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May 01, 2005

「田淵行男の世界」

私の宿舎の近くの東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内)で2005年4月23日から6月12日まで、田淵行男さんの写真展が行われていると伺い、連休の初日の4月29日に、女房と一緒にぶらりと出かけました。

田淵行男さんは、私も昔から名前とその作品は存じあげておりました。安曇野在住の著名な山岳写真家で、私の実家にも写真集が何冊もありました。雄大なスケールでアルプスや安曇野を写し取り、小説家の臼井吉見さんとともに我が郷土の価値を広く世間に広めてくれた恩人の一人だとも思っています。

展示コーナーには、田淵さんは、長野の出身ではなく鳥取県大山を臨む山里で生まれ育ったということ、安曇野に居を構えたのは昭和20年7月の疎開がきっかけだったということ、以来壮大な北アルプスと緑豊かな安曇野をメインフィールドとし、高山蝶、アシナガバチなどの生態研究や、自然写真の撮影にその半生を捧げてきたこと、自然から読み取り学ぶ知識がもっとも正しい、という信念をもっていたこと、などが記されていました。

一言でいえば、ナチュラリストであったということでしょうか、田淵さんの作品群は、自然の懐に身をゆだね正面から向き合った者ではないと遭遇ることの出来ない自然が時に垣間見せる一瞬の姿を感動的に捉えたものが多いように思えます。

この展示の説明の中で始めて知ったのですが、NHKの朝の連続ドラマに「水色の時」という大竹しのぶさんが主演の番組が30年ほど前にありましたが、この一家のモデルは田淵行男さんの一家だったそうです。実は私のこのドラマのエキストラで出演しているのです。私の母校の高校に番組クルーが撮影に来て、私が偶然出くわし「映った」のでした。

いろんな要素があり、実に思い出深く写真展を拝見しきました。この写真の中に映っている安曇野は、今はもうありません。アルプスも随分と大衆化しました。常念岳は私も登りましたが、登る立場からいうと、岩がごろごろの登りにくい山でした。しかし遠くから見ると、本当に気高くどっしりとした安曇を代表する山です。

思いがけず、故郷を遠くにありて思う一時に恵まれました。

田淵行男記念館というのが豊科町にあります。この10月に豊科町は合併により安曇野市になります。
http://www.town.toyoshina.nagano.jp/html/skyouiku/skyouiku07.html

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