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January 09, 2005

信濃の国は、武士の風俗天下一

防衛庁では、方面本部毎に各地の「地誌」を作成し、いざというときの対応に役立てているという話を聞いたことがあります。これは国防上の必要からする情報収集です。地理情報から気象、交通、地域の生産力など多くの情報が集まっているはずです。その地域の人々の気質までが書かれているかは分かりません。

このようなことは、実は昔からあったことです。日本六十余州についてその地勢とともに人情、風俗、気質などを述べる「人国記」というものがありますが、その著者と成立年代は不明とのことです。江戸初期、関祖衡はこれに地図を付し「暖気のところの人は柔弱、寒気のところの人は堅固」等の説明を加え「新人国記」として刊行したとのことです。岩波文庫で「人国記・新人国記」というタイトルの本が出されていますが、この文庫本は以上のものをコンパクトにまとめたものです。

文庫の巻末に書かれていますが、宮内庁書陵部所蔵の「井伊家秘書」によれば、武田信玄はこの古い方の「人国記」を愛読し、彼が見て主な国であると考えた山城、播磨、伊勢、近江、越前の五か国に関する記述を抜粋して、扇面に書き、腰に常に差し、軍学研鑽のためにする夜話の種に用いていたようです。

さて、誰しも先ず気になるのは自らの出身地です。「信濃の国」はいかなる描き方になっているのでしょうか。この本では、

・信濃の国の風俗は、武士の風俗天下一なり。百姓町人の風儀も律儀。
・義理強くして臆することなく、百人に九十人は律儀なり。
・弱みの比興(卑劣という意味)の事はこれ無し。もし比興の事を述べなすときは、人皆これを悪みて交わらざる故に、柔弱の人も、議路を知りて国風となるなり。
・智恵も余国よりは勝れたり。然れども辺鄙な国なるが故に、かたくへなき事も多しといへども、善十にして悪一、二の風俗なり。

と、概ねよい評価を加えていただいておりほっとしました。私の昔の勤務地の常陸国(茨城県)は、「風俗然るべからずして、たた盗賊多くして、夜討・押込・辻斬(後は略)」などとめちゃくちゃ書かれています。

まあ、昔の世界と比べ、人口の流動化で「人国記」の内容も変わっているのでしょうが、根っこのところでは特徴はあるのでしょうね。

県民性に関しては、この岩波文庫の他に、
・ 「日本人の性格 県民性と歴史的人物」 宮城音弥著
・ 「県別日本人気質 」 河出書房新社編集部編集 河出書房新社
・ 「現代の県民気質 全国県民意識調査」 NHK放送文化研究所編  

などもあるようなので、友人との会話などで話題に事欠く時など、こういうものを材料に話をすれば、話が盛り上がり、「武田信玄の気分」になれるかも知れません。

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