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January 08, 2005

Starving the beast

以前、米国政治に関する本を読んでいて「Starving the beast」(野獣を飢えさせるもの)という戦略、アイデアが米国にあったということを知りました。レーガン政権の予算責任者デービッド・ストックマンによって名付けられたこのアイデアは、

税収入のカットを通じて公的部門の資金不足を引き起こし、歳出カットを強いていくという戦略だそうです。実際にレーガン政権は、減税の結果起こる財政赤字が支出の削減を強制するであろうという理由から減税を行いました。

結果は、しかし、シングルマザーなど政治的に弱いグループの支出削減を除いては期待されたような支出の削減は起こらず、結局財政赤字が収拾できなくなることを恐れて増税を行ったのです。

現在のブッシュ政権は、右派のロビー団体「アメリカ税制改革協議会」との間でかわされた「新しい税はない」という誓約に縛られ、減税を繰り返しています。もっとも、米国の深刻な財政赤字に対しては、IMFですら世界経済の脅威だとして批判しているのが現状のようです。

さて、我が国ですが、増税が出来ない政治環境の中で、同じような発想で、歳出削減のプレッシャーが加わっています。財務省は交付税を大きく削減し、地方の歳出を大きくカットしようと考えています。総務省は、国の施策を地方が遂行するための財源保障機能が交付税にはあり、いたずらに交付税カットを行うことは、法律に基づき国が地方に仕事をさせている今の日本の仕組みからしておかしい、むしろ、国の仕事の義務づけを緩和して、その上で、地方が自由に仕事が出来るように、補助金を大幅に整理して、地方税と地方交付税の一般財源を確保していくべきである、と反論して、今日の三位一体議論が始まりました。

昨年以来、三位一体に関する国と地方の議論が、国と地方の協議の場などで行われてきました。各府省の補助金負担金に関して、これを整理して地方税源に振り替えることの適否の議論が行われてきました。この議論の中で、厚生労働省は、生活保護の国庫負担を地方負担に振り替えたり、国民健康保険の国庫負担を地方に振り替えるような提案を行ってきました。補助金負担金を整理すると言っても、地方に移譲するに適する補助金とそうでない補助金があります。

生活保護や国民健康保険の地方負担を増やすことで、地方にプレッシャーを与え、歳出削減に向けた努力を促すのが目的だとしたら、まさにStarving the beast 作戦そのものです。昨年の決着では、国民健康保険の都道府県負担の導入が決まりました。今年は、生活保護の負担のあり方が議論になります。これから予断を許さない議論が始まります。厚生労働省が財務省と全く同じ発想になっては、省の存立意義が問われるような気がします。現場で頑張っているケースワーカーも気の毒です。

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