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December 21, 2004

北海道空知郡奈井江町の取り組み

夏に、北海道の空知郡奈井江町を尋ね、北海道では有名な北良治町長の熱弁をじっくり伺ってきました。介護、国保、老健の3事業を広域連合で実施している実態を勉強してきました。全国ではじめて介護保険を広域連合で実施した地域として有名です。

個人毎の制度間のデータを共有し、重複給付を出来るだけ少なくし、効率的な福祉水準を目指せるようになっているとのことでした。国保病院に民間診療所のベッドを集中し、カルテを共有し、開業医が、個々人のかかりつけ医となり、必要に応じて国保業院でも当該患者の診療も出来る体制となっているとのことでした。これにより医療費を減らすという成果を上げていると胸を張っておられました。

この地域での合併に対する取り組みも聞いてきました。周囲の市町が旧炭坑地域の中で、7000人の奈井江町は、当面徹底的な行革で、周囲の合併の帰趨を見てから判断をしていくようです。奈井江町の場合は、町の公共施設が概ね完成した中で、交付税が大きく減ってもやっていけるスリムな体制を整えており、当面自立の道を選んだようです。

合併を模索している他の地域が、実は徹底的な行革をしないで合併で乗り切ろうという姿勢とは一線を画すると言っておられました。町長の公用車をやめ、助役と収入役を空席とし、13課を6課に減らし管理職を絞り、議員定数を大幅に減らすというだけでなく、将来は、町長を名誉職化して、スリム化を徹底するという構想までお持ちのようです。自立を目指す以上は、覚悟も相当です。職員給与の何割かのカットもあり得るとの話もありました。

旧炭坑地域は、国の補助金依存体質が染みこみ、奈井江町の行政スタイルとは若干相容れないところがあるようです。町民がそれを敏感に感じたということもあるようです。やはり合併に関しては地域の個別事情が大きく影響しているものと感じました。

東大法学部の田辺教授、関西学院大学の長峰、小西教授、慶応大学の深谷、小澤教授らと一緒の訪問でした。東京の経済界の重鎮や財務省の認識とは異なり、地方の行革も結構進んでいるのです。

北町長の先祖は、石川県から入植したのだそうです。奈井江町は、石川、富山の出身者が多いそうです。

奈井江町で一泊し翌日は、札幌で北海道財政課長から北海道財政危機の現状を聞きました。1兆9000億円の歳出規模に対して、税収5000億円、交付税収7000億円、起債4000億円で歳入を賄い、来年度以降は毎年、2000億円以上の歳入不足を生じるとのことです。基金は既に払底し、大幅歳出カットを余儀なくされるようです。6120億円の人件費を相当切り込んで行かざるを得ないとの認識のようです。

北海道拓殖銀行の破綻以降の経済の低迷だけでなく、構造的な税収不足が根底にあるようです。とにかく6兆円の借金を抱え、これから毎年2000億円を超える歳入不足が予想されるのですから、民間企業であったら倒産です。

しかし、公共団体ですから、財政が苦しくなることは承知の上で、景気対策を講じてきたことも事実です。そろそろ国民負担のあり方を検討しなければならない時期です。とにかく、国の一般会計歳入中、37兆円が借入金、地方財政計画も14兆以上の借入金、国と地方合わせてGDPの一割の借金をし、その残高が今年度末720兆円に達するのですから、最早サステイナブルではありません。

皆が嫌がることを皆で考えないといけません。

ところで、このような中で、北海道が道州制の議論を「国に働きかけ」ているようです。権限移譲を、ということのようですが、国土交通省からは、「北海道開発局で行っている国道の管理を一部道にお願いするので、2000人の国の職員を引き受けてくれないか」との提案もあるようです。私は、絶句しました。道州制議論は、もう少し先の議論であり、全てを一斉にやると、道にとっての課題相互の間に論理矛盾を起こしかねません。このようなことは、間々あることで、私たちも留意しなければなりません。

その後、ニセコ町長の逢坂誠二町長と三位一体改革に関して意見交換をしました。補助金の全体像に関する当方の説明が、逢坂町長には新鮮だったようです。財務省からもいろいろ話を聞いていると話しておられました。

帰路、「北海道開拓の村」に行ってきました。広い山林の中に、開拓の歴史が建物として残されています。我々の先祖は、荒れた開拓地をおおきな労苦の元に開墾し、今日の日本を形成してきたのです。「豊かに」なった日本人にとっての財政再建の課題は、先祖の苦労に比べて本当に困難な課題なのかどうか、思わず考えさせられました。

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