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December 19, 2004

プライマリーバランス改善の意味

財政赤字を持続可能な水準にするために、具体的にどの程度の歳出削減・増税努力が必要なのかを、元大蔵省主税局課長の森信茂樹大阪大学教授が計算しています。興味深い指摘であり、以下ご紹介いたします。

その前に、プライマリーバランスの意味について若干解説します。

プライマリーバランスとは、国や地方自治体などの、収入と支出の釣り合い状態を見るもので、財政状態を示す指標とされています。通常、過去の借金の元利払いを除いた支出額と、国債などの発行によって得る分を除いた収入額の、差額のことをさします。プライマリーバランスがプラスということは、単年度の税収などによってその年の収支がまかなえていることを指し、逆にマイナスの場合には、国債等の新規発行をしなければその年の支出をまかなえないことを指します。

さて、財政が破綻しないためには、このバランスに加え、「長期金利と名目成長率が等しい」という条件が必要であり、金利が経済成長率よりも高いと、GDPの成長スピード以上に国債の元利合計額が増えるので債務残高の対GDP比は拡大し続けることになります。

森信教授は、ここで、対GDP比の債務残高を増やさないために必要なプライマリーバランスの大きさを計算してい
ます。

これを式で書けば、

名目金利ー名目成長率=プライマリー黒字/政府債務

→ プライマリー黒字(GDP比)=「名目金利ー名目成長率」*政府債務残高(GDP比)

が必要になります。

具体の数字としては、ここ数年の国債金利と名目成長率の差である2%を想定し、今の政府債務残高の対GDP比を150%としています。

これを代入すると、2%*150%=3%となります。これに現在のプライマリーバランスの赤字が対GDP比で5%程度
なので、政府債務GDP比を150%以上に増加させないためには、5%+3%=8%の財政改善が必要という計算に
なります。

これを10年で実現するとすると、毎年0.8%程度、名目GDPは500兆円なので毎年4兆円の歳出削減か増税が必要となります。

森信教授の計算は以上のとおりです。

手遅れになればなるほど必要黒字額は雪達磨式に増加していくことになります。これを実現していく方策とタイミングがこれからの日本を巡る最大の議論の一つとなっています。公債費を除けば、社会保障、公共事業、地方財政の三つが国の最大の歳出項目であり、これからも厳しい対応が続いていくものと考えられます。地方分権という切り口も、受益と負担の関係が見え易いこの仕組みを実現することで、財政再建にも資するという観点でも推進が図られているのです。

今年の予算と税制改正は、緊縮予算と増税路線と言われておりますが、将来の国の有り様を考えるとやむを得ない路線であることは事実です。そのことを国民の一人一人に分かりやすく伝えていくことが必要です。

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