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December 19, 2004

いつか歩きたい熊野古道

熊野地方は、南方熊楠が研究のフィールドとした自然豊かな地域です。世界遺産に登録されて更に有名になりました。熊野古道とは、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)に詣でるための道です。

吉野からさらに南に位置する熊野は、古くから神々の住む聖地として崇められてきました。熊野への厳しい道を乗り越えて詣でることで、信仰が生まれました。これが「熊野詣」です。

熊野三山が成立した平安時代中期、法皇や上皇の御幸がはじまると、その影響で街道や宿場が整備され、「熊野詣」がますます盛んになっていきました。皇室、武士、庶民へと信仰の輪が広がり、「蟻の熊野詣」と言われるほど多くの人が訪れるようになりました。熊野信仰が、現世利益を追求するものであったこと、身分や性別を問わず誰でも受け入れてくれる神であったことがこの広がりにつながったとのことです。

「熊野詣」の道が本格的に整備されたのは江戸時代(17世紀前半)。盛んになった「熊野詣」には、いろいろなルートがあり、6つのルート(紀伊路・大辺路・中辺路・小辺路・大峯道・伊勢路)があります。

小山靖憲氏が書かれた「熊野古道」(岩波新書)は、熊野詣での中世史、参詣の作法と組織、参詣道の現況などが盛り込まれています。日本史の折々に名を記す熊野にまつわる歴史を手際よく解説し、これから熊野を歩いてみようとする人にとってハイキングを奥行きの深いものにしてくれる手引き書となっています。

多くの古道が近年の道路工事で破壊されてしまっている実態も記されています。つぶさに熊野古道を歩いき尽くした記録であるからこそ書けることです。日本は便利さを求める中で、貴重なものを平気で葬ってきてしまっています。

最近は都会の人が、熊野地方の森林組合に入り、古道の整備にも精を出しているという話を聞きます。和歌山県の木村知事の施策で、森林整備を行う都会の人のJターンを歓迎しています。「緑の雇用」と呼称されるこの制度の2次的な効果として熊野古道の復活が支えられているのです。
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/071200/midori.htm
歴史・文化を大切にするのも無理解のまま見逃していくのも人次第であるとつくづく感じます。そういう感性が養える本だと思います。

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