« 3惚れ主義と三島通庸 | Main | 「合衆国戦略爆撃調査団」広島報告 »

December 30, 2004

危機対応の局面で犯す間違い

企業危機管理実戦論( 田中 辰巳著)をご紹介します。企業関係者が対峙しなければならない様々な危機の局面に焦点を当て、その時の対処の仕方で結果に大きな差が出ることを、明瞭に実証しています。

3年前の出版ですが、事例は異なっても、企業関係者が犯す間違いの原因が、全く共通であり不変であることを改めて考えさせられます。

最近の自動車会社のリコール隠しは、この本で書かれている事例にその会社の固有名詞を代入すればそのまま妥当します。

ミドリ十字社は、輸入している非加熱の血液製剤にエイズウィルスが混入されているという噂を立てられたときに、「当社の血液製剤は国内原料で製造しているから安全」という虚偽の宣伝をした結果、これが足かせになって加熱血液製剤への切り替えが遅れて薬剤エイズの主犯になったのに対して、ジョンソン&ジョンソンという会社は、タイレノールという鎮痛剤に毒物を混入された際、全品回収、生産即時中止を行い、徹底的な情報公開、商品梱包の改善に取り組んだそうです。その費用は一億ドル。

両者の違いは、目前の危機を、「売上低下」と捉えたか、「信用喪失」と捉えたか、と分析し。結果は、ミドリ十字は姿を消し、ジョンソン&ジョンソンは繁栄を続け、守るべきものを間違えることの事例として紹介されています。

日本航空のスチュワーデスの応接態度について、「客に逆う姿など想像がつかないもの」であるが、「全く妥当性の
ない客の我が儘にまで逆らわないのは、他の善良な客にとって決して嬉しいことではない」と書かれています。

この指摘をたまたま私自身も実感する機会がありました。この夏に、日本航空機で沖縄に行ったおりに、修学旅行の高校生が、機内で大騒ぎ。客室乗務員が、何も言わないので、「他の客の迷惑を考えて、適切に対処して欲しい、放置してはまずいのではないか」と申し上げたところ、彼女は、困ったような顔をし、上司の客室乗務員と相談し、それなりに対応はしていただきました。しかし、自主的ではありませんでした。

ふだんの生活の中で、一々思い当たることのある指摘にあふれた本です。少しの違いが大きな違いに繋がる、それが危機管理対応の恐ろしさだと思います。

|

« 3惚れ主義と三島通庸 | Main | 「合衆国戦略爆撃調査団」広島報告 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/58165/2414463

Listed below are links to weblogs that reference 危機対応の局面で犯す間違い:

« 3惚れ主義と三島通庸 | Main | 「合衆国戦略爆撃調査団」広島報告 »