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December 23, 2004

IAEA原子力セキュリティーの専門家の話

IAEAの活動に関する栗原弘善さんの話を伺う機会がありました。栗原さんは、 原子力セキュリティーに係るIAEAの諮問委員会AdSecの委員をされておられました。貴重なお話でしたので、ご紹介いたします。


・ IAEAは1957年の設立。元々、放射線被曝をできるだけ低くするという趣旨の活動。これはニュークリア・セイフティーの問題で「人間の間違いの世界」を想定しての話。
・一方で、如何に外からの意図的な攻撃をどう防護するのかという問題。これはニュークリアーセキュリティーの課題で、人間の悪意を前提とする。
・ 自分の経歴としては公務員が長い。IAEAに7年勤務。核査察担当。ウィーンに滞在。当時、核物質防護ガイドラインを作った。専門家を各国から集め1975年に作成。ロシア人の室長。ロシア、イギリス、米国、日本が作った。
・ 911以前のIAEAの活動は、原子力の平和利用促進、技術協力の推進。原子力安全の確保。保障措置(核査察)。普通の国際機関には罰則を課す権限はない。援助の実施の差し止めなどはできるが、・・・。そこで安全保障理事会に報告し、適切なサンクションが求められた。
・ 1975年の核物質防護のガイドライン。それ以前にも考え方を示してきた。今は改訂第4版。開発途上国に対して、ミッションを派遣。トレーニングコースも設定。
・ 核密輸情報のデータベース。高濃縮ウランは薄めてアメリカに持っていける。核廃棄で核弾頭が余剰。プルトニウムを酸化し、燃料に加工し、発電所で燃やすという処理ができる。しかしお金がかかる。処理が進まない。ロシアは核物質管理が弱く、ガードが弱くなっている。そこで核密輸が出て来るのでそれのチェック。密輸465件の記録。最近は減ってきている。この解釈が重要。発見ができなくなっているのか、減っているのか?
・ 911以降、その年の11月に保障措置シンポジウム。核テロがあったらどうなるのか。日程を追加してのシンポジウム。エルバラダイ事務局長の発言。①核兵器そのものの使用。②高濃縮ウランで核兵器を製造、放射性物質のばらまき。③RDD ラディオロジカルディスパーザルウェポン。汚い爆弾。途上国では病院の放射性廃棄物も管理が甘い。ブラジルのガイアイアでは、これによる事故で人が亡くなっている。
④原子力施設への妨害破壊攻撃。この4つに備えなければならない。国の責任で対応。IAEAの責任ではない。
・ 国でない主体が悪いことをする場合の防護も、国が責任。IAEAはそれを支援。
・ フランスでは、ミサイル攻撃があったらミサイルで防護するという話も。しかし、軍事施設があったからやるのだという説も。
・ DBT デザインドベイストスレット。脅威の想定を行って防護策を講じるのがベース。しかしDBTの現状に併せての改訂が遅れている。
・ 各国ともバラバラな対応。今それを併せて地策を講じようとしている。しかし国際機関は金がない。増える仕事にも拘わらず資金はゼロ成長。セキュリティーファンドを各国に頼んだ。日本の貢献も。米国はテロ対策ということで資金提供。米国で金が出るのは、核軍縮ということではお金が出ないが、テロ対策ということでは金が出る。シンクタンクもそれに群がっている。
・ 911以降、IAEAは組織を強化した。原子力安全局を原子力安全セキュリティー局に変え、組織を強化。AdSecの設置。これは諮問グループ。国際会議。核物質の防護、原子力施設の破壊工作の対応強化。新しい一章を起こし、リクワイアメントを記述。IAEAのガイドラインも改訂。
・ 今後はどうするのか。世の中の状態が良くない。ロシアを中心とする兵器処理の行方の不透明感。セキュリティー強化は更に必要。国際連携の必要性。我が国も協力の強化が必要。
・ 日本は人の悪意を前提の話をしたがらない。武器を持たない日本と一般人が武器を持つ米国。ガードマンが武器を持っていないのは日本の特色。
・ 専門家の育成を図ってもらいたい。


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