政課長も総務部長もやって、当時の知事を十二分に支えておられたのではないですか。」と思わず呟きました。あとで懇親会の折にその疑問をぶつけると、片山知事から、「僕が東京に戻っている3年間のうちに1500億円も借金が増えたのだ。」と言い返されました。流石筋金入りの「論客」です。

泰阜村の村長とは、最近お会する機会がちょくちょくあります。今回は奥さんとご一緒の御参加でした。「泰阜村で一番泰阜のことを考えているのは僕だ。住民は自分の利害で物事を考えすぎる。村の将来を真剣に考える訓練が足りない。」と、ほとばしりでるような愛郷の心情を吐露されておられました。来年はまた選挙だそうです。村長に、飯田高校出身の林健久東大名誉教授をご紹介申し上げました。松島村長の高校の先輩だということが判明し、意気投合されたようでした。

学会に限りませんが、新しいことはただ一度の出会いからでも始まります。改めて「出会い」の重要性を再確認した大阪での学会でした。

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